この社説が気になる(2024.10.24)
今日の気になる社説
袴田さんの再審無罪に続いて、検察への批判が高まるニュースがまた一つ現れた。今回は1986年に福井で起こった女子中学生殺害事件。有罪が確定し、服役した方が一度取り消された再審を再び請求し、それが実現する。このことに読売と毎日が言及した。まずは再審の動向を見守りたい。
今日注目するのは、株式市場でのインサイダー取引の疑いに言及した読売と産経の社説。
読売は、証券取引所の社員の行為、産経は、金融庁に出向していた裁判官の行為に焦点を当てている。
市場を監督する立場にある者や法で人を裁く立場にある者が起こした行為として両紙は厳しく批判している。コンプライアンスが言われるようになって久しいが、その精神がまだ十分には定着していないことの現れか。再発防止を求めるばかりである。
この話題を真っ先に採り上げると予想していた日経は、コラム「春秋」でこの話題に触れていた。
[抜粋]日本市場に対する信頼を揺るがしかねないという点でも、事態は深刻だと言えよう。関係当局は、動機や事件の背景を解明し、再発防止に努めねばならない。↓
[抜粋]裁判官への行政・刑事責任は当局の調査・捜査を待ちたいが、この問題が浮かび上がらせるのは、裁判官として当然備えるべき「矜持(きょうじ)」や「責任感」といった職業倫理が、信じ難いほど欠如している現状である。↓
その他の各紙の社説
[抜粋]検察の姿勢にも問題があった。知人らの証言と食い違う捜査資料があるのに、裁判に不利な影響が出るのを懸念してか、当初は裁判に提出せず、前川さんの有罪立証を続けたという。高裁は「不誠実で罪深い不正」だと批判した。↓
[抜粋]再審制度の不備も改めて浮き彫りになった。前川さんが最初に請求してから20年がたつ。再審開始決定への検察の不服申し立てが認められていることが、審理の長期化につながった。↓
[抜粋]経済大国の内向きな政策は財政悪化を加速させ、世界の経済や市場にとって混乱の火種になる。選挙結果にかかわらず、政策の効果と副作用、財政負担をよく吟味した政策運営を強く求めたい。↓
[抜粋]若者が結婚や子育てをためらう大きな要因は、経済的な不安定さにある。今回、各党は公約として所得拡大や賃金の底上げ、非正規への対応などをあげた。少子化対策の大前提として、方向性はうなずける。ただ、公約に実効性があると得心できなければ、若い世代の安心にはつながらない。↓
[抜粋]訪日客の宿泊先は7割超が三大都市圏に集中し、コロナ禍前よりも偏在傾向が強まっている。政府は1人で100万円以上を消費する富裕層の誘客強化のため、北海道東部や北陸、沖縄・奄美など14のモデル地域を設定し、魅力的な観光地とするための支援を進めている。↓
[抜粋]今から手を打つべきなのは、65歳以上の人口がピークを迎える2040年代への備えである。総人口に占める割合は現在の29%から35%超に達する。↓
[抜粋]闇バイトに注意を呼びかける東京都の特設サイトによると、「上場企業の仕事」「行政の許可を得た作業」など虚偽の文言で安心させたり、あえて高額報酬とうたわず、普通の求人広告を装い日給1万円程度で募集したりする例もある。高すぎないバイト代に犯罪と気づかず応募し、逮捕に至った例もあるという。↓
[抜粋]地方の課題は複雑で、息の長い実践が求められるものばかりだ。国が画一的手法で旗を振り、地方が従う図式では限界がある。自治体と住民が主体になり、国は後方支援と全国的課題に徹するという役割分担を確認すべきだ。国と地方は「上下・主従」でなく「対等・協力」の関係にあることを忘れてはならない。↓