ありがとうございます。委員の戒能です。私はなお懸念を持っております。それで、この段階では二つお話しし、それから、最後の方で機会があるということですので、議事録に残していただきたい少し一般的なことをお話ししたいと思っております。一つは、先ほどの御発言にもありましたが、この部会では原則、例外論を採らないのだということが合意として、あるのではないかと思うのですが、しかし、この要綱案の第2の1を見ますと、(1)なのですけれども、どうしてもここに父母が共同して親権を行うというのが先に出てきてしまうわけです。第818条第3項の規律を明確化するためにということなのですが、この第2の1は婚姻中の共同親権の話と、それからその次の第2の2に出てくる離婚後の親権者の定めというものを統一して規定したいというようなお考えで、このようにまとめられたと思うのですが、誤解を生じるのではないかという危惧がどうしても拭い切れません。ですから、第2の1については明確に、婚姻中の共同親権の規律ということで分けるべきではないかと思っております。
それから、同じ第2の1(1)ウの急迫の事情ですが、急迫の事情という文言になぜここまでこだわるのかというところも懸念を依然として抱かざるを得ません。これは文言が、例えば補足説明の方にも出ておりますように、家裁の手続などを踏んでいたならば間に合わないと表現されるならまだしも、民法の財産法上の急迫の事情とどうやって統一性がとれるのだろうかと、かなり幅広にこれは解釈されるのだということなのですが、解釈する主体は、司法解釈ですから、国民の理解があったとしても、司法解釈が果たしてそういう幅広の解釈で運用されるものかどうかというのが大変危惧をしております。
現在のところ、以上の2点であります。
○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員からは、先ほど懸念、課題という表現がございましたけれども、いろいろ工夫をしたけれども、なお懸念が残るということで、御指摘を2点いただきました。1点目は、これは前回も御指摘になった点かと思いますけれども、表現に関わるところかと思いますが、ここでの議論を反映したような表現になるかどうかということについて心配されているということだったかと思います。それからもう一つは、急迫の事情ということで、これも議論があるところでございますけれども、運用がここで考えられているようになるかどうかというところについてなお懸念があるという御意見だったかと思います。残りはまた後でということですので、後で伺いたいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。