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縮小する印刷業界で思うこと

現役印刷会社社員が考える、印刷業界の近未来です。

大部数印刷業者の危機

数百万部〜数十万部の印刷といえば、新聞、折り込み広告、生協カタログ、通販カタログ、雑誌などで、同じ内容を大量に刷ることで単価を下げて利益を得ていました。定期媒体が多く受注が安定していて、最盛期には大きな利益をもたらしたそれらの媒体が今、電子化やコスト削減、ユーザーの減少などで大幅に部数やページ数を減らしています(コ◯ナ原因もあるけどその前から。減少のソースは各種統計や企業IRを見てね!)。

雑誌のように媒体ごと無くなることもありますが、大抵は「減少」。大型輪転機等の維持コストを抱えたまま、1000万単位で売上げが減るので、これからは印刷工場を持っている中堅の印刷会社が危ない気がします。私が今いる会社もここしばらく安定経営でしたが、今年は定期媒体が削られてきてヤバそうです(汗)

閲覧環境が整えば、電子化はあっという間に進む

コミックを中心に書籍や雑誌は電子市場がどんどん拡大していて、出版市場全体における電子出版の占有率は2019年で19.9%まで伸びました。コンテンツが優れていて快適に見られる環境があれば、紙媒体でなくてもユーザーは付いてくるということです。読みたいときに即読める、置き場所を取らないなどのメリットも大きいですしね。新聞は読者の年齢層が高くネット移行はあまり進まないと思いますが、それ以外はネットが「主」で紙が「副」になる日も遠くないと感じます。

紙の役割は「可視性」と「保存性」

じゃあ紙媒体の価値は何かといえば、画面がなくてもあらゆる場所で目に入り、同時に複数を見ることができる「可視性」、コレクションや資料としての「保存性」だと思っています。保存性のある画集や実用書、教材、コミックスなどはこれからも紙媒体として残り、それ以外の使用期間が限定されたフライヤー、ポスター、カタログ、帳票などは可視性の問題が解決されれば電子化に移っていくでしょう。ポスターがデジタルサイネージになるような感じですね。

残るのは川上、減るのは川下

色々と書きましたが、電子化されて紙媒体ではなくなってもコンテンツは残るので、業界内で残るのはデザイン、編集、制作などの仕事で言えば前半に当たる川上の部分、先に減っていくのは印刷、製本などの川下の部分と言えます。この「川下」で仕事をされている方、「川下」で稼いでいる会社は今後特に注意が必要だと思っています。

私は「川上」の仕事ですが、会社は「川下」の利益が大きく「保存性」の低いものを作っているので、そろそろ別の収入源も探さなきゃなぁと思っています(投資もやっていますが食べていけるほどではないので)。


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