この社説が気になる(2024.8.20)
はじめに
この稿を書き始めた8月20日 5:40時点で産経新聞の「主張」(社説)の掲載がないため、今回は4紙の読み比べで書き、産経の分は事後にリンクを貼りつけることにする。
※追記:2024.8.20 22:24に産経のリンクと抜粋を末尾に追記した。
今日の気になる社説
日経と朝日が1本ずつで、4紙6本の社説。
採り上げる内容は多様であった。
毎日が触れた梅毒の流行の継続。性に関連した感染症ゆえ差別や偏見をもってみてしまいがちである。検査や診察を受けるハードルを下げるためには、行政や医療機関の工夫だけでなく周りでの見る目を変える必要があると思う。
朝日は核のごみの調査に触れた。今の進め方に問題がある、という意見提起。それは受け入れるが、ではどうすべきかが書かれていない。社説に対案の記載を求めるのは筋ではないのだろうが、物足りなさを感じた。
18日の社説の最後で触れた「権力を批判する自由」を振りかざしているだけとの印象も残った。
注目したのは、企業の経営改革加速に触れた日経の社説。
伊藤邦雄・一橋大学名誉教授が座長をつとめ、経産省がいわゆる「伊藤レポート」を公表したのは10年前。
そこには低収益性に切り込み、資本効率の向上や取締役会の実効性の強化が盛り込まれ、コーポレートガバナンス・コードの起点になった。
それから10年が経ち、企業が「昭和っぽさ」から抜け出し、経営のモデルチェンジに着手した、と伊藤氏は振り返っている。
事業の取捨選択、株式持ち合いの解消、人材確保のための賃上げと魅力ある職場づくり。こうした取り組みに注目していきたい。
一方で、働き手に対しては、日本の会社員は熱意をもって仕事に取り組むエンゲージメント指数や学び直しの意欲が他国より低いことを指摘している。
耳が痛くなる指摘である。
私自身も働き始めてから30年。一般的には残りの年数を数えながら時間を過ごす層の多い年代に差し掛かった。職場では自らキャリアを形成するよう働きかけを受ける雰囲気の強まりを感じている。「逃げ切り」を図れるほどのポジションも収入もない現状。どのように役に立っていくか、そのために何を学び、身に付けるかは、働き続ける限り、いや、生きていく限り持つ課題として自分に言い聞かせる。
[抜粋]今も残る株式の持ち合いは資本効率や経営の緊張感の低下をもたらす、日本の上場企業の悪弊である。アシックスに続く勇気ある経営者の登場を期待したい。
資本市場だけでなく、人手不足がますます厳しくなる労働市場も企業に変革を迫る。企業が働く人を選ぶのではなく、働く人が企業を選ぶ時代の到来である。↓
その他の各紙の社説
[抜粋]呼びかけによって社会活動をどこまで制限するか、明確な基準が決められているわけではない。人によって受け止め方も異なり、判断が難しい問題ではある。↓
[抜粋]本気で政治的解決を目指すのであれば歓迎すべきだが、中国自身がウクライナや中東でどんな立場を取ろうとしているのかが見えない。↓
[抜粋]性感染症には差別や偏見の問題がつきまとう。受診控えによる感染拡大を招かぬよう、行政と医療機関は検査や診療を受けるハードルを下げる工夫を重ねてほしい。↓
[抜粋]最大の援助国として国造りを支えてきた日本の責任は大きい。人材育成などの支援を通じて、民主政治が定着するよう粘り強く働きかけていくべきだ。↓
[抜粋]ボーリングなどで地下の様子を把握する必要性は理解するが、いくら調べても不確実性は残る。処分に適さない可能性が一定程度あるのなら、早めに除く方が理にかなう。「いったん調査が始まるといくら地元が反対しても止まらない」という不信感の払拭(ふっしょく)にもつながる。↓
[抜粋]7月の東海道新幹線での保守用車両事故では、北陸新幹線が東京―大阪の迂回(うかい)ルートに活用された。南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表で、東海道新幹線はお盆に減速運行する事態となった。大規模災害が頻発する中、代替輸送ルートの確保は喫緊の課題だ。↓
[抜粋]岸田文雄首相が自民党総裁選への不出馬を表明し、党内では新たな総裁選びの動きが本格化している。力強い経済を実現して国民の暮らしを上向かせるためにはどうすべきか。総裁選では、そのための効果的な経済政策も競い合ってもらいたい。↓