DREDGEをプレイしてみての感想など

DREDGE、クトゥルフ海洋漁業ゲームですね。

インディーズゲームとして申し分のないクオリティのお魚釣りゲーム。
エンディングまでプレイしての感想になります。

●大まかな評価
一言で言うと惜しいゲーム。
という感じでしょうか。
いや全体的には申し分なく構成されていてしっかり楽しいんですが、全体的にもうちょっと作りこめば傑作になったんじゃないかというそういう惜しいラインのゲーム。
面白かったという前提で少し苦言が多くなりますことをご容赦ください。

●制御が容易すぎる敵性要素
ゲームのメインは釣りをして、お金を稼いで船を強化して、さらに探索範囲を広げるといった構造。
ただし夜中にはクトゥルフ要素が強くなっていき、パニック値が上がるといろいろと問題が発生する。
というのが単純なゲーム性なのですが、このパニック値の上昇や妨害要素についてコントロールがあまりにも容易なんですよね。
結局は夜は寝ていて、昼間行動すればよいということになっていて、私も教科書通りにプレイしていたら結局最終盤までパニック値に関係する要素にほぼ触れないで通ってきてしまうという内容になっていました。
逆に言えばそのための作業をひたすら強要されていた状態で、面倒なことをすれば成果と危険性排除が両立できてしまいゲーム性を上げるトレードオフになっていないというのが残念なところ。
夜しか取れない魚などもいるにはいるのですがパニック値の上昇がかなり緩やかなこともあり、ちょっととってすぐ寝るで解決してしまうあたり危険を冒せば成果が上がるという状態にはなっていない。
ゲーム性として魚釣り要素のあるクトゥルフ探索ゲームという感じではなく、魚釣りゲームとしての要素を割と大きめに持ってきているようで(そういった妨害要素をオフにできる)、そのせいでだいぶゲーム性が散っている感じはあるんですよね。(ただまぁ、そのおかげで比較的広く評価されていることもあるとは思いますが)
個人的にはベース難易度をもっと上げて海に出ている間はパニック値は微増し続けるぐらいでよかったと思っています。
空腹値のような燃料要素や、出先でのパニック値の管理要素もあればストレージ管理も少し楽しめたかもしれませんし何よりもどこか船を止められれば基本的にリスク要素をすべて排除できてしまうのはスリルを減らし作業感を増やす形になっていたと感じています。
出くわすクトゥルフ要素ももっとバリエーションあれば楽しかったですね。

●残念ながら作業ゲーム
基本は釣りミニゲームと、特定の魚を取って運ぶのお使いゲームです。
船の強化についてもひたすら面倒なサルベージやお金稼ぎを繰り返すという感じで、船のカスタマイズについても基本は性能を上げるの一筆書きなため個性を出すビルドといった雰囲気もない。
世界観の良さや、航海の楽しさ、未知の島での発見や、ときどき出てくる突然変異異常魚などの要素がとても楽しかったのですが、基本的なゲーム性は比較的退屈な要素が多く、船の強化が進み行動力の上昇、能力の強化などに合わせて残念ながらより遊びの幅は狭まってしまいます。
中盤以降は魚釣り要素とランダムな異常魚に対してもわりとボタン一つで解決してしまう能力も登場してしまい、お使いイベントのパターンなども固定化が進み、先に進むほどわくわくやどきどきは薄れる傾向にあり残念ながら先細りが目立ちました。
どんどん便利になっていくゲーム性ってのは個人的にリプレイ性を減らす要素にもなっていると思い難しいところですね。

●ストレージ管理が生きてこない
ローグライクなどで非常に楽しいストレージ管理ですが、本作のストレージ管理、パズル要素は残念ながらほぼ死に要素です。
釣ってきた魚を詰め込んで持ち運ぶのですが、極論言えば適当に詰め込んですぐ戻って売ってを繰り返したほうが効率がよく、管理するために時間を割き悩むうまみがない。
前述も含めていうと、全体的にレストエリアが配備されすぎていて結局何をするにも近間のレストエリアへのピストン移動が安定してしまうんですよね。
根本のゲームデザインに文句をつける感じになってしまうんですが、拠点は一か所のみにして、パニック管理アイテムや船の修繕具、燃料などを詰め込んで出発して、遠洋で高価な魚を集めて、帰りは船が魚でいっぱい、戻るまでに大丈夫か心配しながら修繕具を投棄して、限界まで船を魚でみちみちにして港へ戻る、みたいなゲーム性のほうが全体の要素が生きてきたんじゃないかなと感じています。
いやローグライカーの良いというゲームデザインだと難しすぎるのは承知の上ですが……。

●もうちょっとほしいフレーバー
作中では瓶詰の手紙などのフレーバー要素がありますが全体的にちょっと物足りない。
全編通して12枚と最初から明示されてしまっており、世界観を深堀させたり遊びを持たせるにはもうちょっとあると嬉しい。前段階で少ないとわかっているとモチベーションもしぼんじゃうんですよね要素として。
奇怪なメッセージが見れるクトゥルフ岩みたいなのもあるんですが、ちょっと世界観を考察したい……とのめりこむほどのパワーがなかったのも事実かなと思います。
せっかくサルベージ要素もあるのでもっと沈んだ遺物のメッセージとかも拾い集めたかった。(だいたいアップグレード用の廃材とはした金の換金アイテムを掘り出す要素なので……)
エンディング周辺で明らかになる物語の根幹は結構面白いなという感じはあったんですが、肝心のエンディング自体はあっという間でだいぶ薄味だったのも今一歩の物足りなさを感じてしまう要因だったかもしれません。

●楽しかったんだけど
楽しかったんですが軸が無いゲームだったかもしれません。
魚釣りゲームとしては基本ミニゲームや放置での魚釣りになりますし
クトゥルフ探索ゲームとしてはかなり描写は限られています
ストーリーに重点を置いているかと言えばそうでもなく
だからといってゲーム性にフォーカスを絞っているかというとそうでもない。
全てが水準を満たしている一方で、そのどこにも振り切っておらず。
要素が散っており、全体を貫く軸がない。
そういった印象が感じられた内容だったのは否めないかもしれません。
わりとぼろくそに言ってしまったのでお勧めですという感じの文脈にはなりにくいのかもしれませんが、
ゲームとしてはストレスも少なくUIもそれなり、不満はあれど不可は無く非常によくまとまっている作品です。
そもそも割と触ってだめだなと思ったら放置するタイプなので、EDまでプレイしてこうやって感想をまとめている時点でだいぶ満足しています。
やっぱこういうゲームはいいんですよ。
良いだけにより求めてしまう形になってしまったかもしれません。




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