空っぽ財布の末路
若い頃から、とにかく好きなモノに全財産を注ぎ込んできた。
別に自慢できる事ではないが、30代になるまでろくに貯金できた事はない。とにかくモノを買いまくってきた自負というより事実がある。
酒屋になった30代からは「食」や「体験」にお金を注ぎ込む事が増えたのだが、それまではとにかく好きな「モノ」を買いまくっていた。ジャンルはホントにさまざまで、本、服、文具、釣具、時計、家具、自転車、車(ちなみに初めて買った車にいまだに乗っている)、などなどである。
僕の場合、30歳になるまでは、いわゆる「カタチのないサービス」や「体験」にお金を使う事はほとんどなかったように思う。
とにかく物質的な「モノ」が好きだったので、好きなモノを徹底的に調べて、実際に徹底的に買って、徹底的に使い込んできた自負がある。もちろん失敗も数え切れないほどしてきた。
おかげさまで徹底的にお金はなくなったが、"目利き"は人よりは出来るようになったと思う。
『BEAMS AT HOME』といって、日本を代表するセレクトショップを運営する株式会社ビームスがスタッフのライフスタイルを紹介している本がある。
何巻か出版されているのだが、この1巻がとてもいい。
さまざまなスタッフの住居やお気に入りのモノだったりが紹介されているのだが、スタッフへのQ&A項目で、「センスを磨くには?」というものがある。スタッフさんそれぞれの回答がある中で、私が強く感銘を受けた答えは、もちろんこちらである。
散財。
この一言に背中を押され、ますます僕の通帳にお金が貯まる事はなくなったのだ。笑
お酒や食べ物も飲んでみたり、食べてみないとわからないのと同じで、モノも使ってみないとわからない。
高くていいモノもあれば、もちろん安くていいモノもある。いいモノの定義は人それぞれかと思うが、僕にとってのいいモノの定義は、モノによって変わる(←こういうところ面倒くさいと思われそう)のだが、どのモノにも共通して言えるのが長く使える、長く愛せるモノである。
商売人になってからは、さらに「モノ」の奥の奥を考えるようになった。
製造元の規模はどうか。誰がどんな材料でどのように作っていて、だいたいどれくらいの原価、利益率で売られているのか。市場の需要と供給のバランスに対しての価格設定はどうか。プロモーションの仕方はどうか。販売方法はどうか。売り手がいるなら誰がどのような言葉で売っているのか。その売り手はどのように選定されているのか、その売り手の規模やベクトルはどうか、などなどあげるとキリがないのだが(正直まだめちゃくちゃあります)、自分の中で答えが出るまで考えないと気が済まない癖がある。答えが出るまで寝れなかったりするのでもはや病気だとも思う。(治したいかは個人の自由)
どこかで、ジャンルに分けて、自分なりのいいモノの定義を文章にしてみようかと思う。(余計に面倒くさがれそうなのでやめておけ)
振り返って考えてみると、自分が好きなモノに全力で向き合ってきたこれまでの経験が、売り手となった今、とても力になっていると実感している。
特に、今僕が売っているお酒は、表面的には「モノ」であるが、本質的にはその先の「体験」である。この「体験」をどう感動やワクワクに変えられるかに全力を尽くしていて、それは大きなやりがいとなっている。
最後に、こちらをご紹介したい。
(共感感はされないかと思う)
永遠の名機(釣具)、
ABU Garcia Ambassador 5000c
ちなみに4つネジの欧州モデルとなります。
最高です。
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