
失敗に強い上位層と、失敗を恐れる下位層
かつて、「エリートは挫折を経験していないから失敗に弱い」とよく言われていました。成功ばかりを収め、挫折する機会が少ないため、一度の失敗が致命的になるという考え方です。しかし、現代の若者を見ていると、むしろ上位層の方が多くの失敗を経験し、そこからの立ち直り方を学んでいるという事実が浮かび上がってきます。一方、下位層では、失敗しないよう過保護に育てられる傾向が強まり、結果として失敗に対する耐性が弱まっているようです。
上位層の家庭や学校では、競争の激しい環境に身を置くことが多く、その中で失敗を経験する機会が豊富にあります。大学入試やスポーツの大会、または奨学金やインターンシップの選抜に挑む中で、成功ばかりではなく挫折を味わう場面が必然的に訪れます。これにより、彼らは自分の弱点や課題を見つめ直し、次の挑戦にどう活かすかを模索し、自己成長を遂げていくのです。
現代の社会では、失敗を容認する文化が浸透しつつあります。
「失敗は成功の母」という言葉が現実味を帯び、挑戦そのものが評価される傾向が強まっています。このような環境で育つ上位層の若者たちは、失敗を恐れずに次の挑戦へと積極的に進むことができるのです。彼らにとって失敗は、単なる挫折ではなく、自分をより高めるための糧となっています。
対照的に、下位層の若者たちは失敗しないように、周囲から配慮されることがしばしばあります。親や教師が「この子を失敗させてはいけない」という過剰な気遣いから、困難な課題や挑戦的な環境を避けさせる場面が増えているのです。その結果、失敗に直面することがほとんどなく、いざ失敗したときには対処方法がわからず、立ち直る力も育ちにくくなっています。
具体例として、成績が振るわない子供が特別なサポートを受けたり、厳しい競争から除外される環境に置かれることが挙げられます。こうした環境では、自己解決能力やチャレンジ精神が育たず、失敗に対する恐怖が強まってしまいます。失敗が大きなダメージとなり、精神的に立ち直れなくなるケースも少なくありません。
上位層のもう一つの強みは、金銭的な余裕があることです。彼らは、子供の教育や活動に対して10万円、20万円、時には100万円以上の投資をしても、必要であれば次の選択肢に移行することが容易です。例えば、バイオリン教室に通い始めた子供が興味を失ったとしても、すぐにピアノやスポーツ、他の学びへと切り替えることができるでしょう。
金銭的余裕があると、失敗したとしてもそれを大きな問題とは捉えず、柔軟に次の挑戦へと進めるのです。上位層の家庭では、失敗が経験の一部として受け入れられ、その後の選択肢が常に豊富であるため、失敗への恐怖が薄れます。結果として、子供たちは失敗を前向きに捉え、次の挑戦へと自然に進んでいくのです。
一方で、下位層では金銭的な余裕が限られているため、一度の失敗が大きな打撃となることが多いです。親は「せっかくお金をかけたのに失敗するわけにはいかない」と感じ、子供にも「失敗は許されない」という重圧がかかります。これにより、リスクを避ける行動が強まり、挑戦そのものをためらうことが多くなります。
このように、上位層と下位層の若者たちには、失敗に対する態度や取り組み方に大きな違いが見られます。上位層は失敗を経験し、そこから学び、立ち直る力を強めている一方で、下位層は失敗を避けようとする傾向が強まり、結果的に失敗に対して脆弱になっているのです。
これは持っている素質とは異なる、成長過程で得ることができる後天的素養かと思います。
まぁ、そんな社会で私はどうしていくか、そんなことを考える今日この頃です。