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セッション定番曲その33:Lovin' You by Minnie Riperton / Janet Kay

女性シンガー向けの、美メロディのセッション定番曲。音域が広く難しそうではありますが・・・
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。


ポイント1:Lovin' You

Lovin' you is easy cause you're beautiful
「あなたを愛してしまうのは自然(簡単)なこと、だってあなたは素晴らしい(美しい)から」

歌の冒頭からいきなり首ったけな様子が分かりますね。人を愛するのに理屈なんていらない、「beautiful」はきっと自分を納得させる為の後付け。
こんな調子で全編、とにかくストレートに相手への愛の言葉が綴られています。ちゃんと表情豊かに歌わないとかえって気恥ずかしいですね。

何度も出てくる「Lovin' you」は、「Loving You」ではなく「g」音を省略して(飲み込んで)歌いましょう。「l」「v」「n→y」と発音の難しい音がこの中に沢山ありますが、それだけに気を取られてしまうとメロディが疎かになってしまうので、要注意。よく聴くと箇所によってメロディを変えて歌われていますね。

ポイント2:Makin' love with you

Makin' love with you is all I wanna do
「あなたとずっと愛し合って触れ合っていたい、それだけが望み」

「make love」は普通は「s●x」行為そのものを意味しますが、それだと愛する対象が限られてしまい、歌の解釈が限定的になってしまいますね。オトナ同士の愛だとすれば、この曲は粘っこい求愛ソングに。
ただ歌の一番最後にスキャットで出てくる「Maya」というのはMinnie Ripertonの幼い娘の名前のようで、我が子に向けた愛を歌ったものだと考えると、もっと無垢な無償の愛というイメージになります。このあたりの解釈は諸説あるみたいです。一応サラッと歌っておくのが無難かも。

この解釈次第で直前の「beautiful」の意味合いも変わってきますね。

ポイント3:La la la la la, la la la la la

ラララが出てくる歌は沢山ありますが、この曲のラララはその中でも一番美しく意味のあるものだと思います。ここにどんな思いを込めて歌うかが、この曲では大事。愛する対象に呼び掛けるように、愛の言葉として歌いましょう。

「La」を5回(+休符ひとつ)を歯切れよく歌いましょう。

ポイント4:Minnie Riperton

スティーヴィー・ワンダーのバックコーラスの経験もあったミリー・リパートン。彼の協力で制作した(子育てからの)再デビューアルバム(1975年発表)に収録されていたのがこの曲。

しかし翌年1976年に彼女の乳ガンが発覚してしまいます。

音楽を聴く時に過剰な思い入れは禁物ですが、そういう儚さを彼女の歌声には感じてしまいます。


ポイント5:ハイトーン

5オクターブ以上と言われていたミリーの歌声、この曲の中でも特徴的なハイトーン(ホイッスルボイス)の箇所があります。それまでハイトーンというと、ソウルシンガー的な絞りだすようなシャウトやオペラ唱法のようなものはありましたが、力を抜いた自然な感じのハイトーンで、それがちゃんと曲の一部になっていたものというのはそんなになかったんじゃないかと。

もちろんそれ以外の部分の高音部の歌詞を乗せて歌う箇所も大事ですが、ここは聴かせどころではあります。曲として絶対に必要な訳じゃないけど、このハイトーンを聴くと「ああ、Lovin' Youだなぁ」と感じるパートではあります。声の出し方はYoutubeとかで様々な講師の方が説明しているので、参考にして練習してみてください。

ただあくまでも「ケーキの上のイチゴ」的な部分ではあります。土台のスポンジケーキやクリームが美味しくないと台無し。

ポイント6:cause

単体では「原因/要因」という名詞ですが、ここでは「because」の省略形です。「'cause」「coz」「'cuz」という表記の場合もあります。現代の歌の中ではこういう省略形が使われることが多いです。「because」と言うと「きっちり理由を説明するぞ」という感じになっちゃうので、「~だからぁ」という軽い感じで前後を繋げるのに向いているんじゃないですかね。

発音する時に「(be)cause」という感じで「be」を飲み込んだ感じで一瞬間を空ける場合と、かまわず「coz」と発音してしまう場合とがあり、意味の前後関係とメロディに乗るかどうかで判断してしまえばよいと思います。

ポイント7:a dream come true

Lovin' you is more than just a dream come true
「dream come true」はよく出てくる表現なので、ひとつのカタマリとして覚えてしまい、発音するようにしましょう。

「dream」は実は発音の難しい単語で冒頭の「d」音はちゃんと強く出して、すぐに「r」音に移行します。「ea」は唇を思い切り横に広げて「イー」と出した時の音です。「m」は唇を閉じた音。という訳で短い間に忙しく口を動かないといけない訳で、普段話している日本語からするとちょっと下品というか大袈裟が口周辺の動き。だからこそ話している時、歌っている時の顔の表情が豊かなのかもしれません。表情筋のトレーニングにもなりますね。

「true」も同様に、「d」音はちゃんと強く出して、すぐに「r」音に移行し、「ue」は唇を突き出して発音します。

ポイント8:while we grow old

Stay with me while we grow old
これもひとかたまりで発音出来るように練習しましょう。
短い間に「w」音が頻繁に出てくるので、そのつど唇の先を尖らせる必要があります。この「w」音が弱いと何だかボヤケた感じに聴こえてしまうので、頑張りましょう。
l」音と「r」音も順番に出てきます。差が付くように気を付けましょう。「r」音は「l」音に比べて暗い感じがするので、聞き分け易いのです。

ポイント9:Janet Kay

1990年代になって日本ではJanet Kayによるレゲエバージョンのカバーがヒットしました(実際にはもっと昔にレコーディングされたもの)。正確に言うと「レゲエ」というよりは「ラヴァーズ・ロック」です。レゲエのリズムパターンは活かして、内容的にコンシャス(政治的な主張など)なものではなく恋愛モノ、印象としてリラックスした甘い感じ。

ラヴァーズ・ロック - Wikipedia

このバージョンをラジオや有線放送で聴いて耳馴染みになっている人も多いのではないかと思います。原曲とは違うけど、より甘いアレンジで、心地よい歌声。高音部もキレイです。
夏のビーチに似合うのはこっちのバージョンかもしれません。


その他には

Shanice、1991年録音
まだ子供ですね。


Olivia Newton-John、2004年録音


Che'Nelle、2011年録音
ビートを効かせたアレンジになっています。


■歌詞

Lovin' you is easy cause you're beautiful
Makin' love with you is all I wanna do
Lovin' you is more than just a dream come true
And everything that I do is out of lovin' you

La la la la la, la la la la la
La la la la la, la la la la la
Do do do do do, ooh

No one else can make me feel
The colors that you bring
Stay with me while we grow old
And we will live each day in springtime

Cause lovin' you has made my life so beautiful
And every day of my life is filled with lovin' you
Lovin' you I see your soul come shinin' through
And every time that we, ooh, I'm more in love with you

La la la la la, la la la la la
La la la la la, la la la la la
Do do do do do, ooh

No one else can make me feel
The colors that you bring
Stay with me while we grow old
And we will live each day in springtime

Cause lovin' you is easy cause you're beautiful
And every day of my life is filled with lovin' you
Lovin' you I see your soul come shinin' through
And every time that we, ooh, I'm more in love with you

La la la la la, la la la la la
La la la la la, la la la la la
Do do do do do, ooh
Lovin' you
La la la la la, la la la la la
Do do do do do
Dee do, dee do, dee do
Maya, Maya, Maya, Maya
Maya, Maya
La la la la la la la la
Dee do, dee do, dee do


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