それでは,事務局でございます。部会資料7について御説明いたします。
部会資料7は,子の養育をめぐる問題についての子の意見の尊重及び父母の離婚に関連する諸問題に関する論点の検討の内容としてございます。
第1の部分は,本資料の全体像を示しております。具体的には,今までの議論の中で,子の養育に関する決定については,子の利益が最も重要であるということは確認されるとともに,子の意見を適切,的確に把握して尊重することを保障するための規律が整理される必要があるとの意見が出されていたところでございます。この辺りは,先ほどの部会資料6の中でも様々な御意見いただいたところではございます。
なお,資料にも括弧書きで記載しておりますけれども,ここで扱う「意見」という言葉につきましては,意思であるとか,意向であるとか,嗜好,気持ちなど様々な状態が当てはまり,また子どもの発達状態によっても変わり得るものではありますけれども,本資料では暫定的に「意見」という文言を用いさせていただいております。
また,本部会で出された子の意見を尊重すべきとの指摘につきましては,子に過酷な選択をさせるような制度とならないように,相当に慎重かつ丁寧な議論が必要であるとの指摘もされておりますので,そこも記載してございます。
そこで,第2において,父母の子の養育に関する規律の在り方についてのこれまでの検討結果を踏まえつつ,子の意見の尊重についての検討を行うということを,まず1ページ目で示しております。また,これまでの本部会における調査審議の中で,父母の離婚の場合を念頭に議論していただいておりましたけれども,本部会の諮問の内容も,必ずしも離婚の場面に限定した検討を求めるものではなく,また,これまでの会議,先ほども出てございましたけれども,離婚の場面に限らず検討する必要があるとの意見も出されてきたところでございます。そこで,第3において,嫡出でない子の養育の問題及び父母の別居に伴う子の養育の問題を取り上げることを示しております。
具体的に,第2,第3の内容を簡単に御説明いたします。
第2につきましては,まず,父母の離婚後の子の養育の体制を定める場面と,その定められた体制での個々の子の養育について決定する場面とに分けた上で,現行法における規律の整理と,それに対する主な意見を整理しております。その上で,子の発達の程度等に応じて,子の意見を尊重することは望ましいと考えるところでありますけれども,子の意見を尊重するための規律の在り方については,9ページ以降のような規律を設けることについて検討してはどうかという提案をしております。なお,これらの規律を検討するに当たって,注意すべき事項として,それぞれ(注)を記載しておりますので,これらについても御意見賜りたいと思っております。
特に10ページの(注2)のように,子の利益を害することにならないようにするためにはどうすべきか,子が板挟みにならないようにするための手続等はどうすべきかといった点や,(注3)のように,本文の記載は子の意見を子の利益を判断するに当たっての考慮要素として位置付けておりますけれども,別の考え方もあり得るところでありますが,いずれにしても,子の選択を直接結果に反映させるということは,子の過酷な状況を強いるという場面も出てくるかと思いますので,その辺りについて慎重な御検討が必要であることも付記しております。さらに,11ページの(注6)のように,子が自分の感情を整理することの難しさについては,これを一律に年齢で線引きできるかという点についても付記しているところでございます。
第3につきましては,父母の離婚に関連する諸問題として,嫡出でない子の養育に関するもの,父母の別居に伴う子の養育に関するもの,それぞれについて現行法における整理及びそれに対する主な意見を記載した上で,親の子に対する扶養義務の内容を,以前御議論いただきましたように,そこを明確化することを前提に,嫡出でない親子関係であるとか,別居中の親子関係を含む全ての親子関係に共通するものであることを意識して,規律の内容とか,その位置等も含めて検討してはどうかなどということを提案させていただくとともに,父母の別居に伴う子の養育に関するものとして,17ページの④,⑤のような提案をしているところでございます。いずれも様々な御意見があろうかと思い,事務局の方で注意すべき事項を挙げるとともに,できるだけフラットに御議論いただきたいという趣旨で,それぞれの(注)を記載しております。
説明は以上になります。
○大村部会長 ありがとうございます。
今御説明いただきましたが,この資料は,第1のはじめにのほか,3ページ以下の第2の子の意見の尊重という問題と,13ページ以下の第3の父母の離婚に関連する諸問題という,三つに分かれておりますけれども,第2と第3はやや性質が違うことですので,取りあえず分けて考えるということで,第1は第2の総論のようなものを含んでいますから,第1と第2についてまず御意見を頂ければと思います。
第2は,先ほど御説明ありましたが,一方で,子の養育の体制,体制という言葉も仮の言葉だと思いますが,体制を定める場面で,子どもの意見をどうするかということ,それから,個別の決定に当たってどうするかということ,この2段に分けて検討をしていただいているかと思います。
繰り返しになりますけれども,第1と第2の部分につきまして,まずは御意見を頂きたいと思います。どなたからでも結構ですので,お願いをいたします。