課題 一 ニ 68-72頁

課題 一

〔問い〕

 格律の立法形式だけが意志を規定するに十分な根拠であることを前提したうえで、この形式によってのみ規定される意志の性質を見出せ

〔解答〕

 法則の形式は理性によってのみ表象せられえるものであり、それだから現象ではない。すると形式の表象は意志の規定根拠として因果性の法則に従い生起するところの自然界の出来事の規定根拠とは異なるものである。

 意志の規定根拠が普遍的立法という形式以外では意志に対して法則となり得ないとすれば、意志は自然法則(現象を支配する原因性の法則)にかかわりがないと考えられる。

 このように、意志が自然法則にかかわりがないということは、先験的意味における自由と呼ばれる。故に格律の立法形式だけを自由の従うべき法則たらしめ得るような意志は、取りも直さず自由な意志である。


課題 ニ

〔問い〕

 意志が自由であることを前提したうえで、この意志を必然的に規定し得る唯一の法則を見出せ。

〔解答〕

 格律の対象は経験的にしか与えられ得ないが、自由な意志は経験的条件にかかわりなく規定され得ねばならないため、自由な意志は法則の実質にかかわりないにも拘わらず、その規定根拠を法則に求めなければならない。

 法則から実質を除き去れば、その法則のなかには立法形式しか含まれていないことになる。故に、この立法形式が格律に含まれている限りにおいて、意志の規定根拠たり得る唯一のものである。

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