2-教える技術19

【コーチング】05 ロジャーズのエンカウンター・グループの”対等性”

火曜日は「教える技術/学ぶ技術」のトピックで書いています。しばらくコーチングの話題で書いています。

前回は、マズローが言う自己実現 (self-actualization) とは世俗的な成功や自己の欲求を満たすような「他人による定義」ではなく、自分がなしうる最大限のことであり、自分の存在に関わることであり、全体として自分らしくなることであると説明しました。コーチの仕事の1つは、自己理想(アドラー)や自己実現(マズロー)が一体どういうものであるかということをクライエントとともに明らかにしていくことです。

今回は、人間性心理学の中心のもう一人であるカール・ロジャーズを取り上げて、アドラーからの影響とコーチングへの関係について考えます。

ロジャーズによる最大の発明はエンカウンター・グループです。これは心理的成長を求めて参加する対等なメンバーによるグループです。セラピスト/クライエントという関係でもなく、リーダーも参加者も同等の立場で、自己開示を含む全人的な参加をしていくものです。

エンカウンター・グループにおける、誰もが「対等 (equality) 」であるという考え方はおそらくアドラーから受け継いだものでしょう。アドラーは、対人関係の葛藤は、国、人種、性別、大人と子供の間の相互尊敬 (mutual respect) を理解しないことに起因すると考えました。対等とは同一 (sameness) ということではなく、個人の存在のユニークさのことです。個人はユニークであるから、誰一人として同じ人はいないし、同じ方法で同じ成果を期待されるものでもないということなのです。それを対等という言葉で表現したのです。

アドラー/ロジャーズの考え方にしたがえば、対等という関係性は、コーチとクライエントの間でも常に結ばれるべきものです。コーチとクライエントという立場は異なっていても、お互いに相手を尊敬しあう関係であり、人間としては対等であるということです。

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