#203 意見でなくファクトを聞こう
こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
昨日は「顧客から依頼されたからやってください」と丸投げの依頼をしてくる人がかかっている呪いについて述べました。
システム会社としては、顧客の要望に応えつつも、費用や期間やシステム的な制約の中で最大限に顧客を満足させる方法を提案することに価値があります。
そのため、中には「やらない」と要望を断ることもあれば、「この機能は作らずに既存のこの機能を使うよう業務調整をしてください」とシステム以外の解決方法を提案することが必要です。
やる・やらないの判断をする際には、本当に必要かどうかを見極める必要があります。
その際には、顧客の意見を聞くのではなく、顧客の現在の業務や要望する機能を使うシーンの詳細などのファクト(事実)を確認しましょうという話です。
〇意見にだまされるな
受託のシステム開発では、案件獲得のために顧客の要望を引き出し実現した時のビジョンを描くことが必要です。
過去の実績ややり取りで顧客の信頼を獲得できると、様々な要望を出していただけるようになります。優先度の高い要望から出てきて、だんだんと「必要ではないけどあったら使うかもしれないから」くらいの要望も出てきます。
顧客は自分達で開発する力がないために、我々のようなシステム会社に依頼いただきます。そのためシステム開発において不要な要件を追加していくことで本来必要な機能のデリバリーに影響があることもわかっていません。お金を払うんだからこれもついでにねじ込もうとしてしまいます。
システム開発の理解の浅い営業は、重要でない要望も「顧客が求めているから」と絶対に実現すべきと勘違いしてしまいます。
本当に必要な機能かを確認する際に「必要ですか?」と聞いたら「必要です。」回答されます。
必要というから作ったのに、全く使われないというのはあるあるです。使われないどころかこの機能やっぱりいらないとか、なんなら邪魔な機能と言ってくることもあります。
顧客の意見は時に無責任です。本当に必要かとうかも顧客自身もちゃんと答えられないということもあります。
意見を聞いたらだめです。
〇あったらいいなは大体いらない
「もしかしたら使うかもしれない」「あったら嬉しい」みたいな機能を作る意味はありません。
本当に欲しいという魂の入ってない要望に応えて機能を作ってもどうせ使われないだけです。いざ、使うとなっても使い方がわからないという問い合わせが増えるだけです。
親から「あんたもこれいる?」とついでに買ってもらったものが家の隅でガラクタとして鎮座するのと同じです。
顧客の求める使わない機能が期間や費用、システムの制約的に実現が難しいケースもあります。高いコストを払って作った機能は大抵運用コストが高く付くので、仮に開発費が回収できたとしても実装すべきではないです。
〇ファクトをヒアリングせよ
そういう優先度の低い要望を受けてしまう御用聞きではいいシステムは作れません。
そういう営業に要望のヒアリングをお願いすると、なんでも持ち帰ってしまいます。
ヒアリング時には意見ではなく、ファクトを聞いてもらいましょう。
「その機能を使いたい業務の頻度は?月に何回?」「その業務の手順を一から説明して」「その機能を使う業務を一から説明して」と具体的なファクトを集めてもらいます。
ファクトとは、意見ではなく具体的な行動のことです。
「いつも健康に気をつけてる」と言っている人がファストフードばかり食べているように、発言はいくらでも嘘がつけますが行動では嘘がつけません。
行動を聞くようにしてもらいましょう。
この業務が大変だからその業務を改善できる機能が絶対に必要という強い要望も具体的な行動を聞くと、年に数回の業務で手順を整理していないからやたらと時間がかかっているというケースもあります。
その場合は、機能を開発するのではなく、その業務のフロー整理を手伝ってあげることで、満足いただけたりするものです。
ということで、今日は顧客に価値を提供し満足してもらうために顧客の要望を聞くことは大事ですが、意見ではなくファクトを聞きましょう。という話でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。