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#251 本多静六の「財産告白」に学ぶモチベーションの作り方
こんにちは。IT ベンチャーエンジニアのこへいです。
先日の木下斉さんのVoicyで成長に必要な「適切な枯渇」という放送がありました。なんでも与えられ枯渇していない環境に居続けると無気力になってしまう。その一方で、何かが足りていないという環境に身を置くことで欲求やモチベーションを生み出せるということです。
最近、本多静六の「私の財産告白」を読んでいます。本書では本多静六氏が財を成した「本多式貯金法」が紹介されているのですが、この方法も自ら枯渇を作り出すことを前提としている点が共通しています。
今回は、「本多式貯金法」からモチベーションのコントロールが学べるという話です。
〇本田静六の「私の財産告白」
伝説の投資家・億万長者として知られる本多静六氏が、蓄財と投資哲学・手法、勤労家としての処世哲学を余すところなく説いた戦後の一大ベストセラーである「私の財産告白」。
本書では財産の作り方だけでなく財産の処分の方法まで述べられており、お金は汚いものというイメージとは真逆のお金の使い方が述べられています。
日本を代表する経営者である大原孫三郎の生涯を綴った「わしの眼は十年先が見える」で、大原孫三郎がお金について日記に記したのが「余がこの資産を与へられたのは、余の為にあらず、世界の為である。余に与へられしにはあらず、世界に与へられたのである。余は其世界に与へられた金を以て、神の御心に依り働くものである」という言葉です。
戦後の偉人のお金に対する考え方を知ることで、正しいお金との向き合い方を知ることが出来ます。
〇本多式「四分の一天引き貯金法」
本多静六は裕福な家に生まれたわけではなく、少年時代から学生時代にひどい貧乏生活を続けており、まず貧乏をこちらから進んでやっつけなければならぬと考えていました。貧乏に強いられてやむを得ず生活をつめるのではなく、自発的、積極的に勤倹貯蓄をつとめて、逆に貧乏を圧倒するのでなければならぬと。
そこで断然決意して事項に移ったのが本多式「四分の一天引き貯金法」です。苦しい生活の中で残った分を貯金するという手ぬるいことでは貧乏は脱出できないとし、収入の四分の一を容赦なく天引き貯金するという手法です。
これには、残りの四分の三で、いっそう苦しい生活をする覚悟が必要です。それでも、財産を作ることの根幹は勤倹貯蓄であると述べます。
一定の基準(分度)を決めて、その範囲内で生活するというのは、二宮尊徳の報徳思想における分度と一致します。
そして、二、三年たつと預けた金の利子が毎年入るため、月給と利子との共稼ぎになり天引き生活が楽に続けられるようになり、天引き貯金によってまとまった資金を投資に回すことで一財産を築いたと、いうのが「四分の一天引き貯金法」です。
〇人間は一度は必ず貧乏を体験すべき
さて、本題の本多静六に学ぶモチベーションの作り方の話ですが、本多静六は人間は一度は必ず貧乏を体験すべきと説いています。
「貧乏に苦労し、貧乏し抜いてこそ、人生の意義や事物の価値認識をいっそうふかめることができるのである。貧乏したことのある人間でなければ本当の人生の値打ちはわからないし、また堅実に、生活の向上を目指していく努力と幸福は生じてこないのである。」と。
これは木下さんの言う「成長には適切な枯渇が必要である」というのと同様の意味かと思います。枯渇するからこそ、求める気持ちが生まれ、モチベーションに繋がるということですね。
また、本多静六は四分の一貯金法で自ら枯渇を作っています。財を成した後にも、そのほとんどを寄付し、倹約生活を続けていました。
私自身はありがたいことに、貧乏し抜くという体験をすることなく人生を過ごせています。自ら意図的に枯渇した環境を用意し、モチベーションを作り出すことが必要です。
〇逆算によるチームのモチベーション管理
本多静六が四分の一天引き貯金法を始めた当時、自身を含め9人の家族を養っており、特に子供たちには忍耐を要するこの生活は辛いものだったそうです。
しかし、本多もかわいそうだという情には負けぬと歯を食いしばり、「四分の一貯金を続けていけば、三年目にはこれこれ、五年目にはこれこれ、十年目にはこれこれになる。いまの苦しさは、苦しいのを逃れるための苦しさだから、しばらく我慢してくれ」と家内の者を説いたとのことです。
これはチームメンバーに一生懸命頑張ろうと鼓舞するだけでは、モチベーションを保つことは難しいのと同様です。チームのエンゲージメントを高めるに、チームが目指すゴールとそこから得られる成果、いつまでにどのようなステップで到達するのかの道しるべを示すことが必要であり、本多静六もそのようにして家族に四分の一天引き貯金法への理解と協力を求めたとのことです。
ということで、伝説の投資家である本多静六の四分の一天引き貯金法は覚悟とモチベーションを作ることで実践されているということを学びました。
最後までお読みいただきありがとうございました。