【アドラー実践】01 21世紀におけるアドラー心理学の価値
月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。
早稲田大学エクステンションセンター中野校で、10月3日(木)から「アドラー心理学実践講座(全8回)」が始まります。これに合わせてしばらくの間、アドラー心理学実践講座の内容で書いていきます。
さて、実践講座の初回は、21世紀におけるアドラー心理学の価値ということをお話ししたいと思います。今から約百年前、20世紀の初頭に活躍したアルフレッド・アドラーは「個人心理学/アドラー心理学」を体系づけました。
アドラー心理学の内容は、心理学の研究者や専門家の間でも、また心理学の教科書の中でも、長い間、正当に扱われることがありませんでした。日本では、2014年の『嫌われる勇気』の大ヒットによって、心理学者というよりも、自己啓発としてのアドラーの名前は広く知られるようになりました。
アドラーの言葉には多くの人の心に響くものが多いために、自己啓発や生き方の処方として都合よく引用されます。たとえば「勇気」「勇気づける」「タテの関係・ヨコの関係」「尊敬、信頼、貢献」「いまここ」(これはアドラーとは関係ない)「それはあなたの課題です」(これも厳密にはアドラー ではない)などです。こうした言葉は自己啓発のフレーズとしてはいいでしょう。それを都合よく使うのも禁止するべきことでもありません。流行したものが土着化するのは止めようがありません。
しかし、アドラー心理学の真価は、このような断片的なフレーズにあるわけではありません。アドラー用語を使っていれば、なんとなく格好良く見えたり、説得力が増すように見えるかもしれません。しかし、ただそれだけのことです。アドラー心理学の真価は、いくつかの重要な概念とそれを理論的に組み立てたところにあります。それを知らないでいる人は、ただ表面的にアドラー用語を使っているにすぎないのです。
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