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粋の浩三〜レジェンドクラオタにクラシックコンサートの正しい聴き方を学ぶ
今回は趣向を変えて番外編です。
私が「レジェンドクラオタ」として尊敬している吉山浩三氏に、「クラシックコンサートの正しい聴き方」をインタビューしてみました。皆様の参考になれば幸いです。
こはだ「今日はわざわざ貴重なお時間をとってくださりありがとうございます」
吉山「他ならぬこはださんの頼みなら全然構いませんよ。クラシックコンサートの話をすればいいの?」
こはだ「そうですね。最近はコンサートマナーの低下が一部の良識あるクラオタに嘆かれています。そこで『粋の浩三』として長年界隈で名を馳せている吉山さんにクラシックコンサートの正しい聴き方を伺えればいいなと思いまして」
吉山「そんなに難しく考える必要はないよ。プログラムには注意事項たくさん書いてあるけど、大事なのは2つだけだから」
こはだ「ずばり何でしょうか」
吉山「音を出さないことと動かないこと。それだけ守ってればいいだけの話なのに、この基本ができない人が多いね」
こはだ「例えば?」
吉山「身体揺らしながら聴いてるバカがいるでしょ。ああいうのは家で聴いてろって思うね。視界に入ると目障りで仕方ない。そんなこともわからずにコンサート来るなと言いたいね」
こはだ「さすがレジェンド。手厳しいです」
吉山「そんなことないよ。お金払って遠くから来てるんだから、誰だって気持ちよくその時間を過ごしたいでしょう。だから香水つけて来るやつもどうかしてるよ」
こはだ「あれは拷問に近いですね。電車と違って席移れないですし」
吉山「音を出さないってのも、我々はお金を払って美しい音を聴きに来てるのに、退屈だからってプログラムやチラシをパラパラめくったりしないでほしいね。ああいう奴も来る資格ないよ。結局、心意気が大事なんだ」
こはだ「心意気」
吉山「初心者の人にもどんどん来てほしいけど、来る以上は『郷に入れば郷に従え』で、周りの人に倣ってほしいんだよね。周りはプログラム読まずに聴いてるんだから、退屈に感じてもそれを真似してほしいんだ。そういう態度で聴いてないと感動もしませんよ」
こはだ「演奏家や周りのお客さんに失礼ですよね」
吉山「俺はね、芸術に対して失礼って感じちゃうの。芸術鑑賞するなら謙虚な態度で向き合ってほしいね。茶道だって相手が点ててくれたお茶を飲むときは片手で掴んでぐびぐび飲んだりしないよね? 何事もお作法は大事ですよ」
こはだ「なるほど。客席内以外で気をつけてることはありますか?」
吉山「コンサート前の腹ごしらえは必須だね。繊細なピアニッシモでお腹がグーって鳴るのはみっともない。サントリーホール前のカラヤン広場のテーブルで腹ごしらえしてるおじさんたちよく見かけるでしょう。あれも粋の一つです」
こはだ「なるほど。事前準備が大事なんですね」
吉山「あと、ホワイエでお友達同士が最近の演奏会の品評してるのはだいたい聞くに耐えないから、あれはやめといた方がいいかもしれないね」
こはだ「でも、久しぶりに会った友人同士、趣味の話で盛り上がりたいのも人情と思いますが」
吉山「そういうのはコンサートの後にご飯食べに行って、そこで話せばいいのよ。人様に聞かせるような類の話ではない。試しに他のクラオタさんの会話聞いてごらんなさい。聞いていられないから」
こはだ「なるほど、そういうものですか。浩三さんは服装もいつもセンスがよい感じですよね」
吉山「無理にドレスアップしていく必要はないけど、ヨレヨレの服で着てるのはみっともないね。巷の人はクラシックコンサートに行くのはオシャレな人種と思ってるけど、実態は真逆だからね」
こはだ「いろいろと参考になるお話をありがとうございました」
吉山「こはださんもさらなる通を目指して、コンサート帰りに蕎麦でも食べに行ったらどうです? 私は赤坂のみまきとかときどき行ってますよ」
こはだ「確かに自宅とコンサートホールの往復だけでは味気ないですもんね。コンサートの前後にそうした楽しみがあってもよいかもしれません。今日は貴重なお話をありがとうございました」
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