
ムービーパス:最新15記事のスクラップブック
211号のコラム用に引用した記事の数々を、リストにして掲載。すべて英文ですが、邦訳タイトルを読み通すだけでも雰囲気は掴めるはず。詳しく調べたい方のために。
先週のコラムは、mofi上で正式にムービーパスについて取り上げたわけですが...。いつもは注釈をつけて引用元の記事を列挙するところ、長文になったので割愛しました。
かといって、そのままでは正確性を問われかねないので、今回は「編集後記」の場を借りてソースを紹介していきます。
いずれも、5月末から6月後半にかけての主だった記事たちです。掲載日時をつけて時系列で貼り付けてあります。計15本。
見出しは私の独断と偏見で邦訳。
すべてをチェキる必要はまったくありませんが、気になったものをさらっと眺めるだけでも参考になります。
先週掲載した実際のコラムを読んでから開けば、文脈も理解できるでしょうから一石二鳥。念のためにコラムへのリンクを貼り付けておきましょう:
ムービーパスはハリウッドを救えるか | mofi 211号
年々高騰し続ける映画チケット価格。それと反比例するようにして減り続ける観客動員数。成熟しきったアメリカの映画館ビジネスに飛び込む、月額定額制サービス「ムービーパス」の光と影を紐解くコラム。
では、ムービーパス絡みのビジネス系記事15連発、行ってみましょう。
なお末尾には、この題材についての個人的な見解を簡単にまとめておきました。そちらもぜひどうぞ。
ムービーパス:最新15本のスクラップブック
【01】
ムービーパスの親会社株、一時上昇(5月29日)
※大手マーケットメーカー「Citadel Securities」が、ムービーパスの親会社の株式を5.4%保持していることがわかると、同社の株が上昇。下がり続ける株価に、一時的なカンフル剤となる事件でした。
【02】
ImaxのCEO、ムービーパスは「凋落の一途」との見解示す(6月7日)
※この見解、言ってみれば「プレミアム」劇場としてのIMAXが発言しているわけですから...。そのトップが、安価な鑑賞を良しとするムービーパスを批判するのは当たり前のことなんですよね。とはいえ、みんながみんな煽り記事を鵜呑みにする仕組みがよくわかるでしょう。目を養っておくのにちょうどいい記事です。
【03】
ムービーパス、登録者数300万人突破(6月13日)
【04】
ムービーパス、J・トラボルタ新作のマフィア映画『Gotti』興行の40%に貢献と発表 映画自体は酷評の嵐(6月17日)
※ムービーパスは一時、勢いに乗っていた時代に「製作にも着手する」と大言壮語をかましていたわけですが...。このところ鳴かず飛ばずなジョン・トラボルタ主演の本作は、そんなムービーパスの製作・配給第二作なわけですね。作品の選択眼が悪いから、ハズレ作品の興行に40%も貢献している、と言われても...という話。
【05】
続くムービーパス騒動 ナスダック登録抹消解消のため奔走も...株価は乱高下(6月19日)
【06】
ムービーパス、AMCの月額定額制プラン導入の動きに辛辣コメント投じる(6月20日)
※ここで紹介されているムービーパスの公式コメントには、賛同すべきでしょう。対抗馬を一気に潰しにかかって、自分たちが市場を独占するというAMCの殿様商売ぶりに、「これだからアメリカ経済は複合企業に牛耳られているんだ」と思わずにはいられないわけで。
【07】
ムービーパスの親会社、$164Mにおよぶコンバーティブル・ノート方式での資金調達の意向発表で株価続落(6月21日)
※株価というものは、一度落ち始めると歯止めが利かない、と。
【08】
AMCによる対抗策発表から一夜 ムービーパスの資金調達方針、料金変更、その他の続報まとめ(6月21日
)
【09】
ムービーパス、7月までに人気映画の料金割増へ(6月21日
)
※サプライズ目的ではじめた$9.95プランの持続性は常に疑問視されていただけに、こうして細々と料金を変更されると...。やる気をなくすわけですよね、やはり。
【10】
ムービーパス、5月分の損失は$40Mを超えたと発表 今後の成長には$1.2Bを要するとの見解(6月21日)
※何もしなくとも月々$22Mは経費がかかるというムービーパスの維持費。会員数が増したことで、これが$40Mまで膨らんだらしい、と。「大丈夫なのか?」という話が、ここでの主旨。
【11】
AMCの新規定額プランがムービーパスを倒す算段とは(6月21日)
※AMCの詳細プランを知ることができます。
【12】
定額サービス・ビジネスの乗っ取りは、ほぼ完了した(6月21日)
※ムービーパス・プランとAMCプランとを比較。
【13】
ムービーパスは失敗か否か?(6月22日)
※上記、アメリカの公共ラジオ局「NPR」によるムービーパス紹介のラジオ番組を聴取できます。読むより聞く方が得意という方は、導入編としてこちらを開いてみるのがいいかも。
【14】
解説:ムービーパスがライバルたちを押しのける方法とは(6月23日)
【15】
「Sinemia(シネミア)」が、競合AMCの定額サービスの開始にともなって発表した、強気な声明とは(6月24日)
※「シネミア」は、アメリカ国外でもサービスを展開している定額サービスですが、だいぶ小規模。北米での登録者数は非公開。いまやムービーパスとAMCの影にすっかり隠れていますが、AMCに対して言いたいことはあるようです。彼らのサービスが魅力的かどうかは疑問。
まとめ/そしてどうしても言っておきたい、個人的な見解
以上、15本を紹介させていただきました。
最後になりますが...ヘビーな映画館利用者であり、一映像プロデューサーとしての個人的な思いを一点。
個人的に、ムービーパスには潰れて欲しくないんです。でも、もはや堕ちていく流れを押しとどめることはできないのかもしれません。
このままAMCのような大企業がずる賢く勝利を収めるのかと思うと、悔しいというか、やるせない。コングロマリットが、利を占める世の中なんです。アメリカという国は常にそうだった。もちろん、アメリカン・ドリームを実現できる国でもあるけれど。
それは、大きな力が味方についてくれれば、の話。
1940年代、ロサンゼルスの自動車会社たちが一斉に鉄道を廃止した上でフリーウェイを普及させた、インフラ抗争がそうだったように。
公共交通機関が消え失せた大都市で、車移動の煩雑さに悩まされる後世の人々が、いま、いるわけですね。目先の利益にとらわれる私企業に翻弄されて、その後何十年ものあいだ、大いなる負の遺産に悩まされる大多数がいる。
映画館ビジネスも、そんな潮流のただ中にいます。まだまだ勢いはあるけれど、新しいビジネスモデルは求められている。
そんな中、潰えていく産業に光明を見出そうとする勢力がいるわけです。その彼らが、ともすれば既得権益層にひねり潰されてしまう。そうなったら、数年、あるいは数十年、時代を逆行することになりかねない。
「映画館をより親しみやすいものにする」という命題に答えたかに思えた、ムービーパス。そのビジネスモデルは、あるいは時代の先を行き過ぎて燃え尽きるのでしょうか。
このままいけば、答えは思っているよりも近々に出そうです。
無駄な抵抗のしるしに、二束三文のムービーパス株、本当に買おうかなぁ。