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【アドラー心理学入門】#02 アドラー心理学への5つのアプローチ

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。定期購読者が増えるたびに、感謝を込めてその日の記事を全文公開にしています。

アドラーから100年を経て、現代の心理学はさまざまな領域に発展し、私たちの心と生き方を解明する上で進歩しています。しかし、その発端としてアドラーは現代の心理学に直接つながるアイデアを提示していました。それが21世紀の今、私たちがもう一度アドラー心理学を学ぶことの意味です。アドラーのアイデアがわかり、現代の心理学がわかり、それらを自分の人生に役立てることができるのです。

さて、一口にアドラー心理学といっても、そこからどのようなイメージを引き出すかは様々です。ある人は「自己啓発の先駆」として人生を生きていくための警句やヒントを見出そうとするかもしれません。また、ある人は心理療法やカウンセリングの流派としてのアドラーを思い浮かべるかもしれません。さらには、人間関係をどのように築いていくかについての実践的なノウハウを導き出そうとする人もいるかもしれません。

私はアドラー心理学にアプローチする道のりとして次の5つの種類を考えています。

(1) 5つの基本前提
(2) 3つのキー概念
(3) 治療技法とケーススタディ
(4) 応用領域
(5) 現代心理学へのつながり

順に見ていきましょう。

(1) 5つの基本前提

アドラー心理学は全体として5つの理論的な柱から組み立てられています。これらの柱を5つの基本前提と呼びます。基本前提は数学で言うところの公理にあたります。最も基本的な「仮定」です。公理については証明は不要です。「このように考えることにしましょう」という合意された仮定だからです。

たとえばアドラー心理学の基本前提の1つとして「目的論」があります。これは「人間のすべての行動には(意識的にせよ無意識的にせよ)目的がある」という仮定です。仮定ですので、「それは本当に正しいのですか?」という問いは無意味です。もし「人間のすべての行動には目的がある」という仮定を立てたら、人間の心理や行動についてどのような理論が構築できるだろうかという話をスタートさせるために必要だからです。

目的論ではない前提を置くこともできます。「原因論」はそのひとつです。これは「人間のすべての行動には原因がある」という仮定です。このような仮定を置けば、次のことが導けます。つまり、その人におけるすべての原因となる要因を明らかにできれば、その人の行動は予測できるということです。これは近代科学が採用している基本前提なのです。

ポイントは、アドラー心理学は目的論という基本前提を採用することによって、近代科学が採用している原因論(因果律)を保留しているということです。それがアドラー心理学の独特なものの見方につながっているのです。

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