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ライフスタイルは考え方と行動を決めるための辞書(ライフスタイル論#13【最終回】)
月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。今回は「ライフスタイル」についての13回目です。
前回は、「相手が持っているオモチャで遊びたいけど、貸してくれなさそうだ」という葛藤場面を例に出して、いくつかの選択肢がある対処行動のどれかを実行することによって、それぞれの結末を味わうことになり、そこからライフスタイルを形成していくということを言いました。
今回はアドラー心理学の中核概念の1つである「ライフスタイル」についてこれまで書いてきたことをまとめて、ひとまず区切りをつけましょう。
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「ライフスタイル」とは、自分の考え方や行動を決めるときに、参照される辞書のようなものです。それは現代の私たちが「性格」や「パーソナリティ」と呼ぶものに近いものです。その意味でアドラーのライフスタイルという概念は、現代のパーソナリティ理論の先駆であったとも言えます。
現代のパーソナリティ理論の主流は、ビッグファイブ性格特性に代表されるような特性論となっています。それに対してライフスタイルは、ストーリーの形で表象されていると考えられるところが大きな違いです。この対立については、「記憶の表象のイメージ・命題論争」のように決着はつかないでしょう。それよりもライフスタイルがストーリーで書かれていると仮定することが便利かどうかということなのです。
人は自分が小さいときから、さまざまな葛藤場面において、特定の考え方や行動を取ることで結末を体験していきます。ライフスタイルはそうしたそのつどの結末の体験によって、自分の生き方を決めていくことで固まっていきます。遅くとも10歳くらいまでにはライフスタイルが固まると考えられています。
ライフスタイルは動的なものです。アドラーと同時代の心理学者レヴィンの提案した「場の理論」は、関係性とその動きを重視したアドラーの考え方と共通する部分が大きいものです。人は、自分とその外にある相手や対象物や状況との関係を評価しながらそのつどダイナミックな形で自分の考え方と行動を決めていきます。そのときに自分のライフスタイルを辞書として参照しているのです。
ライフスタイルは、それが固まってからのち、大きな問題がなければ変わることはありません。またあまりにも自然なことなので、意識することもありません。しかし、人生上の課題(ライフタスク)を解決しなければならないときには必ずそれを参照します。その課題を解決することがうまくいかないときは、そのうまくいかなかった結末を体験し、そのときがライフスタイルを変えるためのチャンスとなります。
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