東北大学から高齢者医療の専門家がいなくなる

レカネマブ(商品名レミケンビ)を使ってみたいという患者と家族がいて、色々調べたら東北大学病院加齢老年内科が第一号の患者に使ったと。その医者は私の昔の後輩だったから彼に患者を紹介した。ところが別の患者から「実はあの先生が東北大をお辞めるなるので後をお願い出来ないか」。

老年科とか高齢者医療は大学病院では金にならない。だから潰される。加齢なんちゃらという名前だけは残っても、本気で高齢者医療のプロだったのはその医者だけだ。それが事実上引導を渡されて大学を去るのだから、東北大学には高齢者医療のエキスパートはいなくなるわけだ。私の紹介状は宙に浮いてしまった。


金にならない診療科を置けない事情は重々承知している。しかしこの超高齢社会の中で、東北大学が高齢者医療のエキスパートを一人も遺さなくてよいのだろうか。それは違うだろう。断じて違うと思う。今、せっかくレカネマブが臨床に使われようとしているときに、そういう医者を大学から追い出してよいのか。東北大学、よくよく考えて欲しい。

https://www.ayumino-clinic.com

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?