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セッション定番曲その151:So What by Miles Davis

ジャズ/ファンクのスタンダード曲。ジャズのセッションよりもファンク・セッションでリクエストされる方が多いかも。
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。


ポイント1:だから何なの?

1959年、33歳のMiles Davisがモダンジャズの新時代(モード奏法)への宣言を込めて発表した曲。

全体としてはクールな曲調で、このタイトルの意味がどう表現されているのか?「俺らは次のステージに行くけど、分かってくれない奴らもいるはず。だけど何か文句ある?」と。

コードは2つだけ、ドリアンモードでの展開。構造は単純ですが、だからこそ工夫の余地があるし、個性を発揮出来るところ。


リードシート例


ポイント2:ファンクへ?

伝統的なジャズをずっと聴いてきた人からすると「」という新しい曲調(ソロパートも含めて)だったのかもしれませんが、ロックやファンクから音楽を聴き始めた私などは素直に「カッコいい曲だな」と受け入れられました。

ジャズのセッションよりもファンク・セッションでリクエストされる方が多いのもそのあたりなのかもしれません。ファンクの場合は原曲を「素材」として扱うのが普通なので、(ベース)リフをリフとして捉えて、そこからどう自由に展開するのかを楽しむ、そんな感じですね。

(演奏は3:00過ぎから)


ポイント3:演奏者が演奏に考えること

ドラマーの黒田和良さんが「So Whatを演奏中の各メンバーの心の声を書き出してみた」という動画を公開されています。構造が単純なだけに、リズムの工夫や演奏者同士の絡みなどが聴きどころです。こういう細かい意図がリスナーにも伝われば最高ですけどね。「ジャズは即興演奏こそが命」というのはこういうところですね。


ポイント4:Eddie Jeffersonが歌う

何でも歌っちゃうオジサンEddie Jeffersonが歌詞を付けて歌っています。内容はマイルスとコルトレーンのエピソードみたいなやつで、あまり面白いものではないですが。ソロ部分もスキャットを交えながら、工夫して物語を綴っています。ラップの元祖みたいな感じもありますね(もともと古いブルースにも「語り歌い」みたいな曲もあります)。

他にもそれぞれが独自の歌詞を付けて歌っています。テーマ部分はともかく、ソロ部分をどこまで「面白く聴ける」レベルに仕上げられるかが鍵。

Suzi Stern、かなりソウル/ファンクよりの歌唱。


ポイント5:どんどん加速

最初のスタジオ録音版から、ライブで演奏する度にどんどんテンポが速くなっていったという指摘もあります。

1964年

1965年

犯人はTony Williamsだったのかもしれません。
もうテーマとかどうでもよくなって、早くアドリブパートに入ろうよ、と言う感じ。こういう「曲は素材」という姿勢は前述の「ファンク的アプローチ」にも似ていますね。

複雑なハーモニーやリズムの変化を追求してきたマイルスも、この後1960年代末期に入るとJames BrownSly and the Family Stone、あるいはB. B. Kingなども研究して、少ないコード進行(時にはワンコード)、ずっと同じテンポ/リズム/グルーヴ、での音楽へ突入していきます。「覚醒」というよりは「没入」へ。


ポイント6:色々聴いてみよう

Ronny Jordan、1992年録音
なんかオシャレになってます。


Marcus Miller、2012年ライブ録音


TOKYO GROOVE JYOSHI


Bill Evans


Chet Baker
、1964年


◼️歌詞(テーマ部分のみ)

Miles Davis walked off the stage
That's what the folks are all saying
Oh yes, he did leave the stage
After his solo was all over

Coltrane he walked off the stage
That's what the folks are all saying
Yes, they both left the stage
Clean out of sight

They felt they had to rehearse
Although we know they are masters
They get a real groovy sound
And you will have to admit it

Yes, they both left the stage
Soon as their solo's were over
And if you can't figure out
Their groove I'd like to help you
Their groove, I've helped you
So what





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