#12 御用聞き営業では良いシステムは作れないですよ

システム開発の難しさのひとつとして、作るものを決めることが挙げられます。システムを作るというのは心のないロボットに命令して動いてもらうようなことです。「ティッシュを取って。」という命令では取ってくれません。「あなたの目線の3m先にある机の上にあるティッシュを1枚とって、私の右手に乗せて下さい」という命令でも意図した動きはしてくれません。
(実際にロボットを動かすのはもっともっと難しいのであくまでも例です。)

ありがちな御用聞き営業

作るものを決めるうえでのダメなコミュニケーションはこのような感じです。

顧客→営業:システムでこういうお知らせを表示するように出来ます?
営業→顧客:出来ると思います。エンジニアに確認します。
営業→エンジニア:お知らせ表示機能出来ます?見積もり下さい。
エンジニア→営業:顧客はこの点とこの点はどうしたいと言っていましたか?
営業:え?聞いていません。。。

どういうお知らせをどのユーザーにどの画面で表示したいの?そのお知らせの内容は固定なのか定期的に更新するのか?など突っ込みどころ満載です。

システム要件をキチンと定義しないと機能を実現することはできません。

システム要件(system requirements)とは、システム開発の初期の工程で定義される、情報システムに求められる機能や性能などの要件。システムが何をどのくらいできなければならないかを定めたもの。

営業の方がシステム要件定義までやる必要はありません。ただ、開発するには顧客の実現したいことを具体的に聞き出す必要があることは理解しておく必要があります。

適切な要件に落とし込むには業務知識・システム知識の両方が必要になるため営業だけ行うのは難しく、営業・エンジニアで協力することで顧客の要求を満たす良いシステムを作ることができます。そして、それが顧客からの信頼の獲得に繋がります。

エンジニアに業務知識やコミュニケーション力が求められる背景には良いシステムを作るには協力が欠かせないからです。

要件を聞き出すだけでは不十分

では、顧客の要求を具体化しシステム要件を定義出来ればよいかというと、そうでもありません。
前述の顧客の要求である「お知らせを表示したい」が適切な要求かを確認する必要があります。

顧客→営業:システムでこういうお知らせを表示するように出来ます?

なぜ顧客はこのような依頼をしてきたのでしょう?

例えばユーザーが誤った操作をしてしまうという課題があり、ユーザーに正しい操作方法を案内したいという背景があったのかもしれません。

その場合、お知らせ機能の実装は正しいアプローチでしょうか?ユーザーが間違った操作をしないようなインターフェイスの改善が適切なアプローチと言えるでしょう。

このように顧客の要求がいつも適切とは限りません。そのため、システム要件を定義する前にそもそもの要求の背景を明確にする要求定義が必要になります。

まとめ

良いシステムを開発するにはこの2点を抑えるコミュニケーションが必要です。

1. 顧客の要求の背景である「課題」を明確にする
2. その課題解決に適したシステム要件に落とし込む

営業の方は顧客と良好な関係を作るコミュニケーションが強いです。エンジニアはシステムに強いです。営業・エンジニアで協力していいシステムを作るためには、顧客の「課題」から適切なシステム要件に落とし込むコミュニケーションが必要ということを理解するとよい。という話でした。

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