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【アドラー心理学の実践】#12 “感情”とは何か

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。10月4日(木)から始まった早稲田大学エクステンションセンター中野校での「アドラー心理学実践講座」(全8回)が終了しました。この連載では、この講座の内容をお伝えしています。講座に参加できなかった方にも、その雰囲気が伝わればいいなと思っています。

今回は、「”感情” とは何か」というトピックです。

感情は持続する状態 (affect) と、一過性のもの (emotion) とに分けられます。両者をまとめて感情と呼んでいます。基本的な感情として、楽しさ、満足、安心、喜び、興奮といったポジティブな感情と、驚き、悲しみ、怒り、嫌悪、恐れといったネガティブな感情があります。

すべての行動、すべての思考に目的があるとアドラー心理学では考えています。ですので、感情にもまた目的があると考えます。これは常識とは違った考え方です。私たちの常識では、自分に喜びを感じさせるような出来事が起こって、その結果として自分が喜びを感じると考えています。また、自分に怒りを起こさせるような出来事が起こって、その結果として自分が怒りを感じると考えています。つまり、感情は結果として起こるものだと考えています。

しかし、アドラー心理学の目的論ではそうは考えません。そうではなく、感情は自分自身が何らかの目的のために起こすものだと考えるのです。自分で感情をわざわざ起こす目的は何でしょうか。それはこのように考えられます。まず、楽しさ、喜びのようなポジティブ感情であれば、それは「このようなことがまた起こってほしい」あるいは「このまま続いてほしい」という目的です。逆に、悲しみ、怒りのようなネガティブ感情であれば、「このようなことは起こってはならない」あるいは「これを阻止しなくてはならない」という目的です。

特に、怒り感情は相手がいるときに起こりやすいネガティブ感情です。その感情の目的は何かというと、「こうなってほしい」という自分の願いや期待があるのに、相手がそれを裏切っているという状況があって、それを「なんとかしなくてはいけない」と行動を促すことです。つまり、怒り感情の目的は、なんらかの行動を促進することです。


ということであれば、怒り感情を使って行動を促進すれば、もう怒り感情を持続させる必要はないということです。そのときは怒り感情を使わずに「やさしく、きっぱりと」自分の願いや期待を相手に伝えればいいわけです。このとき、怒り感情を引きずっていると「やさしく、きっぱりと」言葉にすることは難しくなります。そのときは、少し時間を作って、感情が引くのを待ちましょう。

怒り感情を引かせるための、一息入れるための考え方をしてみましょう。もしかすると私の願いや期待は私の勝手な思い込みということはないでしょうか。それを点検してみましょう。また、私の願いや期待は確実にあるとしても、それを相手に押し付けるのではなく、お願いしてみるのはどうでしょうか。

このようなことを自分で訓練してみましょう。そうすれば怒り感情を爆発させて、人間関係を破壊してしまい、取り返しがつかなくなってしまうような事態を避けることができるでしょう。

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