![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/158958788/rectangle_large_type_2_97b7c77cac57a0bc04ffdc5c18299846.png?width=1200)
#223 盛り下がる質問、盛り上がる質問
こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
先日社内のLT会で登壇しました。
4名がトークをし、そのうちの一人は新卒エンジニアでした。新卒ですが非常に優秀な方で、直近で参加したプロジェクトでの成果を発表されていました。
その発表に対して、盛り下がる質問をされているオジサンがいました。指摘されていたポイントは非常に大切なことでしたが、老害に映ってしまっているように感じてしまいました。
では、自分だったらどのような質問をしただろうなと考えたという話です。
質問の上手さというのは、会話上手に通ずるところがあるかと思います。
というのも、こちらの木下斉さんの放送で、話を盛り上げる人は「推論」しながら話を展開できると解説されており、推論によって盛り上がる質問ができると感じました。
〇盛り下がった質問
新卒エンジニアのトーク内容は、プロダクトに追加した新機能がどのようなもので、どのような点に難しさがあり、何を学んだかというものでした。
話は非常にわかりやすく、難しさについても具体的に説明できており、非常に良いトークでした。
その新機能は、キーワード検索の検索対象のデータを変更するというものでした。これまで検索にヒットしなかった商品をヒットしやすくするために、商品情報のうち、より詳細な情報を検索対象データに含めるというものです。我々のプロダクトはBtoCのビジネスを行う企業に提供しており、顧客によっては新しい仕様ではなく、従来の仕様のまま使いたいというケースは想定しなければいけません。
質疑応答タイムでオジサンは颯爽と手を挙げ、そのことについて「他の顧客に影響があるその対応はダメじゃないの?」と質問というより、詰問のようでした。
一同シーンとなってしまいました。
新卒エンジニアの上司が慌ててフォローに入り、オジサンには納得いただくことが出来ました。
〇盛り上げるにはどうすればよかったか?
新卒エンジニアにとっては自分の実装の成果発表の場であったのに、なぜ突き落とすような質問をしたのでしょうか。
おそらく、「既存顧客への影響」というビジネス上は重要な点についての見解を問うことで、エンジニアでありながらビジネス提供の視点を持って欲しいと考えたのかと思います。
では、どのような質問をすると良かったのでしょうか?
場の設定を考える
このLT会は、食事をしながらのフランクな空気感の中で、登壇者の成果を共有することが目的です。新卒エンジニアが初めてのプロジェクトで実装した思い入れのある機能開発について、まずは良い仕事をしたなと称えるべきではないでしょうか。
そのうえで、「機能開発はgoodであるが、顧客への提供方法については懸念がある」という展開の質問をするはどうでしょう。
そのような伝え方であれば、エンジニアであってもビジネス提供者としての視点を持って欲しいという意図があるのかな?と周りにも伝わるのかと思いました。
なんなら、ストレートにビジネス提供者としての視点について質問しても良いでしょう。
キャラクターを考える
そのオジサンはかつては技術のトップを務めていた程に優秀な方です。60を過ぎた貫禄や威厳があり、普通のトーンで話しても厳しい印象を与えてしまうような見た目です。
そのオジサンが20代半ばの新卒社員に対して、厳しい質問をしたらどんな雰囲気になるかはわかりそうなものです。このオジサンの厳しい質問は昔であれば「流石の視点だ」というような雰囲気になりましたが、技術トップから降りてエンジニアとの距離が疎遠になっているため、昔のような空気感にはならなかったのは誤算だったのかもしれません。
ご自身の今のキャラクターに合わせた質問の仕方を考えるのが良かったのではと思います。
リアクションを推論しながらキャッチボールを形成する
新卒エンジニアの発表の中で、プロダクトを提供している全顧客へ機能を提供するために対応した、という説明がありました。
そのため、提供方法に関しても検討していたことは読み取れます。
そのため、「その対応はだめじゃないの?」とNGを出すのでなく、提供方法に関してどういう意思決定をしたのか、どのような議論があったのかを問うことで、キャッチボールを始めることが出来ます。
実際に、他の方がそのような質問をすることで、キャッチボールが始まり、色んなメンバーから改善対応のアイデアが出てきて、場が盛り上がりました。
みんなの前に登壇している人にNGを出したら、黙りたくなってしまいますよね。一方で、キャッチボールできるような問いかけをすることで場を盛り上げることが出来るということを体験しました。
ということで、話の背景を推論するだけでなく、場の設定や、登壇者・質問者の関係性、キャラクターなどから、どのようなコミュニケーションが形成されるかを想像することが場を盛り上げる重要なファクターになるという話でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。