あわじこうへい | 中国文学@上海

上海在住 | 大学で中国文学を勉強してました。今は上海で仕事をしながら時々漢詩を作ったりしています。詩号は菖蒲。好きな時代は中唐〜北宋。詩と詞が好きです。よろしくお願いいたします。

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上海在住 | 大学で中国文学を勉強してました。今は上海で仕事をしながら時々漢詩を作ったりしています。詩号は菖蒲。好きな時代は中唐〜北宋。詩と詞が好きです。よろしくお願いいたします。

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【活動紹介】現代写真×漢詩の可能性

1:はじめに明けましておめでとうございます。 新年から辛いニュースが続いておりますね。。大変なスタートではありますがこれから徐々に良いことが起こってくれることを願っております。 さて、昨年末にnoteを始めて約1ヶ月が経過しました。 数本記事を作ってみて投稿し、記事に「スキ」を押していただいた方や フォローいただいた方がいてくださり、とても驚いております。 自らの情報発信のためだとはいえ、 1件2件リアクションをもらえれば御の字、くらいに最初は考えていたので、 きちんと記

    • 【文学紹介】(続き)秋の夜の静寂に響く友情 韋応物 秋夜寄丘二十二員外

      1:前回の続き前記事 【文学紹介】秋の夜の静寂に響く友情 韋応物 秋夜寄丘二十二員外からの続きになります。 穏やかな自然を多く詠んだ詩人、韋応物の作品を見ていきましょう。 2:秋夜寄丘二十二員外【原文】 懐君属秋夜,散歩詠涼天。 山空松子落,幽人応未眠。 【書き下し】 君を懐(おも)いて秋夜に属し、散歩して涼天に詠ず。 山空しくして松子落ち、幽人応(まさ)に未だ眠らざるべし。 【現代語訳】 今日の涼しげな秋の夜には、殊更君のことが思い出される。私はそぞろ歩きをしながら

      • 【文学紹介】秋の夜の静寂に響く友情 韋応物 秋夜寄丘二十二員外

        1:はじめにこんにちは。9月の下旬ごろからかなり涼しくなり、一気に秋らしい気候になってきました。 蒸し暑い夏場はどうしても外に出るのが億劫になっていましたが、散歩をしたりゆっくり外の景色を楽しむのにもちょうど良い季節になってくれたと思います。 月であったり花であったり、春と秋は漢詩の世界でも書く「ネタ」が比較的豊富な季節なのですが、僕自身生まれた季節が秋ということもあり、涼しい秋の様子を描いた詩には好きなものが多いです。 今回紹介する作品は、秋の夜の出来事を詠った詩にな

        • 【文学紹介】(続き)アサガオと暁の空の色 秦観 牽牛花

          1:前回の続き前記事 【文学紹介】アサガオと暁の空の色 秦観 牽牛花からの続きになります。 蘇軾も高く評価した文学者、秦観の作品を見ていきましょう。 2:牽牛花【原文】 銀漢初移漏欲残,步虚人倚玉欄干。 仙衣染得天边碧,乞与人間向暁看。 【書き下し】 銀漢初めて移り、漏は残(ざん)せんと欲し、 歩虚の人は倚(よ)る、玉欄干。 仙衣染め得たり染め得たり天辺の碧、 人間(じんかん)に乞与して暁に向(お)いて看しむ。 【現代語訳】 天の川が傾きだし、漏刻が尽きようとする時

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        【活動紹介】現代写真×漢詩の可能性

          【文学紹介】アサガオと暁の空の色 秦観 牽牛花

          1:はじめにこんにちは。8月に入りいよいよ暑さも本格化してきました。上海でも蒸し暑い日が続いていますが、まだ比較的涼しい明け方の時分には、窓をあけて我慢できる範囲で夏の暑さを味わいつつ、朝の雰囲気を楽しんだりしています。 夏の日の朝がそこまで嫌いではないのは、小さい頃の夏休みの記憶が大いに影響しております。 今回のタイトルにもあるアサガオも小学生の時に学校から種を配られて育てていました。夏休みの宿題です。 大して上手に育てられた記憶もないのですが、ただやっと咲いたアサガオ

          【文学紹介】アサガオと暁の空の色 秦観 牽牛花

          【文学紹介】初夏の長閑さの中で 周邦彦:蘇幕遮

          1:はじめにご無沙汰しております。仕事と私事で忙しくnotoの更新を先延ばしにしていたら7月になってしまいました。 上海では2週間ほど前に長雨が続き、その後蒸し暑い天気がやってきました。まだまだ夏はこれからですが、今回は初夏に読みたい作品をご紹介いたします。 2:周邦彦について今回の作者は以前に紹介した周邦彦(しゅうほうげん)です。詞で有名な北宋の文学者でしたね。 元は浙江省杭州銭塘の人で、文学や音楽の才能を認められ徐々に出世を果たしていきます。今回の作品は宋の神宗元豊

          【文学紹介】初夏の長閑さの中で 周邦彦:蘇幕遮

          【活動紹介】現代写真×漢詩×書道によるアートイベント

          1:はじめにこんにちは。今回の記事は以前紹介した僕自身の活動紹介のパートになります。 前回mie Shanghaiさんとの取り組みについて紹介をしましたが、その続きになります。 2:カフェスペースでのイベントのお誘いmieさんのオープニングイベントの後、雑誌版mieに投稿し作品の載せていただいておりましたが、mieさんの活動に上海のとあるカフェのオーナーさんが興味を示してくれたことから、カフェスペースでの展示イベントをやらないか?という形で話が進展していきます。 ▼mie

          【活動紹介】現代写真×漢詩×書道によるアートイベント

          【文学紹介】(続き)明け方の茶店と青瓷の花 楊万里:道旁店

          1:前回の続き前記事 【文学紹介】明け方の茶店と青瓷の花 楊万里:道旁店からの続きになります。 何気ないのスケッチに長けていた詩人、楊万里の作品を見ていきましょう。 2:道旁店【原文】 路旁野店両三家, 清暁無湯况有茶。 道是渠儂不好事, 青瓷瓶挿紫薇花。 【書き下し】 路旁の野店、両三家、 清暁湯無く、況(いはん)や茶の有るをや。 道(い)ふ是(これ) 渠儂(かれ)は好事ならずや、 青瓷の瓶に挿す、紫薇花。 【現代語訳】 鄙びた道のほとりに二、三の店が並んでいる 明

          【文学紹介】(続き)明け方の茶店と青瓷の花 楊万里:道旁店

          【文学紹介】明け方の茶店と青瓷の花 楊万里:道旁店

          1:はじめにこんにちは。先日友人達と景徳鎮に旅行に行ってきました。 陶器で有名な街です。 朝から市場がずらり並び、手作りの茶器やら花瓶やらが売られていました。 我々が想像するような、かしこまった「茶器」や「花瓶」から デザイン性の高い陶器まで数々販売されてあり、新鮮な印象を受けました。 (陶器の市場なのに、なぜか竹内まりあの「プラスティックラブ」が流れていたのも、絶妙に印象的でした) 僕も手の届く範囲の値段で青磁の花瓶を一つ買いました。 青磁の花瓶を買ったら夏に百日紅の花

          【文学紹介】明け方の茶店と青瓷の花 楊万里:道旁店

          【文学紹介】(続き)たおやかな春の酒宴に 庾信:詠画屏風詩二十五首 其四

          1:前回の続き前記事 【文学紹介】たおやかな春の酒宴に 庾信:詠画屏風詩二十五首 其四からの続きになります。 https://note.com/kohei_awj0614/n/n2802d1891ee2?sub_rt=share_pw 南朝梁の時代に生まれた詩人、庾信の作品を見ていきましょう。 2:詠画屏風詩二十五首 其四【原文】 昨夜鳥声春,驚鳴動四隣。 今朝梅樹下,定有詠花人。 流星浮酒泛,粟瑱繞杯唇。 何労一片雨,喚作陽台神。 【書き下し】 昨夜 鳥声春なり、驚

          【文学紹介】(続き)たおやかな春の酒宴に 庾信:詠画屏風詩二十五首 其四

          【文学紹介】たおやかな春の酒宴に 庾信:詠画屏風詩二十五首 其四

          1:はじめにこんにちは。ご無沙汰しております。 前回投稿からだいぶ間が空いてしまいました。。 投稿をサボっている間に上海もすっかり春の暖かさになってきました。 寒い日や雨がちな日々から少しずつ変化があり、嬉しい気持ちになります。 前回と同様、今回も梅の花が出てくる詩を紹介したいと思います。 前回の詩が雪の中で凛と咲く梅の美しさを詠んだものだとすると、今回は梅の花を囲む人々の雰囲気が感じられる詩だと思っていますので、ぜひ見ていっていただけますと嬉しいです。 ▽前回の紹介

          【文学紹介】たおやかな春の酒宴に 庾信:詠画屏風詩二十五首 其四

          【文学紹介】(続き)梅の花に馳せる思い 何遜:揚州法曹梅花盛開

          1:はじめに前記事 【文学紹介】梅の花に馳せる思い 何遜:揚州法曹梅花盛開からの続きになります。 繊細な情景描写を通じて自身の想いを詠った南朝の詩人、何遜の作品を見ていきましょう。 2:揚州法曹梅花盛開【原文】 兎園標物序,驚時最是梅。 銜霜当路発,映雪擬寒開。 枝横郤月観,花繞凌風台。 朝灑長門泣,夕駐臨卭杯。 応知早飄落,故逐上春来。 【書き下し】 兎園は物序を標(しる)し、時に驚くは最も是梅なり。 霜を銜(ふく)みて道に当りて発(ひら)き、雪に映じて寒を擬して開く

          【文学紹介】(続き)梅の花に馳せる思い 何遜:揚州法曹梅花盛開

          【文学紹介】梅の花に馳せる思い 何遜:揚州法曹梅花盛開

          1:はじめにこんにちは。年始から少しバタバタとしてしまい、投稿が遅くなってしまいました。 上海もここ最近は雨がちで気分も鬱屈とすることが多かったのですが、ふとXで地元の美術館の庭園に今年も梅の花(蝋梅)が咲いた投稿を見つけて、ふと気持ちが軽くなったことがありました。 (大和文華館さんという、奈良にある美術館です。) 東洋系の美術品の展示を行なっている美術館で、庭園も綺麗なので、日本にいるときはよく通っていたのですが、この時期にはよく梅の花を見に行っていたことを久々に思い出

          【文学紹介】梅の花に馳せる思い 何遜:揚州法曹梅花盛開

          【文学紹介】(続き)除夜と込み上げる興奮と 蘇軾:守歳

          1:前回の続き前記事 【文学紹介】除夜と込み上げる興奮と 蘇軾:守歳からの続きになります。 ユーモアな知性に富んだ文化人、蘇軾の詩を見て行きましょう。 2:守歳【原文】 欲知垂尽歳,有似赴壑蛇。 修鱗半已没,去意誰能遮。 況欲系其尾,雖勤知奈何。 児童强不睡,相守夜歓嘩。 晨鶏且勿唱,更鼓畏添撾。 坐久灯燼落,起看北斗斜。 明年豈無年,心事恐蹉跎。 努力尽今夕,少年猶可夸。 【書き下し】 知らんと欲す 尽き垂(なんな)んとする歳の 壑に赴く蛇に似たる有るを。 修鱗は半ば

          【文学紹介】(続き)除夜と込み上げる興奮と 蘇軾:守歳

          【文学紹介】除夜と込み上げる興奮と 蘇軾:守歳

          1:はじめにこんにちは。昨日は多くの方が仕事納めだったようで いよいよ今年も残すところ後わずかになりました。 中国のカレンダーでは元旦は祝日ではあるものの 年越しの本番は2月の春節、12月はただの月末という認識の方も多いです。 そのため日本ほど年末感は感じないのですが やはり12月31日は少し奮発したお酒とご馳走を食べながら 紅白を見てゆく年くる年を見て、、、 というのが恋しくなります。 今回は年末にちなんで、大晦日の日をテーマにした 漢詩を紹介します。 新しい年を迎

          【文学紹介】除夜と込み上げる興奮と 蘇軾:守歳

          【文学紹介】(続き)蜜柑を剥く手に漂う恋情 周邦彦:少年游

          1:前回の続き前記事 【文学紹介】蜜柑を剥く手に漂う恋情 周邦彦:少年游からの続きになります。 北宋後期に生まれた詞人、周邦彦の作品を見ていきましょう。 2:少年游【原文】 并刀如水、呉鹽勝雪,繊手破新橙。 錦幄初温,獣香不断,相对坐調笙。 低声問、向誰行宿。城上已三更。 馬滑霜濃,不如休去,直是少人行。 【書き下し】 并刀は水の如く、呉鹽は雪に勝り、繊手新橙を破る。 錦幄初めて温かく、獣香断たず、相対して坐(そぞ)ろに笙を調ず。 声を低めて問う、誰が行に向いて宿ら

          【文学紹介】(続き)蜜柑を剥く手に漂う恋情 周邦彦:少年游