絢爛豪華　舞台芸術の最高峰　ゼッフィレッリの「アイーダ」

【アイーダ】セレーナ・ファルノッキア
【ラダメス】ロベルト・アロニカ
【アムネリス】アイリーン・ロバーツ
【アモナズロ】須藤慎吾
【ランフィス】妻屋秀和
【エジプト国王】伊藤貴之
【伝令】村上敏明
【巫女】十合翔子
【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【バレエ】東京シティ・バレエ団
【児童バレエ】ティアラこうとう・ジュニアバレエ団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【指 揮】カルロ・リッツィ
【演出・美術・衣裳】フランコ・ゼッフィレッリ
【照 明】奥畑康夫
【振 付】石井清子
【再演演出】粟國 淳
【舞台監督】斉藤美穂

完売公演でしたが、運良くゲットできました♪

ゼッフィレッリの舞台芸術に関してはオペラに詳しい友人が絶賛していたので、いつか観たいと思っていました。

第一幕で幕が上がった瞬間に圧倒されました！
エジプトの王宮の舞台装置の豪奢なこと！
太い柱とかひび割れた床の石とか、とにかくリアルで迫力があります。
今まで観たオペラで一番ゴージャスでした。

私は演劇も好きですが、美輪明宏の「黒蜥蜴」で黒蜥蜴のアジトがせりあがってくるシーンがあって(カルミナ・ブラーナが流れます)、そのアジトもピカピカでゴージャスなんです。
美輪さんの舞台は美輪さんの私物を舞台装置として使うので有名です。
セットみたいな家具がいっぱいお宅にあるみたいです笑

蜷川幸雄の代表作「NINAGAWAマクベス」は、妹尾河童による仏壇の舞台セット。
大きな仏壇の中で物語が展開しますが、あれも凄かった。

ただ、舞台芸術は予算の関係でしょう、派手なセットを組むことができず、簡易な記号的セットになりがちです。
舞台装置に圧倒されたのは久しぶりのことでした。
照明も太陽光に似た自然さを感じましたね。

「アイーダ」は踊りのシーンも多いですね。踊りのシーンがこんなに多いオペラは初めて観ました。
他のオペラより舞台芸術の凄さ・面白さが詰まってるこういう作品こそ、子供たちに観てほしいです。
「エレクトラ(演奏会形式)」でクラシック嫌いな子供が増えないことを祈ります(子供には舞台形式の方がよくありません？😅)

第二幕が圧巻でした！
舞台装置や衣装の豪華さは西洋絵画を見ているような感動がありました。

特に合唱がよかったです。
個々のソリストより新国立劇場合唱団の声の厚みに今回一番感動しました。

あと、ティアラこうとう・ジュニアバレエ団。
宮本亞門の「魔笛」でも子役に泣かされましたが、これほどハイレベルな舞台芸術の一員としてパフォーマンスする子供ってどんな心境なんだろう？と、全然「アイーダ」と関係ない視点で感動してしまうのです😅

「絢爛豪華」を初めて目にした心境でした。視界全体が黄金色で、大勢の合唱がイシスの神をさかんに讃える。
栄光を讃美するマスのパワーに圧倒されました。
これでもかと美が迫ってくるような圧倒的なスケール感。
実際の馬が登場する前あたりから涙が止まらず、マスクの下で鼻水を垂れ流しながらの鑑賞となりました😂

メインの3人ではアムネリス役のアイリーン・ロバーツが一番よかった。
私はハッピーな恋より切ない恋の話の方が好きです。「舞いあがれ！」でも舞と貴司が結婚しちゃってからやや面白さが落ちました。秋月さんみたいな人が好きなんです笑

ロバーツさんは一方通行な恋の切なさをよく体現してましたね。
最後のカーテンコールでもブラヴォーが飛んでたのはロバーツさんと指揮のカルロ・リッツィだけ。
アイーダとラダメスにはブラヴォー飛んでませんでした(お愛想なしのお客様…😅)

たしかに初めて聴いたオペラとはいえ、アイーダとラダメスが飛び抜けて凄いとは感じませんでしたね。
悪くはないですよ。でもコンサート形式だったら普通の感動で終わってたと思います。

日本人キャストではアモナズロ役の須藤慎吾さんが絶品！
絶対モテそうな色男感が🤣
そういう役柄じゃないんでしょうが、声量あるし、イケオジボイスだし、岩城滉一感ありましたね😁
「フィガロの結婚」の伯爵にぴったりです笑

妻屋さんも安定の存在感でした！(まさにオペラパレスの屋台骨！)

伊藤さんは国王にしては声が若すぎて、創業者社長よりは二代目の若社長な感じに見えました…😅

美輪明宏の舞台に近いものを感じましたね。
何もかも一流の美しいもので揃えるという美意識。
ダイヤの指輪にしても、偽物が混じると途端に舞台が安っぽく見え出すとおっしゃっていました。

美輪さんがご覧になったらきっと快哉を叫ばれたのではないでしょうか。
プロフェッショナルな仕事人集団だからこそ成し得た美の最高峰です。

絵画のような美しさが、絵画のように永久に止まることを許されずに姿を消していく。

舞台芸術とはなんと儚く、それゆえに美しいものなのでしょうか。