セッション定番曲その155:Chameleon by Herbie Hancock
ファンクセッションのド定番曲。「何は無くとも」という感じでリクエストされます。で、「歌う」?
ポイント1:なぜインスト曲を歌うのか? (超個人的意見)
「フリーセッション」とか「ノンジャンルセッション」と銘打っているイベントの場合、実質的には「ジャズファンクの定番曲を中心にやるセッション」のことも多いです。
そういう場で最悪なシチュエーションは「参加者の誰もよく知らない、構成の複雑な曲」を誰かがリクエストして「演奏者がみんな配布された譜面ガン見」で「アイコンタクトも無く」「途中まで手探りで、グルーヴ皆無」というやつ。ルール上は違反ではないので、アリなのですが、自己満足に終わってしまう場合が大半。もちろんプロや上級者は譜面(大抵はリードシート)から意図を読み取って、なるべく早い段階でグルーヴを掴もうとするのですが。
必然的に「ジャズファンクの定番曲」というのが決まってしまいます。リフが特徴的で、ソロは1コードか2コード。この「Chameleon」もそのひとつ。同じHerbie Hancockでも「Sly」とかをいきなりやらない訳です。
そんなイベントに普段はポップスやR&Bを歌っているボーカリストが参加するとどうなるか?なるべく共通点になるような曲(ファンク要素のあるもの)を探してリクエストすることになりますが、それも割といつも同じような曲になってしまい、何度も「Just The Two Of Us」とか「What's Goin' On」とかを歌うことになります。
次に考える手としては「それじゃ一歩踏み出して、ジャズファンクの定番曲(基本的にはインスト)を歌えばいいじゃん」ということに。音域の問題は多少ありますが、メロディがあってリズムがある以上歌えない曲は無い訳で。そう思って探すと案外簡単にヴォーカリーズ化して歌っている人が見つかります。Eddie Jeffersonはそんなひとり。
Eddie Jefferson、1976年録音
ボーカリストとしてはそんなに歌の上手い人ではありませんが、抜群のリズム感で、メロディに乗る歌詞を書いて歌っています。歌詞はそれぞれが独自に付けるので、様々なパターンがあります。
Danish jazz group Dynamic
バカみたいなことを一生懸命やるのって楽しいですよね。
Rowbotham/Brown
Rupierre Le Funk
治外法権のJazzやHip-Hopを経由して戻ってくると、なんでもアリだなと自由な気分になりますね。まぁ、あくまでも「お遊び」なので、やり過ぎてウザがられないように気を付けましょう。
ポイント2:ちゃんと原曲を聴こう
そんなに「定番曲」なのに意外とちゃんと原曲を聴かずに「ハネる8ビート」として簡単に演奏している人も多いですね。それも別にルール違反でもマナー違反でもないんですが。
Herbie Hancock、1973年録音
ベースはPaul Jackson、ドラムはHarvey Mason。ちゃんと聴くと意外にタメの効いた複雑なリズムであることが分かります。そのリズムがあってこそのあのリフ。
ポイント3:様々な演奏
Maynard Ferguson、1974年録音
いかにもの派手なジャズロック、ギターが大暴れしています。
Maceo Parker
いま巷のファンクセッションで演奏されているイメージに近いかも。
Stanley Jordan、1994年録音
バックの演奏がなんとも下品な音で、ある意味衝撃的。
Studio Jams、2013年スタジオライブ
まさかのレゲエバージョン
余談:密かに歌おうと狙っているジャズファンクの定番曲
Crazy Race
これには最初から歌があります。
Red Baron
Stratus
Strasbourg / St. Denis
Jean Pierre
Tutu
◼️Chameleon 歌詞(例)
Don't look into those eyes,
They're there to hypnotise.
Those funky stalkin' feet,
Just watch them slowly creep.
You'd better watch him when his face is black,
He's angry when he's black,
That tongue is ready to attack,
So don't you turn your back.
Better watch around you feel fear,
Though you can't see him, He's near.
Sneaky, creepy, funky lizard,
That thing is groovy, Rhythm hard.
Nasty, growling, smoke-wreathed jazz form,
Blowin' that golden horn,
Smooth talk, groove walk, funk-eyed jazz dude,
The ladies love him, It's rude.
He is the chameleon, 'cos you never can see him.
When he walks in, the lights go dim.
You can't hear him when he plays the theme.
His music is magic, it takes wing.
Listen, glisten, don't you never forget it.