見出し画像

過去の自分をいまの味方に、いまの自分を未来の味方に

振り返ってみれば、厳しい局面はこれまでに何度も経験してきた。学生生活でも、仕事でも。

追い詰められる瞬間は常にあった。その時々は、その対応に精一杯で、全力を尽くしていた。
しかし不思議と、時間が経つにつれてその記憶は薄れていく。

ふと気がつくと、「自分には何も残っていない」と感じる瞬間がある。
しかしそれは表面的な感覚にすぎない。
実際には心の奥底に、地層のように積み重なっている。ポジティブな経験もネガティブな経験も、消えてなくなることはなく、静かに心の中に息づいている。
ただ、その上に新しい記憶がどんどんと積み重なり、いつしかその存在を感じることができなくなっているだけなのだ。

記憶というものは、ポケモンのわざのように、新しいものが加わると古いものを忘れる、といった単純な仕組みではない。一定の周期に自動的に削除されるログローテーションのようなものでもない。
私の中では、すべての経験がどこかで生き続けている。だが、それら表面に出てくる機会がないというだけで、決して消えてしまったわけではない。

だから私は「書く」という行動を大事にしている。書くことで、その時々の感情や思考を残し、奥深くに眠る記憶を目覚めさせる手がかりにできる。
文章として書き残しておくことで、後にそれを読み返したときに、過去の自分と向き合うことができる。そして、過去の自分が今の自分の「味方」になってくれる。

「何も残っていない」と感じることがあっても、自分が経験したことは本当は心の奥にしっかりと根付いている。過去の経験すべての積み重ねでできている。今の自分は、これまでのあらゆる局面を乗り越えてきた結果としてここにいるのだ。

そして、忘れてはならないのは、「今この瞬間」も未来の自分にとっては過去となるということだ。
未来の自分を支えるために、今をどう生きるか。それを意識することで、自分の人生は一層愛おしく感じられるようになる。

過去の自分を味方に、今の自分は未来のために。

その心持ちで日々を過ごすと、人生がより豊かになると思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?