二十四節季を取り入れる理由
こんにちは、株式会社SOYMIL(ソイミル)代表の佐藤です。
今回は、二十四節季を取り入れた理由を紹介させていただきます。
前回の記事で、SOYMIL KITを地域資源を表す結晶として発信していく決意をしました。
土地、文化と共同体を地域資源を構成するものとして位置付けた際に、この三つが繋がるものがあるんじゃないか…と探究していました。そして、その答えの一つが暦ではないのだろうかと考えるに至りました。
1.季節と歳時をつなぐ縦の糸
私は中国本土で生活した経験があります。中国に限らず韓国やベトナムでは正月やお盆(清明節)が旧暦に連動しています。日本も明治維新の前までは旧暦、すなわち太陰暦を用いていました。
明治時代の「近代化」の下で太陽暦(西暦)が採用されました。西暦はクリスマス(イエスの誕生日)の8日後の割礼(ユダヤ教の儀式)を年始と定めたため、暦が1か月ほど前倒しされました。ところが、四季折々の歳時を旧暦の日付のまま行っています。
1月1日に春を感じず、3月3日に桃は咲かず、七夕は梅雨の最中という季節と歳時がズレがあるのです。農作物を含めて、土地、文化や共同体を繋ぐ縦の糸が暦になりうるのです。
太陰暦の季節からのずれとは無関係に、季節を春夏秋冬の4等区分する暦のようなものとして考案された区分手法である二十四節季の概念をデザインや紹介文として取り入れることで、SOYMIL KITに新しい風を吹かしていきたいと考えています。
2.歳時と大豆をつなぐ横の糸
大豆には季節性があるのか?
これに対する正直な回答を申し上げると、収穫期は概ね日本全国大きな差はなく、春が旬の〇〇、秋が旬の〇〇は打ち出しにくいです。
それでも、季節性を取り入れたい理由としては、多種多様な産地の歳時に触れる契機になるんじゃないかと思ったからです。
大豆をはじめ、穀物や野菜はコモディティ商品となっている現状があります。コスパを理由に北米産やインド産の安価な原材料が代替して多様性を駆逐しており、この動きはもっと加速していくかもしれません。
生きることと深く向き合い続けていく契機を提供していく、そのためには長い歴史の中で大切にしていた壮大なストーリーに身をゆだねる機会を提供したいと考えています。
商業的なセールでのみ時の流れを感じるのってなんか寂しいと思いませんか?
3.そんなのに意味があるのか?
SOYMILは健康的な食生活に役立てたいという声のもとで受容されており、そのような方々の存在を常に実感しています。
それでも二十四節季の概念、人間の本質的な生き方に適合する習慣は、心身が健康なより良い生き方に繋がると信じています。
『暇と退屈の倫理学』(國分功一郎 著)があります。その付録「傷と運命」の中で心に残る一節がありました。
私たちは日々の生活の中で、様々なサリエンシー(突然の出来事等)が起こります。
サリエンシーち向き合う時、私たちは戸惑い、不安になり、ストレスに押し潰されそうな思いをするかもしれません。
そんなときに、サリエンシーはいつまでも続くものではない、いつかどこかで終焉を迎えると感じさせる体験があると、それだけで心強くなることがあると、私自身も感じた経験があります。季節の移ろいは、サリエンシーを乗り越える強力な手助けをしてくれるのです。
我々、日本人が過去に捨ててしまった偉大なる暦は確実に、土地、文化と共同体を繋ぐ要素です。
そして、それを現代にSOYMIL KITを構成する要素として継承し、広く発信していくことは、より豊かで、幸せな生き方に繋がる要素があると確信しています。