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セッション定番曲その19:Cantaloupe Island by Mark Murphy / Herbie Hancock

ファンク系セッションのド定番曲がいわゆる「4C」。The Chicken、Cissy Strut、Cameleon、そしてこの曲。基本的にインスト曲で演奏者、特にベーシストやドラマーからリクエストされることが多いです。実はどれも深い背景を持った曲なんですが、セッションイベントでは「素材」扱いされることが多いですね。
(歌詞は最下段に掲載)


ポイント1:インスト曲を歌う意味

インスト曲がコールされると、基本的にはボーカリストの出番はありません。おとなしく次の曲を待つか、それとも・・・。

実は「4C」どれも「歌う」ことが可能ではあります。リズムと進行が分かれば、テーマを歌うこともボーカルアドリブを乗せることも可能。
特にこの曲は原曲のメロディーが分かり易く、音域も常識的な範囲なので。

世の中にはこういうインスト曲に後付けで歌詞を乗せて歌ってしまう「ヴォーカリーズ」というジャンルがあって、この曲はMark Murphyという人が歌っていました。

(サンボーンやブレッカー兄弟も参加しているちゃんとしたアルバムです)

という訳でボーカリストの皆さん、指をくわえていないで、どんどん参加しちゃいましょう。出番が増えるだけでなく、「歌伴奏」が嫌いな演奏者と共演する貴重な機会にもなります。歌に対してフラットな態度(歌の引き立て役じゃない)なので、ガチな演奏と渡り合う機会です。キメのある進行なので、ボーカルアドリブ(スキャット)をやっても迷子になりにくい利点も。

ポイント2:Cantaloupe

マスクメロンのことです。そういう名前の島は実在しないっぽいので、架空の「南の島」かな。

They say there′s an isle, an ocean away
「isle」=「island」で「遙か彼方に(伝説の)島があるらしいよ」と。

そこでは時間の感覚が無く、夢見るように身体の力が抜けて、みんな踊っている。樹々には果物がたわわに実っていて、ワインも飲み放題。
そんな楽園的なイメージ。

ちょっと行ってみたくなりますね。
曲調もちょっとトロピカルな感じです。

ポイント3:浦島太郎?

But beware the happiness
You'll get lost in loneliness

そういう楽園でずっと過ごしていると、いつ来たのか、いつまで滞在するか、我を忘れてしまいますね。
「でも、それが普通じゃないんだよ、自分の幸せを噛み締めなさい」
「孤独に迷い込んでしまうことだってあるから」
と歌っています。

なんだか浦島太郎みたいですね。世界中には似たような寓話が沢山あるので、Mark Murphyもそれを意識したのかもしれないですね。果たして主人公は現実世界に戻ってこれるのか・・・?
それとも素敵な演奏の波に飲まれて流されていってしまうのか。

ポイント4:どう歌うか

これは偏見ですが、ヴォーカリーズ系のヒトってテクニックはあって音感はいいのですが、声のいい「歌ウマ」さんじゃなくて「ヘタウマ」さんが何故か多い気がします。個性と味で勝負と。歌ウマだったらおとなしくジャズスタンダードを素直に歌っていればいい訳で。

ということで、この曲もMark Murphyや彼をカバーしている人の歌を聴いてもあまり参考になりません。だからお手本無しに自分の好きなように歌えばいい、という好都合な状態です。正解も不正解もありますせん。ラッキー!

ポイント5:発音のポイント

という訳で発音のお手本もあまりないのですが・・・

Plenty food and plenty wine
「plenty」の「t」は軽めでいいと思います。

But beware the happiness
「beware」意外と発音が難しい単語です。「w」をちゃんと発音するように唇を尖らせましょう。

あとキメ箇所に乗っている歌詞(下記の「*」箇所)は
うまく譜割りに乗せて発音しましょう。ちょっと不自然な区切りにはなってしまいます。その辺りが「後から無理矢理に歌詞を乗せた」歪みですね。

番外編その1:別バージョン、楽器ソロに歌(歌詞)を乗せたもの

Jazz Singer 深尾多恵子(TAEKO)ーCantaloupe Island

この人はテーマだけ歌うのではなくて、原曲でフレディ・ハバートがトランペットで吹いているソロに歌詞を付けて歌ってしまっています。ホントのヴォーカリーズで、歌も上手いですね。

こんなことまで出来れば楽しいですね。

*即興性が命の楽器ソロ(アドリブ)をわざわざコピーして(いつも同じ節で)歌うのって意味あんの?という意見も一部にはありますが・・・

番外編その2:リズムについて

https://kurodakazuyoshi.com/archives/3978

ドラマーの黒田和良さんがリズムの秘密についてちょっと書いています。
面白いですね。

■歌詞

Woah yeah, they say, they say
They say there′s an isle, an ocean away
Where time doesn't care
It′s dreamin' and swayin'

*Plenty food and plenty wine
 People dancing in the pines

A sure way to go, the island so free
You close both your eyes,
believe what you see

*You′ll be there in no time flat
 Baby, this is where it′s at

The winds are so warm, you wear just a smile
You eat and you love, alive all the while

*But beware the happiness
 You'll get lost in loneliness

The mist from the sea will hide you away
The game that you play will turn night to day

*You′ll be gone for sure, my friend
 What a poxy way to end


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