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セッション定番曲その114:Purple Rain by Prince

ロック/ファンクセッション定番のバラード曲。ギターを思い切って鳴らせるので人気があります。
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。


ポイント1:Purple Rain

1984年公開の同名映画のサウンドトラック/アルバムのリード曲。この時はThe Revolutionというバックバンドとの共同名義になっていました。

Purple Rain(紫色の雨)とは何でしょうか?
当人の説明では「赤+青=血で染まった青空」から降り注ぐ雨、という情景みたいですが、インタビューでもなかなか本心を言わない人だったし、紫色がそもそもPrinceのシグネチャーカラーだったので、説明は後付けな気もしします。映画の筋やこの曲の登場シーンを無視して歌詞だけで解釈すると、イメージ的には「世界の終わりに降る雨」を歌っているようですが、それが希望に満ちた終末なのか、それとも絶望的な終末なのか、解釈は分かれそうです。

歌い方や後半部のギターソロの感じからして「官能」そのものについての曲な気もします。

*映画の中では「バンドの女性メンバーが書いた曲」という設定になっているようです。

ポイント2:愛人との別れ?

I never meant to cause you any sorrow
I never meant to cause you any pain

I never wanted to be your weekend lover
I only wanted to be some kind of friend, hey
Baby, I could never steal you from another
It's such a shame our friendship had to end

君を悲しませたり苦しませたりするつもりはないよ
週末だけの一時的な関係じゃなくて、なんていうか「友達」みたいな関係でいられたらいいな
他の誰かから君を奪い去るなんて出来ないよ
そんなことを僕らの「友情」が終わってしまうなんて残念だから

なんか微妙な距離感ですね。
「男女の友情」は成り立つのか?当然「肉体関係」はある中で。
歌い手が男性だとすると、どうも自分勝手で都合のいい話ですね。

で、そんなモヤモヤした感じのまま
「君が紫色の雨を浴びて、笑っているのをみたいんだ」と。

歌う際に、最初は歌詞と譜割りの関係が分かりやすいですが、曲が進むと段々と歌詞の言葉が増えて感情的に盛り上がっていくので、曲にのせていくのが難しくなります。その辺りはいかにも「黒人音楽」のお作法にのった作りだと思います。

*1番2番3番それぞれの歌詞で歌いかけている相手(You)が異なる、という解釈もあります。


ポイント3:Prince

1980年代のアーティストって、それ以前のアーティスト/音楽をうまく解釈して様々な要素が詰まったハイブリッドな作品を作る人が多かったと思います。Princeもファンク/R&Bをベースにしながら、歌はMJ、ギターを弾けばハードロック、1980年代的なエフェクトたっぷりでポップな曲調、と「Princeっぽい」としか表現しようのない世界観の作品を量産していました。

ファッションや立ち居振る舞いは「ケレン味」そのもの。ディスコ時代の黒人ミュージシャン達の影響に加えて、1970年代前半のDavid Bowieの在り方にも影響を受けていた気もします。「もう一人の人格」を作って演じる、という意味で。ある意味「芸能界」っぽいですね。なので「等身大」での振る舞いをヨシとするロック系のミュージシャン達とはかなり違いますね。その胡散臭さも含めて愛せるかがPrinceを好きか嫌いかの分かれ目。

この曲はPrinceの曲の中でも時代の波に埋もれず生き残っていて、演奏され歌われている曲です。物語と切り離しても曲として分かりやすいし、ファンク的にもハードロック的にもゴスペル的にも解釈してアレンジ出来るので。

特徴は歌パートが終わった後のインスト部分の中の長大なギターソロ。伴奏のアレンジも壮大で、私は後期のZep的な匂いを感じました。


ポイント4:様々なカバー

Etta James、2005年録音
ソウルバラードとしての歌唱。色々な音が鳴っていますが、エレピがいい感じですね。ギターは彼女のバックバンドメンバーのBobby Murrayでブルースロックっぽい感じ。


Eric Clapton、2019年のライブ演奏
割とストレートなカバーです。豪華なメンバーですね。


Miche Braden
ピアノバラード、歌はソウルというよりゴスペルっぽい。隙間の多い曲なので歌ウマさんの大好物


Jolan
アコースティックアレンジ


Bruce Springsteen
ロックバラード


Jeff Beck, Beth Hart, Jan Hammer, and Steven Tyler
2017年のライブ演奏


ボサノバ・アレンジ


ジャズ・アレンジ


レゲエ・アレンジ


◾️歌詞

I never meant to cause you any sorrow
I never meant to cause you any pain
I only wanted, one time, to see you laughing
I only want to see you laughing, In the purple rain

Purple rain, purple rain
Purple rain, purple rain
Purple rain, purple rain
I only want to see you laughing, In the purple rain

I never wanted to be your weekend lover
I only wanted to be some kind of friend, hey
Baby, I could never steal you from another
It's such a shame our friendship had to end

Purple rain, purple rain
Purple rain, purple rain
Purple rain, purple rain
I only want to see you underneath the purple rain

Honey, I know, I know, I know times are changing
It's time we all reach out for something new
That means you, too
You say you want a leader
But you can't seem to make up your mind

I think you better close it
And let me guide you to the purple rain

Purple rain, purple rain, yeah
Purple rain, purple rain, wooo!
If you know what I'm singing about up here
Come on, raise your hand
Purple rain, purple rain, yeah
I only want to see you
Only want to see you in the purple rain




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