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説明文の読解×ゲーム

日本の国語教育は、書けることより
読めることを重視しがちです。
確かに、
テキストをしっかり読める状態でなければ、
好き勝手書けても議論や対話ができません。
しかし、
良い文章わかりやすい文章であるほど
読解の授業つまらなくなってしまいます
説明的文章の読解受験を見据えた上でも、
必ずやらなければならないことですが、
もっと子どもたちが楽しんで取り組めないか…
そう考えてつくった授業法があります。

前回書いたモチベーションの話と通じるのですが、
中学校に上がってきた、国語嫌いの生徒の多くが、
説明的文章の読解を嫌がっている事実があります。
彼らいわく、
物語は内容が面白いからいいけど、
 説明文はわかりにくい

のだとか。
本当は、説明的文章のほうが、
わかりやすく書かれている
のですが、
その悩みは、1年生の初期説明的文章で、
構成や、主張のありかなどについて、
授業することで緩和されます。
しかし、
内容に興味が持てない場合や、
個人の読解力の差によって生じるつまらなさには、
従来の授業とは違う方法
も必要です。

今回の方法は、
演習的に説明的文章の読解を一斉授業でやると、
できる子簡単でつまらないし、
できない子難しくてついてこられない
という問題を解決するためのものです。

読解クエスト

ゲームみたい読解を楽しんでほしいなぁ…。
という思いで、ゲームにしてしまいました

AIが発展している現代
未来を創る君たちには、
問題を決まった解き方で解く力よりも、
問題自体を見つける力必要とされている
今日は、
それを鍛える修行として、
限られた手がかりから問題を想定し、
その答えを書いてもらう

この限られた手がかりというのが、
説明的文章の中のキーワードと、
その問題の難しさを示すレートです。

このプリントには、
傍線部がどこかは示されているけれど、
問題が書いていないのです。
問題は原則、
その言葉の説明か、理由
書き抜くか、自分で書くものですが、
どんな問題かは明示されていません

その効果は後述するとして、
仕掛けがまだあります。
そのレートはそのまま、経験値として取り扱い、
別紙の冒険の書に、
獲得した経験値塗りつぶすのです。

それによって、
自分どのレベルにいるのかが、
視覚化されます。

そして、
名前磁石黒板に貼れるようにしたものを、
黒板に示した、ランク表に貼りつけておきます。
正解したら、冒険の書を塗り、
レベルが上がったら、
黒板のランク表自分の名前上げていきます

正解は教師が判定します。
そのため長蛇の列ができます。
質問あったら聞きにおいで
と言っても2.3人しか来ないクラスでも、
この授業では我先にと列に並びます

しかし、
これでは正解判定をする人が足りません
そこで、
今日取り組む問題の範囲示しておき、
レベルいくらまで達した人は、
ギルドマスターになると説明しておきます。
ギルドマスターは、
◯…正解
△…惜しい
×…違う

という判定をできる権限を与えられます
ギルドマスターに正解と認められれば、
経験値を獲得できます。

ギルド来るもの拒まず、去るもの追わずです。
どのギルドマスターに判定してもらっても良いことも伝えます。

問題は、指定範囲内なら
どの順番に取り掛かっても構いません
弱いモンスターを狩って、
ちまちまレベルを上げるもよし、
いきなり強いモンスターに挑戦して、
一気にレベルを上げるもよしです。
ただし、
ギルドマスター
になるには、
その時間の指定範囲の問題を、
9割以上解く必要がある
ように設定します。

ちなみに、
冒険の書
には、
このレベルになったら使える魔法の名前など、
冒険心を掻き立てる要素も盛り込みます。

この活動の注意点は、
答えを厳密に絞ること
「理由を書きなさい」というような、
正解に幅の出る問題であっても、
ここまでは◯だけど、
ここからは△だという、
基準を明確に持つことです。
あと一言で正解を逃す場合もありますが
そうした方が、
子どもたちも、思考しやすいのです。
あまりに悩んでいる生徒がいる場合は、
やむなくヒントを出しますが、
ヒントを出さない方が、狙いの効果が出ます
何気なく出したヒントの影響で、

この活動ならではの効果は次の3つです。
問題を考える力が養われる
教師が想定していない方の問題も演習できる
簡単な問題も楽しめる

「先生!ドックエしましょう!」

と言ってくるくらい、生徒が楽しむ授業です。
(ちなみに、「ドックエ」過去の生徒がつけてくれた略称です。)

実はこの授業のプロトタイプは、
教育実習のときに思いつき
それに改良を加えながら実践してきました
同僚にワークシートを渡すと、
他クラスでも同様に授業してくれて、
概ね好評なのですが、
いまいち広がっていません
それは、
準備の難しさが原因だと思っています。

読解クエスト成立させるためには、
適切なレートの設定が必要です。
答えの文字数は多いか、書き抜きで済むか否か
キーワード複数箇所から拾ってくる必要があるかなどにより、
問題の難しさを試算し、
一貫したレートとして表す必要があります。

説明的文章中のキーワードを全てピックアップし、
そのひとつひとつに適切な問題と答えを考え、
適切なレートを設定する

「そんなことやってるひまねーよ!」

と思われるのも無理はないかもしれません…。

こちらの設定したレートが、
子どもたちに誤解を生んだり、
思いの外あっさりクリアされたり…
ゲームの敵の強さ設定する作業は、
色々なことを教えてくれます。

確かに準備は手間なのですが、
子どもたちは楽しめるし、
教師も発見のある授業になるので、
ぜひ一度お試しいただきたい方法です。

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