見出し画像

ぼくが料理人を10年して気づいた 賄いのポイント5選

㐂つねには賄いを作るときのルールがあります。
献立として、ごはんと漬物、汁物は固定であって、そこにメインのおかずが一皿、小鉢が一皿とサラダ一皿(メインとセットでも可)を用意すること。
そんなぼくが㐂つねで賄いを担当して1年が経ちました。
明日から4月ということで、sio株式会社も新卒の方を迎え
(今日は入社式なんです!)
新しい仲間も増えて賄いを作る機会も今より減ってしまいそうです。。

賄いを作り続けたこの1年で、ぼくが意識していることや感じたことを備忘録的に、書き残させていただきます。
そしてこれから新しく飲食の仕事をスタートされる方々が賄いを作る時に、この備忘録がなにか少しでも参考になればと思います!

生姜焼きとキャロットラペ #おうちでsio

1.食材はあるものでどうにかするために

賄いを担当するようになって最初に直面した問題が「何を作ればいいかわからない」でした。
使える食材や調味料の把握、そこから連想できる料理を考える。。
これを毎日イチからしていると、めっちゃ大変です。
なので日頃から作りたいものとか、みんなが食べたいものを聞いたりして
頭のどこかで常に考えて、準備しておいた方が
なにかと良かったことが多いです。
インスタで見たアレ、美味そうやった!今度賄いで作ってみよ!とか、
前行った居酒屋で食べたアレ、やたら美味かった!やってみよ!とか、
実家でよく晩御飯で出てきたアレをイメージしてみよ、とか。
それを今いるお店の食材で、調理・調味でどう再現するか。
(できれば積極的に端材を使って。しいたけの軸とか、型抜きした人参のまわりの部分とか)
こんなことを普段から頭の片隅で備えておくと、割りとどんなときでもスムーズに作れるようになりました。

2.食べ合わせのバランス

自分もこの年になって気付いたんですけど、
((今年で35歳です))
食べるものによって身体は作られているなと感じることが多くて。
やっぱ脂っこくて、重いものばかり食べていると身体も重くなって、少なからずパフォーマンスに影響するんですよね。。
賄いを爆食してしまった後のディナー営業は、それはそれは大変で、、。

だからなるべく、から揚げの日だったら
みんなお米一杯食べちゃうから、あっさりめのスープを添えようとか
サラダは多めにしようとか。

(ちなみにサラダもフリルレタスの芯とか、トレビスの固いところとか白ねぎの青いところとかを貯めておいて、良いサイズ感に揃えてカットしてサラダにしたりしてます)
なので、メインのおかずに全力投球するというよりかは、他のおかずにも助けてもらって
全部食べ終わったときに「美味しかったなー」ってなることを目指して
味の濃淡だったり、口当たりだったり。
食材のテクスチャーの違いなどをコントロールしています。
イメージはあの「鮭定食」の、あのバランス感です。

鮭定食の、あのバランス感。食べ終わった後の幸福感は最強です。。


3.段取りが大切

仕上げる時間を逆算して準備しなければいけません。
営業も平行して進んでいるので、自分の仕事も終わらせながら作りたいものを作るのって案外難しかったりするんです。
だから段取りがめっちゃ大切で、ゴールから逆算して
細かい調理工程なども含めて、
きちんと頭の中で設計しきるっていうことが、本当に大事なことでした。

できればお箸とかスプーン、お冷も自分で用意した方がいいなと思っていて。
ホールスタッフの方が用意してくれることがほとんどですが、
みんなには出来立て・熱々をできるだけ早く食べてもらいたいって思うのと、
なるべく休憩と同時に食べてもらって、ゆっくりする時間が少しでも長くとれるようにしたい。だから自ら食事の準備までしてしまうのがいいかなと思います。なかなかここまで出来ないんですけど、ほんとにできることならば、ここまでやりきれた時が一番達成感があります。
そこまでできれば、よりいろんなところを追求できるので賄い作りがもっと楽しく取り組めるようになったりします。
(その日の賄いの内容や、気温とかも考えて、お冷の氷の量も調整したりして全体の美味しいのデザインがより高度なものになります)


4.量感

これは2.のところと少し被っちゃうんですが、
どれだけご飯が進むおかずでも最初から山盛りよそったりしない方は良いです。
小食の方もいれば、めちゃめちゃ食べれる方もおられるので
人によって食べれる量が違ったりします。
だから気持ち少な目ぐらいで用意するのが一番良いなと思います。
でも休憩でやっと座れたところだから、ご飯足りなくておかわりであまり歩かせたりさせたくないのでご飯やみんながっつきそうなおかずはおかわり前提で小分けして、テーブルに用意しておいてあげると優しいかもです。


最初からいきなり漫画盛りは🙅‍♂️

5.必ずめっちゃ味見する

うちの奥さんはよく味見をせずにご飯を作ります。
確かにレシピなどで、決められた分量・割合であればある一定までは味付けできるのですが、
賄いでは使える食材が限定されていることがよくあります。
状態もいつも万全なものばかりではないので、作ってみたら案外イメージとなんか違ったりすることがあるんです。
その微妙なさじ加減をコントロールすべく、レシピ通りにしっかり計量して作ったごはんでも必ず味見をして、全体感をイメージすることが大切なんだと、この1年で学びました。

賄いは、おもてなしの原点でした。

飲食店の賄いのイメージって、お金と時間をかけずにパパッと作ることが基本みたいなイメージがあります。
もちろんそれらも大切なのですが、もっと大事なことが賄いには詰まっているんじゃないかと思っています。
ちゃんと食べる人のこと(ここでは、一緒に働いているスタッフになりますね)を想像して、その人たちがちゃんと美味しいって思えるように。
食事する以外にもしっかり休憩する時間も取れるように。
1日立ちっぱなしで仕事するなかで唯一、ホッと一息つける時間。

以上が、ぼくが賄いを作るときに意識していることでした!
これからももっともっと美味しい賄いを作れるように精進いたします。

これから賄いを作る機会が多いであろう、新しく飲食の仕事をされる方々に、なにか少しでも為になれば幸いです🙋‍♂️
そして、多忙のなかでもしっかり賄いに向き合わせてくれるこの環境にも感謝いたします。
いつもありがとうございます!


最後に、これからチャレンジする人へ

先輩から一言だけ、言わせてください。偉そうでホントすみません。

ぼくら先輩たちは大体どんな賄いでも美味しく食べることができます。というか大体美味しいと感じています。
頑張って作ってくれた賄いなら、尚更です。
けれど何か小言を言ったり、小難しい雰囲気を出しているのは
きみにここで満足して欲しくないからなんです。
ほんの少しの塩加減のチューニング。
火の入り具合。
どこまで狙った意図を感じることができるのか。

それらを乗り越えた先のきみの表現が素晴らしかった時、きっとぼくたちは、きみが作ったその賄いをずっと忘れることはないでしょう。

だから負けずに頑張れ!
案外先輩たちはチョロいぞ。
美味しい賄いを楽しみにしてます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?