多様化とは究極の個の追求だと思う
現代社会において、多様化は「個々人の権利と自由の尊重」といった文脈で話されることが多いように見えます。多様化の理念は、個々の違いや個性を尊重し、包括的な、みんなが幸せになる社会を目指すものだとは思います。
ただ、やっぱりいくつかの矛盾や問題点があると思うわけです。
多様化を支持する人々が、自分の価値観や信念を他人に強要することがしばしば見受けられます。例えば、LGBTQ+の権利を主張する人々が、全ての人がその価値観を受け入れなければならないと強調する場面があります。これは、一方で多様性を尊重しながら、他方で自分の価値観を他人に押し付けるという矛盾をはらんでいます。
具体例として、企業の職場環境が挙げられます。
企業は、多様なバックグラウンドや価値観を持つ社員を受け入れ、尊重する努力をしています。日本のオフィスで英語で話したり、日本人よりもインド人が多いフロアとかもあります。
しかし、特定の価値観や行動規範を全社員に求める場合、その企業文化に合わない人々が疎外感を感じることがあります。例えば、宗教的な理由で特定の行事や習慣に参加できない社員が、その参加を強要される場面です。
かといって、その人たちに配慮して行事や習慣を廃止するのは、いままで楽しんでいた人たちを阻害することになります。
多様化を実現するためには、社会全体としてルールやガイドラインを策定する必要があります。しかし、このプロセスにおいても矛盾が生じます。多様化の原則は、個々の違いや独自性を尊重することですが、そのためのルールを作る際には、少なくとも形式上は全員が同意する必要があります。
たぶんですが、これは現実的ではないでしょう。
集団で暮らすためにはある一定の多様化は許容するべきではないし、全てのことを受け入れたら集団として成立しないと思います。
集団として生活するためには、ある程度の共通のルールや価値観が必要です。全ての違いや意見を受け入れようとすると、集団としての一体感や協調性が失われる可能性があります。
具体例として、地域社会の自治会があります。自治会は、地域の住民が協力して地域の課題を解決するための組織です。しかし、全ての住民が異なる意見や価値観を持っているため、全員の意見を受け入れることは難しい場合があります。例えば、騒音問題やゴミの出し方など、生活に密接に関連する問題について、全ての住民の意見を一致させることは困難です。この場合、ある程度の妥協や共通のルールが必要となります。
多様化は個々の違いや独自性を尊重することを目指す理念ですが、実際の社会や集団での実践には矛盾や課題が伴います。
全ての意見や価値観を受け入れることは、集団としての一体感や協調性を損なう可能性があり、正直無理だと思っています。
そのため、ある程度の共通のルールや価値観を持ちながら、多様性を尊重するバランスが求められると思うのですが、今は少し極端な方向に舵が向いているのかなと思います。