うたを読む/未知さん
新しい手帳を早く使いたくてウズウズしている湖春です。
今日もうたの日から。『命』というお題で詠まれた歌です。
人の死を馬鹿にするなよ生き物の命を食らって生きてるくせに/未知
https://twitter.com/michi_31w/status/1686292063254667264?t=IptD95XDjo0ibm95AZy1JA&s=19
「死」「馬鹿」「命」という鋭い言葉と、「食らって」「くせに」という突き放すような物言いは、読む者に「お前は本当に分かってんのか?」と問いかけるようです。
しかも瞬きもせず、真っ直ぐに見つめられているような。作中主体の静かな怒りがヒシヒシと伝わってきます。
そして、この怒りの矛先は、もしかしたら主体自身にも向いているのかも知れないと思いました。
死を馬鹿にする人に怒りながらも、「自分も命を食らって生かされていること」を分かっている。その、やりきれなさも感じているように読みました。
この歌は不思議な魅力があります。読んだ時、思わず姿勢を正してしまうような厳しさと、どうにも出来ないことへの無情さを併せ持っている気がします。
私も「ああ、そうだ。日々命を食らって生きているよな」と、忘れていた当たり前の現実に気づかされました。
短歌に大切な要素として「共感、納得、脅威」があると読んだことがあります。私にとって未知さんのこの歌は、3つが絶妙なバランスで伝わってくるのです。
だから「忘れられない一首」になったのだと思います。
この歌に添えられいる写真が、景に合っていてとても素敵でした。
是非とも見ていただきたいです。