セッション定番曲その3:Feel Like Makin’ Love by Marlena Shaw / Roberta Flack
今日も世界中のライブハウスやバーで歌われ、演奏されているはずの名曲。セッションイベントでのド定番曲でもあります。事前に選曲が決まらず、ステージ上で「じゃあ、とりあえずFeel Like...で」という会話も頻繁に聞かれますが、「とりあえず」とかで演奏するのはもったいないので、心をこめてやりましょう!
(歌詞は最下段に掲載)
和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。
ポイント1:この曲にこめる感情(個人的な解釈です)
下記で説明するように歌詞の内容はとにかくストレートにエロいです。
それを濃厚に表現するのもアリですが、この曲を最初に歌ったRoberta Flackの歌を聞くと「思わず出てしまった言葉」という印象を受けます。「(お互いに)秘めた思いなのに、状況に刺激されて思わず伝えてしまった」というのもまたエロいですね。何回も歌い慣れて、演奏し慣れている曲に「思わず・・・」という感情をこめるのって難しいですが、オトナなあなたなら出来るはず。好き好き言い過ぎてしまうと相手は逃げてしまうもの。
以下、歌詞に込められた思いを探っていきます。
ポイント2:Watchin' winter turn to spring
情景描写、冬景色が春の景色に変わっていく。
暖かく、花も咲き始めてくると人の心もほぐれてきて、ウキウキし始めますね。冒頭の歌詞なので、この曲の雰囲気を決めるような部分になります。ウキウキ度合いは人によって差があるけど、歌う人、演奏する人のウキウキ具合が揃うと素敵ですね。
いきなり発音の話ですが「w」の音がちゃんと出せていない人が意外と多いです。ここでは「Watchin' winter」といきなり2連発ですね。唇の先を思い切り尖らせて明瞭に発音しましょう!うまくいくと気持ちいいです。
ポイント3:Watchin' lovers do their thing
「暗がりで恋人たちがすること」っていったらひとつですよね。このイチャイチャ具合もみんなでイメージを揃えたいですよね。見つめ合うだけなのか、ボディタッチありなのか、もっと先なのか・・・
それを見ている歌い手が刺激を受けるような情景を思い浮かべたいですね。
ポイント4:I feel like makin' love to you
「feel like xxxing」は「xxxしたい、したくなる」という意味です。中学生英語ですね。「feel=感じる」という単純な訳ではありません。
そして問題の「make love」というのは「s...x(する)」そのものです。そんなことを人前で大きな声で歌ってもいいの?と驚いてしまいますよね。意味が分かってしまうと逆に歌うのが恥ずかしくなってしまう歌詞。
状況的には恋人に対して囁いているということだと思うんですけど。歌詞的には語り手の性別はハッキリしませんが、女性が歌うことが多い曲ですよね。
で、どうするか?
*パターン1:思い切って客席を見ながらはっきりと大きな声で歌ってしまう
*パターン2:歌としては弱くなってしまうけど「囁く」をイメージして歌う
*パターン3:「makin'」か「love」のどっちかを聞き取りにくいようにフェイクして歌う
う~ん、個人的にはパターン2でやっています・・・
考え過ぎ?
実は「love」という単語の発音は、日本語の「ラブ」とは違って、ちょっと奥まったというか暗めの音なんですよね。
ポイント5:When you're moanin' sweet and low
「morning=朝」ではなく「moan=思わず声が出てしまう」という感じですね。発音も全然違うので「móun(発音記号)」をちゃんとね。
辞書だと「うめく、うめき声」という日本語があてられていますが、「moan in pleasure」「moan with pleasure」という表現もあるので、嬉しい声の場合もある訳です。エロいですね。歌い方としては「sweet and low」を情感をこめて、あなたの最大限のエロさを表現しちゃいましょう。なにせ邦題は「愛のためいき」らしいので。
関係無いけど「Moanin'」というジャズの名曲がありますね。
ポイント6:makin'
正式には「making」ですね。この「ing」が「in'」になっているのって、いまだにwordとかのスペルチェックで「間違えてますよ」と指摘されちゃいますよね。いわゆる「口語系のスラング」でもともとは黒人由来かと。
発音としては、綴りは無視して「making」と発音しても「g」抜きで発音してもいいと思います。いずれにせよ直後の単語(の発音)次第なんですが、個人的には「g」抜きで発音した方が粋なのかな、と。
ポイント7:リズムやテンポ
ハネる16ビートの代表的な曲ですが、この「ハネ具合」をちゃんとみんなで合わせるのが大事ですね。セッションイベントでは演奏者の誰か(ギターかキーボードか、あるいはドラムかベースか)がイントロを出して、そのノリに他のみんなが合わせていく場合が多いと思いますが、イメージが共有出来ていないと最初のうちはバラバラなノリになってしまっていることもありますね。その手探り具合がセッションの醍醐味という意見もありますが、聴いているお客さんがいる場合にはそうもいかないですよね。イントロを出してくれた人の意図を素早く理解して、ノリを合わせるようしましょう、独り善がりはダメ。
歌詞の内容的にはあまりハネ過ぎちゃうとちょっと違うのかなという気もしますが、インストの場合は思い切っていっちゃう場合もありますね。
16ビートの曲の場合、テンポを思い切って変えるとまるで別の曲みたいな雰囲気になることがあります。試しにいつも演奏しているテンポよりもぐっと落として隙間多めでやってみると、エロさが増したり、怪しい雰囲気に変わる場合も。逆にテンポを上げると、歌う人はちょっと大変ですが、隙間を埋めて歌詞の末尾を引っ張ってみたりすると面白いかもしれません。テンポ早めの方がスキャットなんかはしやすそうですね。
Marlena Shawのライブ録音
Roberta Flack
George Bensonのライブ録音
Kelly Mittleman、2006年録音
D'Angelo、2000年録音
おまけ:Strollin' in the park
冒頭の「Strollin'」もいきなり発音が難しい言葉です。
「s」「t」「r」の間に母音は入らず、子音3連発です。
ウキウキと歩いている感じを込めて歌いましょう!
■歌詞
Strollin' in the park
Watchin' winter turn to spring
Walkin' in the dark
Watchin' lovers do their thing
That's the time I feel like makin' love to you
That's the time I feel like makin' dreams come true
When you talk to me
When you're moanin' sweet and low
When you touch me
And my feelings start to show, show, oh
That's the time I feel like makin' love to you
That's the time I feel like makin' dreams come true
In a restaurant
Holdin' hands by candlelight
Wanna touch you
Wantin' you with all my might
That's the time I feel like makin' love to you
That's the time I feel like makin' dreams come true