#225 意思決定のフリーライダーがプロジェクトを炎上させる
こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
前回、決断と段取りで仕事が進むという話をしました。
逆に決断をせずに、他人の意思決定にフリーライドする人がいるとプロジェクトが炎上するという話です。
以前に、プロジェクトの成否の50%は人選で決まるという記事も書きました。この記事では生産性の観点で明らかに能力が不足しているメンバーが一人いるだけで全体のスループットが劇的に下がるということを述べています。
今回は、自分自身で意思決定をせずに他人の意思決定に乗っかるだけの人がいると仕事が進まないばかりか、プロジェクトの炎上の原因となり得るという話です。
そもそも意思決定にはものすごいエネルギーがかかります。
アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズがISSEY MIYAKEの黒タートルネック、LEVIS 501のジーンズ、NEW BALANCE N992のスニーカーを日常の服装として選んでいたのは、「今日何を着るか」という意思決定を避け、他の重要な決定に集中するためであったというのは有名な話です。
それだけ意思決定にはコストがかかるので、丸投げしてくる人の気持ちもわかります。でも、その意思決定にこそ仕事の価値があるのではないでしょうか。
今日もチームMTGで「他のチームから〇〇という依頼がありましたが、どうすれば良いでしょうか?」という課題を投げ込むメンバーがいました。
いや、あなたが受けた依頼なんだからまずは自分ならどうするかを考え、その方針で良いかの確認をしようよ。と思いながら、「どう対応する想定なのか」「どの判断で迷っているのか?」ということを確認し、その場で方針を決めて次のアクションを渡しました。
そもそも、「他のチームから○○という依頼があったので、××で対応する想定で、問題ありそうでしたら指摘お願いします。」というのを会議でなくslackで問いかければ良さそうなものを、意思決定のフリーライダーは会議の時間を奪ってしまうのですよね。
また、その相談内容は「システムの検証環境の休日"の"夜間は停止したい」という依頼についてでした。もろもろ方針を決めた後で、実は「夜間"と"休日」に停止したいということでした。
目的が変わるので対応することも変わってきます。
自分で意思決定をするという当事者意識があれば依頼内容が目的に対して妥当かどうかを判断するはずなのですが、意思決定のフリーライダーはその妥当性の判断をしないため、手戻りが多くなり、やっぱり時間を奪うことになるのですよね。
また、他の人に意思決定を強いるため、意思決定のエネルギーを無駄に消費されてしまうのも大きなダメージです。
前回の記事でも、リーダーは決断する責任を与えるべし。と述べました。
意思決定力を培うには意思決定のトレーニングが欠かせません。そのため、意思決定する責任と役割を与え、フォローをすることで意思決定力を身につけてもらうのが良いという考えです。
また、責任のある仕事をやりきることで、達成感や成長を実感でき、仕事がより面白くなるとも思います。
リーダーやマネージャーはぜひともメンバーにチャレンジの機会を与えていただきたいです。
さて、冒頭で意思決定のフリーライダ―がプロジェクト炎上の原因となるということを述べました。
自分のチームメンバーであれば、フォローをしたり教育したりのアプローチが出来るのですが、顧客のフリーライダーが一番厄介です。
お金を払っているのだから良しなによろしくというスタンスであったり、自分達の都合だけを主張したり、いつまでたっても意思決定せずに持ち帰ったり、あとから要件の変更を求めてきたりと、意思決定出来ない顧客のプロジェクトは簡単に炎上します。
顧客のシステムのリプレイス案件で、リプレイス後のシステムの仕様について現行仕様と照らして相談する際に、現行仕様を伺ったら数百ページに及ぶ仕様書を全部共有してきて、「そこに書いてある」という担当者が過去にいました。
自分達が使う業務システムのリプレイスで、なぜそこまで丸投げなのか理解できませんでした。(いや、複雑な仕様に膨れ上がったレガシーシステムのリプレイスで一生懸命調べないとわからないことや、自分が意思決定をして責任を取りたくないということはわかります。)
その案件は炎上しました。最終的には何とか火を消すことは出来ましたが、ハードワークでなんとかカバーするという何とも後味の悪いプロジェクトでした。
意思決定のフリーライダーによってプロジェクトは簡単に燃えることを経験出来ましたが、高い授業料だったなと。
ということで、今日は意思決定のフリーライダーによってプロジェクトは炎上するという話でした。
プロジェクトを成功させるためには、失敗しないプロジェクトを選ぶべきだという山口周さんの指摘もありましたが、意思決定のフリーライダーがいるプロジェクトは失敗プロジェクトになりがちなので、気を付けましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。