「伸び」の誤解
尾山ヨガ教室はアブノーマルなレッスンであり、一般的に広まっているヨガのポーズから外れ「伸び」としてポーズを行っている。そしてまた、「伸び」を生活のなかに取り戻すことを提案している。
参考:
これまでに「伸び=ストレッチ」という誤解については、散々繰り返し発信してきてはいるのだが、今回はもう一歩踏み込んで"もう一つの誤解"についての話をすることにする。
1.「伸び」の印象
まず、「伸び」に対するイメージはどのようなものであろうか?
上の2枚のイラストはどちらも、それなりに「伸び」をしている雰囲気のものを拝借させていただいた。
どちらもストレッチしている雰囲気ではなく、顔をしかめて「ふんぐぅぅぅ~」などとチカラを込めている雰囲気が出ているところは適切といえる。
ちなみに、先日レッスンを体験された4名それぞれの方に、「伸び」のイメージを訊ねたところ、皆さんイメージ①の姿勢をとっている。
しかし結論からいえば、イメージ①は「伸び」をしている感じは出ておらず、イメージ②は「伸び」をしている感じが出ている。
無論、あくまでもなんとなく見ための判断ではある。
さて、この2枚のイラストは次の2点で大きく異なっている。
まず、イメージ①では両手を組んでいるためチカラを込めることに適していないが、イメージ②では両手は組まれていないためチカラを込めることに適しているし、手指の形もまた適している。
次に、イメージ①では腕が天上に方向づけられ上体が中立しているため、部分部分が衝突しあいチカラが込められていないように見えるが、イメージ②では腕が背後に方向づき上体が後屈しているため、部分部分が協力しあいチカラが込められているように見える。
2.「伸び」の核心
ところで、「伸び」と呼ばれている作用の中核をなしているのが「勢力の上昇」である。即ち、チカラを「んぐぅ」と込めたなら、チカラの流れが【肚】→【胸】→【頭】と上昇するのである。
※ ちなみにこれは、ハタ・ヨガでいうところの「上昇の締付(ウディヤーナ・バンダ)」といえるであろう。
この上昇にともなって、【鼠蹊窩 鳩尾 腋窩 頸窩】が下の絵図のように方向づく。(頸窩は逆に向くこともある)
3.「伸び」の姿勢
1.× 適していない姿勢
チカラを込めるのではなく、頭脳の印象にあわせて腕を天上へ方向づけると、勢力は衝突しあうため素直に上昇せず「伸び」にならない。
2.○ 適している姿勢
チカラを込めることによって、身体の機能にあわせて腕が背後へ方向づくなら、勢力は協力しあうため素直に上昇して「伸び」になる。
※ このとき、ハタ・ヨガでいうところの「三重の締付」も自然と起こるはずである。
参考:
3.△ 適しきらない姿勢
一般的な後屈のように鼠蹊窩が前面に移動していると、勢力は衝突しあうためチカラは込めきれず、素直に上昇しきらず「伸び」になりきらない。
参考:
4.「伸び」の実践
腕を天上に方向づけるという無理無駄を止めて、腋を背後に方向づけることから始めてみると良い。それだけでもこれまでにない快感を感じることもあるはずである。
そのうちきっと、チカラを込める感じ、チカラを出しきる感じ、全身が統一される感じなども自覚できるようになり、何の違和感もない、身がままの爽快な「伸び」を味わえるようになるはずである。
以下の手順を参考にして、「伸び」を実践してみると良い。
1.「伸び」の手順(初心者向け)
2.全身協調運動
生後まもなくから身体が起こす「伸び」は、全身が協力した無理のない姿勢であり、本能による心身調整作用といえる。ここでいう全身とは、そのまま全身である。
即ち、手指・足指・表情まで協力させて、かたい瓶のフタを開けるときのように、あるいは雑巾を絞るときのように、ジワジワ「ふんぐぐぐぅぅぅぅ」とチカラを込めて全身に勢いを生じさせてみよう。
3.参考動画
参考: