#236 エンジニア採用におけるマーケティング4.0について考える
こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
前回、フィリップ・コトラーのマーケティング理論をAWSのビジネスと照らし合わせ、BtoBのIT企業でのマーケティング4.0の実践について考えました。
今回はエンジニアの採用活動における、マーケティング3.0、4.0時代のアプローチについて考えてみます。
私はIT企業でエンジニアをしていますが、自分のチームのメンバーを集めるため、採用にも力をいれています。
採用担当と一緒に自分のプロダクトをアピールする求人を書いたり、スカウトメールを送ったり、採用面談や面接で求職者の評価やアトラクトを行っています。
〇コトラーのマーケティング4.0
コトラーのマーケティング理論の1.0から4.0への変遷を求人に当てはめると下記のようになります。
マーケティング1.0:製品主導のマーケティング → 求人主導
マーケティング2.0:顧客主導のマーケティング → 求職者主導
マーケティング3.0:価値主導のマーケティング → 求職者の価値観主導
マーケティング4.0:デジタル化とソーシャル化のマーケティング → 求職者の自己実現主導
人的制約時代における採用活動においても、良い人材を確保するにはマーケティング3.0や4.0のアプローチが欠かせません。
実際に、弊社は10年ほど前から新卒採用に強みを持っており、その理由はマーケティング3.0のアプローチが出来ていたからと解釈しています。
一方で、近年は内定承諾後に最終的に他社を選択される確率が増えており、売り手市場の中で人材を獲得していくにはマーケティング4.0のアプローチを強化していく必要があると感じています。
〇マーケティング3.0のエンジニア採用
求職者の価値観手動のマーケティング3.0のアプローチとして、給与、休暇、福利厚生などの衛生要因は置いておくとして、入社後にどんな体験価値を得られるかを伝えることを意識しています。
例えば、弊社で最もアピールしている特徴は大規模な開発を少人数でプロジェクトの上流から下流まで関われること、幅広い技術領域の経験を積むことが出来ることです。
これは、一般的には大手のSIerなどでは上流中心、下請けのシステム開発では下流中心に担当するのに対して全領域を担当出来ることや、フロントエンド・バックエンドのように扱う技術領域を切り分けるのに対する差別化ポイントになります。
幅広い経験を積むことで圧倒的にな成長機会を提供するということを強くアピールしつつ、幅広く対応することは当然ハードルが高いのため、しっかりとしたフォロー体制があることについてもしっかり説明します。
さらに、どのようなコミュニケーションスタイルなのか、短期的な仕事の内容、長期的なキャリアパス、リモートワークが可能かどうかなど、仕事を通してどのような体験を得られるのか、他社との差別化ポイントを明確にして訴求しています。
採用面接の際にも自社とのフィットポイントを確認することに注力しており、これらのアプローチには一定の手ごたえを感じています。
また、知名度が高い程「ここで働く」ということを周りに説明しやすくなるため、弊社のようなBtoB企業でも知名度を高める工夫は必要です。以前に、キーエンスが知名度を作るために奇抜なおもしろいCMを流していたのが個人的には印象的です。
弊社も技術関連イベントのスポンサーを務めるなどの知名度獲得にも力をいれています。
〇マーケティング4.0のエンジニア採用
マーケティング4.0となると求職者の自己実現に対するアプローチが必要です。その会社で働くことを通してどのように社会とのつながりを作れるかを示すということです。
単に売上が拡大出来てるといったことだけでなく、事業における社会的意義を明確にして伝えていくことが必要です。内定辞退の連絡をいただく際に、明確な理由はわかりませんが、より知名度が高かったり、事業と社会との関わりがわかりやすいBtoC企業に競り負けているという印象があります。
また、こういう価値観の職場でこういうミッションで働いているということを発信したくなる要素も重要かと思います。エンジニア界隈では技術ブログでの発信が盛んで、技術の発信に積極的なコミュニティに魅力を感じる方は多いです。
SNSなどで認知度あるエンジニアの入社エントリー記事がよくバズっていますが、発信力のある有名エンジニアによる宣伝効果には、認知の獲得だけでなく、そのコミュニティで一緒に働きたいと思わせる効果も強いと思います。
今後は、求職者の自己実現に刺さるマーケティング4.0のアプローチを強めていく必要があると感じています。
ということで、前回に引き続き、コトラーのマーケティング理論に照らして、自社のエンジニア採用のアプローチの改善点について考えてみました。
最後までお読みいただきありがとうございました。