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【アドラー教科書】(35) 類型論的なライフスタイルの捉え方

火曜日は『アドラー心理学の教科書』の記事を連載しています。

2024年12月17日(火)

第1部 自己のしくみとその動き

第4章 ライフスタイルを知る

4.3 類型論的なライフスタイルの捉え方

前回は、ライフスタイルはストーリーとして書かれているということをいいました。そのストーリーは、個人が一人ひとり違っているのと同じように細かい点で異なっています。とはいえ、「あの人とあの人は何となく似ている」とか「行動パターンが共通している」ということがあるように、おおざっぱにまとめることも可能です。

このように特徴の似ているものをまとめて典型例として考える方法を類型論的な捉え方と呼びます。ライフスタイルもまた典型的なものを考えることによって類型論的な捉え方をすることができます。

ライフスタイルを考えるとき、その人が何にもっとも注目するのかを「最優先目標」として、その最優先目標の違いによってライフスタイル類型を考えます。これは、Nira Kfirによって提案されたライフスタイル類型のアイデアです(Nira Kfir : Personality & Priorities: A Typology. AuthorHouse, 2011)。

4つのライフスタイル類型を考えて、それぞれA, B, C, Dとします。

A族の人の最優先目標は「安全、安心、安楽でいたい」ということです。そのためにトラブルやいざこざを全力で避けようとします。

B族の人の最優先目標は「好かれたい、みんなと仲良くしたい」ということです。そのために嫌われたり、仲間外れにされることを全力で避けようとします。

C族の人の最優先目標は「リーダーでいたい、支配したい」ということです。そのために誰かの下につくことや、別の誰かがグループを統率することを全力で避けようとします。

D族の人の最優先目標は「優秀でありたい、完璧でありたい」ということです。そのために無駄な時間や、自分にとって無意味な仕事を全力で避けようとします。

左半分のA族とB族の人は、自分では動こうとしない「受動的」であるのに対して、右半分のC族とD族の人は自分からまず動こうとする「能動的」です。たとえば、立食パーティのとき、受動的なAとBは誰かに話しかけられるのを待っています。対して、能動的なCとDは自分から誰かに話しかけていきます。

また、下半分のA族とD族の人は「課題達成優先」であるのに対して、上半分のB族とC族の人は「対人関係優先」です。たとえば、グループで旅行しようと相談するときに、課題達成優先のAとDは「どこに行って何をするのか」ということがまず気になります。対して、対人関係優先のBとCは「誰と一緒に行くのか、誰を誘うのか」ということがまず気になるのです。

4つのライフスタイルの特徴をまとめたものが下の表です。自分のライフスタイル類型はどれになるのかを考えてみると面白いでしょう。

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