2. 仮想論
今回のポイント
・アドラー心理学にはその理論の土台として「5つの基本前提」がある
・その1つ目「仮想論」とは「私たちは自分の好きなように世界を見ている」ということ
・これはファイヒンガーの「かのように」の哲学にならっている
・私たちは世界を自分にとって正しいものである「かのように」理解している
さて、今回からアドラー心理学の土台となっている5つの基本前提を順番に取り上げていきます。
2.1 アドラー心理学の基本前提
基本前提というのは、ある学問領域を打ち立てる際の考え方の土台となるものです。たとえば自然科学であれば、すべての現象には原因と結果の対応(因果律)があると仮定します。その上でその因果律を明らかにしていくことが科学の営みとなります。
アドラー心理学(個人心理学)は、一人の人間の人生を全体的にとらえようとする学問領域です。狭義の人間科学といってもいいでしょう。その理論を作るために独自の基本前提を採用することができます。それが次の5つです。
(1) 仮想論(Fictionalism)
(2) 全体論(Holism)
(3) 目的論(Teleology)
(4) 社会統合論(Social-embeddedness)
(5) 個人の主体性(主体論)(Creativity)
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