balatroプレイ感想、謎の中毒性とローグライク性の課題

ローグライクポーカーゲーム、balatroをプレイしましたのでその感想でも。
プレイ度としてはレッドデッキでゴールドステークスに入った辺りですね。

非常に人気のゲームだったので結構期待してプレイしたのですが、評価としては少し難しい感じに思います。
もちろん個人の好き好みが大きく反映されるものなので仕方ない部分はありますが。

●どんなゲーム。
balatroはローグライクポーカー。
デッキビルド要素でトランプデッキを組み立てながら役を作り高得点を狙うゲームです。
端的に言えば例えばデッキのカードを全て♧にすれば、何を引いてもフラッシュが出せるし、すべてをAにすれば何を引いてもファイブカードが出せる。
そういうゲームです。
自分なりのトンチキトランプデッキを作ってより高得点の役を成立させていくゲームですね。

●面白かった?
結論から言えばかなり面白く、中毒性も高いです。
得点が無尽蔵に増えていくのは確かにヤバい感じがあります。
ただ、自分にあっていたかと言われると少し疑問がある、と言うのが答えでしょうか。
むちゃくちゃ面白い、と言う前提の上で気になる個所などを下記に列挙する形でbalatroの評価としたいです。

●フレーバーなどの無い世界観
基本はひたすらポーカーをし続けるゲーム性です。
ジョーカーカードと言う個性の強いサポートカード群がありますが、基本は効果があるのみでそれに対してのフレーバーなどもありません。
もちろんストーリーも無く、とにかくひたすら高い点を目指し続けるゲーム性です。
これは悪い点、気になる点と言うよりは自分に合わなかった点と言う感じですね。
そういう要素が邪魔になる人も多いでしょうし、中途半端なストーリーならいらないという人も多いと思います。

●ステークスでの難易度上昇が少し微妙。
ステークスと言う要素で難易度を上昇させていくゲーム性を持っていますが、これがちょっと調整が微妙と言うか好きではない。
端的に言うと難易度が上がって面白くならない。
まず最初の難易度上昇で、平たく言えばカードを買うのに必要な報酬金が一部手に入らなくなるデバフ調整があります。
同様にこのゲーム、ステージをスキップすることで特殊な恩恵を得られる要素があります。(スキップするとお店が使えなかったり報酬が得られなかったりのトレードオフ要素があるのでこのシステムそのものは問題ではないです)
ただ、最初のステージがその無報酬ステージになるため、最適なスキップ恩恵を得るためにリセマラをせざるを得ないゲーム性になるんですよね。
最初のステージをクリアする恩恵はほぼゼロに近いので、確実に良いスキップ恩恵を得るためのリセマラがプレイ開始時に入る形になります。

●序盤の不安定
上に続くのですが総じてリセマラが多めになりやすい体感がありました。
ステークスにはジョーカーの性能が低下するタイプのステークスも3種類ありますが、これも場合によっては序盤でそればかり発生し安定した強化が出来ないという事もあったり、スキップ恩恵で手に入る強化カードがそのデバフを受けていたりなど序盤の安定性を崩してきます。
得点補助が出来るカードが序盤に出ないことが続いてもすぐに詰みますし、序盤の金策に失敗すると強化資金が足りずやっぱり詰みます。
またこのゲーム安定して強くしていくには強化していくタイプのジョーカーを育てるという要素が出てきますが、これも序盤から育てていかないと間に合わない場合が多く、結果として言えば序盤が微妙な立ち上がりだと結局リセットする形になりやすいです。
強くなって安定したデッキが出来てくると楽しくなってくるのですが、そこまでの没ランが並びやすい印象が強いです。

●プレイ時間が割と長い
意外とプレイが長いです。
それそのものを短所とは言いませんし、場合によっては長所ですが、リセマラ+エンドレスモードに入るまでのランでも相当な時間がかかります。
時間泥棒、暇つぶしに最適といった評価も聞きますし、ローグライクとしてくくるよりは某スイカゲームのようなやりだすと止まらないというタイプのゲームに分類する方が良いのかもしれません。
また下記の要素と合わさって個人的にはちょっとマイナス要素だったりしています。

●チェックするべき要素が膨大で敗因がストレスになりやすい
この点数はクリアボーダーに届くのか、に始まりチェックする要素、最適解を得るために確認する要素などが非常に多いです。
カードの並び順一つでも点数が大きく変わりますし、このゲームの唯一の妨害要素であるボスの妨害効果は強力でビルド内容によってはデッキそのものが機能停止したりする場合もあり早め、定期的にチェックしての対策が必要になります。
クラブとクローバーの色が似ていて惰性でプレイしているとフラッシュにクラブが混じっていたりします。(私が雑になってきているだけかもしれませんが)
プレイ時間が長引くためより集中力が抜けてきます。
とにかく見落としは無いか、常に意識の集中が必要であり、それでも多くの場合で敗因は運が悪かった、あるいはプレイミスです。
敵が存在しないため、この敵が強い!何としても勝ってやる!というモチベーションが付きにくく、負けたけど楽しかった、が発生しにくいというか、だいたい自分が悪いので自分の不注意を呪う結末になりやすいです。

●わりとカードの強弱が明確。
強いカード弱いカードが割と明確で結果として使うカードが同じようなものになりやすい傾向があります。
ジョーカーにはレアリティがあるのでもちろん序盤弱いカードで繋ぎつつ後半強いカードに切り替えていくというのは定石となるのですが、途中強いカードに出合ってしまうと、またお前に出会っちゃったかと強いカードを採用する流れになりやすく、流れが固定化しやすいです。
また弱いカードでも使い方次第やシナジーで強く扱える……と言うのが比較的少ないです。
無いわけではないのですが、基本は土台性能が高いカード、また得点加算の倍率が高いカード、序盤から安定して育てたカードが単純に強いです。
強い弱いの評価軸は点が多く入るか入らないかしかないので必然的に強弱が明確に出やすくなります。
育てるカードにしても簡単で倍率が高いカードと育てにくくて倍率が低いカードがあるので基本的にそこにも解りやすい優劣ができやすいです。

●結局は点を稼ぐゲーム
例えば敵とカードの出しあいをしたり、相手の手札の妨害をしたり、敵の妨害をガードしたりと言った要素はありません。
ひたすら壁に向かって高得点を目指し続けるゲームです。
なのでビルドの個性が出にくいです。
厳密にはビルドの個性は出るのですが、その結果が収束しやすく、その収束が早いです。
他のゲームも敵のHPを削りそれを倒すという部分に収束しているので、結果が収束するという点に関しては同じです。
ただ例えばデッキビルドの傑作スレイザスパイヤを比較対象とすると、スレスパは敵を倒すにしても手数で押し切るか、一撃の打点を高めるか、あるいはエナジーを挙げて使えるカードのレベルを高めるか、カードを育てるか、状態異常を使うか、手段は様々です。
敵も攻撃して来るので防御はどうするか、速攻を仕掛けてダメージを軽減するか、それとも回復を用意するか、防御に特化して守りながら戦うか、などなど並行して検討する要素があります。
敵を倒す結果に至る段階まではビルドは収束しないのですね。

これに対してバラトロはのゲームの基本要素は
①デッキを強化するカードを集めやすくする要素
②デッキを強化するための資金を集めやすくする要素
③得点を挙げる要素(カードの再得点計算、+基礎点、+倍率、×倍率 の主に4種類)
で構成されており、基本的にはその組み合わせです。
また勘づく方は勘づきますがどうしたって最終的には×倍率が強いです。
なので基本的には使える加点要素はすべて使いつつ倍々ゲームが出来るだけ成立しやすい形を目指すデッキになりやすいです。
最適解を踏んでいく、と言うのはローグライクの楽しみ方の一つではありますが、その結果毎回同じようなことをやっているな……と感じたタイミングで冷めてしまう感があるのも事実です。

●総評
個人的には二つのゲームがおもいあたります。
一つはハデス、一つはネオンアビス。

ハデスは大人気ローグライクアクションの名作とされていますが、個人的なプレイ感ではローグライクとしては比較的平凡なつくりであり、割とすぐ飽きてしまったプレイ経験があります。
名作であり確固とした楽しさがあるが、ローグライクとしては突出する要素が弱かったというのが個人感です。
もう一つのネオンアビスはガンアクションローグライクで強化が積み重なることで画面全体を覆い隠すような弾幕が特徴的です。
数字や演出での派手さや気持ちよさがあるが、一方で最終的にはどうにも同じようなビルドに到着しやすかったというのが個人感です。
本作は一見真新しいデッキビルドローグライクですが、プレイを重ねていく上でローグライクとしての遊び幅の狭さなどに触れるような感覚があり、ローグライクに比較的触れる機会が少ない人にはとにかく新鮮で面白い体験になる一方で、ローグ慣れしている人には何か遊ぶほどに物足りなさを感じる場面があるのではないかと思います。
またストーリーもフレーバーも無いゲームシステム一本勝負のゲームとしては数字的な心地よさがある一方でビルド幅やプレイスタイルなどの拡張性が弱く、最終的には同じような目標を目指して、同じようなプレイングに収束していく感覚が強く遊び方の個性化がとりにくいと感じられました。
総じて序盤すげー!おもしれー!となりつつもある辺りで急に冷めてもういいかな……となるゲームだったかなと言うのが個人的な印象ですね。
ただまぁ、それでも本作は面白く、異常な中毒性があります。
とりあえずいいかなと思いつつも、またやりたいと感じる、ただやった後なんかこれじゃない感も同時に襲ってくる。
正直今もちょっとやりたいんですが、たぶんやるとまたなんかこんなつもりじゃ……となる気がしています。
なんとも歯がゆいゲーム体験となりました。




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