知らないと損をする言葉のお話「イエス・セット/一貫性の原理」
もう有名すぎて、逆に警戒されるかもしれないですね。
人間には一貫性の原理というものがあります。「自分の発言や行動、態度、信念を一貫したものとしたい」と、私たちが無意識に振る舞う心理のことです。
これを利用したのがイエス・セットです。
「人が不幸になるのはよくないことですよね」
「はい」
「世の中には不幸な人がいることを知っていますか?」
「はい」
「そんな人を救う方法があるんですが、知りたくはないですか?」
「…はい」
ぱっと書いた例なので少し強引ですが、このように「はい(イエス)」と言わせ続けることで、いいえと言いづらい状況を作り出してしまうのがイエス・セットというものです。
またはい(イエス)ということで相手のこと自体も信用してしまう、そんな力もあります。
今はもう終わってしまった「笑っていいとも」のテレフォンショッキングの始まりで「そーですね」と観客が言い続けるというコーナー(?)があります。
タモリさんが何をいっても「そうですね」と返すというものです。
会場の雰囲気づくりというものが第一目標のような気がしますが、もしかしたらこのイエスセットを使って、タモリさんのこと自体を肯定させて、信用させ観客を交えて番組をスムーズに進行させる、なんて狙いもあったのかも知れません。
それまですべて「そうですね」と言っていた人が楽しそうにしていたら楽しいに「違いない」そんなニュアンスでしょうか。
営業さんが天気や日付などの話から始めるのもこのイエスセットが狙いだったりします。
・「今日は寒いですね。」
・「久しぶりの快晴ですね。」
・「もう12月、今年もあっという間でしたね。」
おそらくどれも「はい(イエス)」で回答するでしょう。そんな風にしてイエスという雰囲気づくりを作って商談を進める。営業の常套手段ですね。「営業の基本」といったマニュアルがあれば1ページ目に書いてありそうです。
この文章で初めて知ったという方は少し意識して人の話を聞いてみて下さい。面白いことに気づけるかもしれません。