旅路を彩るメロディーについて
「Ambitious Japan」
それは、2003年10月の東海道新幹線品川駅開通に合わせて制作された、東海道新幹線の車内チャイムの名前だ。
「Ambitious Japan」という名前は初めて聞いたとしても、音楽を聞けばぴんときて、新幹線の車内の光景が頭に浮かぶ人は多いだろう。
それくらいTOKIOの「Ambitious Japan」は私たちの日常生活に浸透していた。
この「Ambitious Japan」が、昨年7月21日にUAさんの「会いにいこう」に変わってから約1年たった。
今までチャイムなんて気にも留めていなかったが、当時チャイムが切り替わるというニュースを見たときには、寂しいなという気持ちになったことを覚えている。
まだAmbitious Japanが流れていた大学生のときは一人暮らしをしており、実家に帰るときにはときどき新幹線に乗っていたが、Ambitious Japanが聞こえると、「あー、また戻ってきたんだな」と感慨にふけっていた。
それは逆も然りで、自分の家に戻るときにこのチャイムが聞こえると、ふと寂しい、や、頑張らなきゃ、という気持ちになったものだ。
「会いにいこう」のチャイムに切り替わってからは、社会人としてこのチャイムを聞く機会が増えた。
実家に帰るときはもちろんのことだが、社会人になってばらばらになった友人たちと会うために新幹線に乗る機会も増え、「会いにいこう」を耳にする機会は多い。
「いつもと違う 改札抜けて その顔を思い浮かべ
いつもの場所を飛び出して 心が向く方へまっすぐに」
「会いにいこう」の歌詞の一節だが、誰かに会いに行くときに新幹線に乗るときの気持ちをこれ以上なくぴったり形容していると感じるので、今では「会いにいこう」も大好きなメロディーだ。
他にも、かつて関東圏に住んでいたときによく聞いていたJR東日本の「せせらぎ」や「春」も自分にとって思い出深いメロディーである。
このように、一人一人の心の中に、思い出として残っているメロディーというものがあるのではないだろうか。
目を閉じれば、かつて自分が見た景色、過ごした時間が脳裏によぎる。
そんな不思議な力がメロディーにはあるのだと感じる。
毎日当たり前のように聞き、気に留めないメロディーだとしても、それら一つ一つが人生という旅路を彩る見えない宝物ものなのだ。
忙しくなかなか旅行に行けないとき、故郷に帰れないとき。
当時のメロディーを聞いてみるのも良いかもしれない。
きっと何か、日々の時の流れで薄まっていた思い出、過ごした時間が心の中に湧き出てくると思う。