盛者必衰
プロ野球のレギュラーシーズンが終わる。
パシフィック・リーグは福岡ソフトバンクホークスが2位日本ハムファイターズに12ゲーム以上の差をつけ圧倒的なリーグ優勝。
一方、昨季まで3連覇を果たしたオリックス・バファローズはまさかのBクラスに転落。
前評判では当然、優勝争いに食い込むことが予想された。
ここまでの転落はなかなか予想ができなかっただろう。
スポニチの本紙評論家23人のうち、オリックスをBクラスとした回答者はゼロ。3連覇するチームをBクラスになんて、普通は予想できない。
そして、監督を約4期務めた中嶋聡監督は辞任を表明。
監督就任時のオリックスの状況を考えれば、そこから3連覇するなど誰も予想ができなかった。
間違いなくプロ野球史に残る名監督だと思う。その功績に敬意を表したい。
同氏にはいつかまた野球界に戻ることを期待したいが、以下の記事で語った話はなかなか興味深い。
当然、結果を出せなかったことの理由は1つではなく、与えられた戦力や他チームの状況にも左右されるため一概には言えない。
ただそんな中で、これまで結果を出し続けてきた名監督が敗因として挙げたのは「慣れ」だった。
プロ野球の世界と一緒にはできないものの、企業の組織運営の中でも、「慣れ」が支配していることは実感する。新しいトップが来たり上司が変わったりすると、ピリっとする。それまでと同じ感覚では仕事ができなくなる。ただ、やがてそんな状況にも体は適応し、いずれ「慣れ」が到来する。
たとえば、組織に新しいビジョンや目標が設定された直後、社員たちは新たな方向性に向かって一致団結しようとする。
しかし、日々の業務や成果へのプレッシャーが続く中でいつしか「慣れ」が生まれ、初期の熱意や目標達成へのモチベーションが薄れてしまう。
これが組織の「慣れ」の象徴だ。
物理法則にある「慣性の法則」と同じで、変化が訪れても、いずれは安定した状態に収束する力が働く。
どれだけ「初心を忘れずに」と口で言っても、実際にそれを続けることは容易ではない。
常勝軍団を率いたプロ野球の名将がこのような言葉を口にするのは、非常に重みがある。
どれだけ優秀なリーダーがいたとしても、残念ながらそこには「賞味期限」があるということか。
また、下の立場の人間にとっても「慣れ」によってパフォーマンスが落ちるのは、避けて通れない話なのかもしれない。
その人物の力量に関わらず、人間の営みで動く世界においては、こうした見えない力に支配されるということか。
まさに、「盛者必衰」。残酷な話ではある。
だからこそ組織には、定期的な人事の刷新が必要になってくるのだろう。
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