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セッション定番曲その122:Why Does Love Got To Be So Sad? by Derek & The Dominos

ロックセッションの定番曲、になって欲しい曲です。Eric Clapton渾身の作品。
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。


ポイント1:Eric Claptonの全盛期

いつ頃がEric Claptonの全盛期だったのかについては諸説あると思いますが、個人的にはこのDerek & The Dominosが一番イキイキとしていたと思います。

Blind Faith時代の中途半端な作風とは打って変わって、この時期の「Layla and Other Assorted Love Songs」は創造性に満ちています。バンドが正当な評価を受けずに崩壊してしまい、麻薬漬けになってしまう前、曲作りもギターも素晴らしい状態でした。このアルバムが「いとしのレイラ」一曲だけで語られてしまうのは勿体ないですね。


ポイント2:マイナーとメジャーを行ったり来たり

R&B、ゴスペルの影響を受けたハイテンションなリズムに乗って曲がアグレッシブに展開していきます。それ以前からEricの特徴だったマイナーとメジャーを行ったり来たりするコード進行/アドリブが分かりやすいかたちで聴けます。

Bobby Whitlockのオルガンが厚みを加えて、Duane Allman*のギターも絡んできます。まだ若くて無名だったDuaneがEricに与えた影響は大きいと思います。ギタートーンのコントロール、甘く切ない音でのソロ、2本のギターの理想的な絡み方。

*この曲の録音にはDuaneが後日オーバーダビングで参加したという記録が残っていますが、実際にそのバージョンが使われたのかどうかについては諸説あるようです。


ポイント3:ライブで化ける曲

1970年のライブ録音、ここでのギターはEric Claptonの1本だけです。
ファンキーなギターカッティングで始まる15分近い演奏。Cream時代と違いダラダラとソロを取るのではなく、ちゃんとバンドとしてのアンサンブルの中でフロントマンとして振る舞っています。Bobby Whitlockとのボーカルの絡みもいいですね。歌うことについては彼にも影響を受けたと語っています。

この時期にはフェンダー(ストラトキャスター)の扱いにも慣れて、分厚くヌケの良い音で演奏しています。


ポイント4:日本でシングルカット 「恋は悲しきもの」

当時この曲は日本市場だけでシングルカットされました。いかにEric Claptonの音楽が日本で切望されていたのか分かりますね。時代的に2枚組アルバムを気軽に買える若者も少なかったのでしょうね。邦題は直訳ですがダサいですねぇ。

シングル盤

今と違って欧米の音楽の動向がリアルタイムで伝わってくる訳ではなく、日本のロックファンはようやくCreamの2枚組(Wheels of Fire)を聴き始めて、ライブ演奏の長さに度肝を抜かれていた人もいたはず。「どうもこのCreamというバンドは解散していて、その後スーパーグループを組んだみたい」「どうもそのバンドも解散して、The Beatlesに加入するらしい」「一体何が起こっているんだ?」とかそんなレベルです。


ポイント5 :歌詞の内容をちょっと

Gotta find me a way to get me back to yesterday
How can I ever hope to forget you?
Won't you show me a place where I could hide my lonely face?
I know you're gonna break my heart if I let you

どうも別れてしまった恋人を忘れることが出来ず、悶々としているようです。もう話も出来ないのに「you」が沢山歌詞に出てきます。自分の孤独な気持ちをどこかに隠したいのに、その助言を別れた相手に求めるという情けなさ。

Why does love got to be so sad?

恋をすることは悲しくなってしまう定め、ということ?
got to be」は宿命的にそうなってしまうというニュアンスですね。

Like a moth to the flame, like a song without a name
I've never been the same since I met you (woah, oh)
Like a bird on the wing, got a brand new song to sing
I can't keep from singing about you

このパートは比喩を多用して、まるで相手を口説いているような調子です。

という感じで終始情けない歌ではあります。これを声を張り上げて歌うことで「なんとか別れてしまった恋人に届いて欲しい」という感じ。


ポイント6 :カバー

Quinn Sulliva

若いですね。割とストレートなカバーだけど、ギター1本でこれはすごい。


Tedeschi Trucks Band

遠い親戚みたいなものですね。


Bettye LaVette

ホーンセクションを加えてのファンク寄りのカバー。


Buckwheat Zydeco

ザディゴ風でもないと思うけど。


◼️歌詞


Gotta find me a way to get me back to yesterday
How can I ever hope to forget you?
Won't you show me a place where I could hide my lonely face?
I know you're gonna break my heart if I let you

Why does love got to be so sad?
Why does love got to be so sad?
Why does love got to be so sad?
Why does love got to be so sad?

Like a moth to the flame, like a song without a name
I've never been the same since I met you (woah, oh)
Like a bird on the wing, got a brand new song to sing
I can't keep from singing about you

Why does love got to be so sad?
Why does love got to be so sad?
Why does love got to be so sad?
Why does love got to be so sad?

I'm beginning to see what a fool you've made of me
I might have to break the law when I find you (yes, I will now)
Stop running away, I got a better game to play
You know I can't go on living without you, no

Why does love got to be so sad?
Why does love got to be so sad?
Why does love got to be so sad?
Why does love got to be so, ooh



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