学び再開
昨日は,本庁にいったので,弁護士会地下の本屋等でお買い物
離婚の新常識
しばはしさんの著書を置いてもらうよう打診,弁護士会の図書室にも置いてもらうようリクエスト
そうこうしているとふと手に取る家庭の法と裁判最新号
東京家庭裁判所における面会交流調停事件の運営方針の確認及び新たな運営モデルについて
↑これがあると知ってはいたが,テーマはこれに限定されていなかった!
最高裁事件から省みた家事調停の重要性
鬼丸元最高裁判事の講演録も興味深い
講演録だから,どこかでしゃべったものをそのまま記録したのか
1年間に100回の面会交流を提案した父親を親権者に指定した判例があることを言及していてが,誤りであることを指摘したい
1年間に100日と100回では全く意味が違うのに,100回であることを前提に,移動のために合計何百時間もかかることが明らかに負担だから認めなかったという風に評価しきったという
元最高裁判事の認識がこれ
これは,出版している家庭の法と裁判研究会を通じて指摘することが望ましいのではないか
無責任なことを語るな,と
どうも,この最新号は,必死に取り繕っているように見える
論説 日本における子奪取契約の運用と近時の動向について
研究 子の監護者指定・引渡しをめぐる最近の裁判例について
気になるテーマが続いている
特に研究テーマの方は,40以上の裁判例を並べて研究しており,結論として,連れ去り勝ち運用を否定する・・・すなわち
主たる監護者がいずれであったかということ以外の考慮要素の中では,現状の監護開始の態様が重視されているということができ,不適切な子の連れ去りにより現状の監護が開始された場合にも現状の監護状況を盲目的に追認するような,いわば「連れ去り得」を容認する判断はされていない・・・
いくつかの監護者指定・子の引き渡し請求認容を判断した例を並べて紹介しているのである
継続性の原則についても,
単に現状を追認するものではないとし,より分析的に「継続性の原則」について,出生時からの監護者との情緒的結びつきを重視する「監護者との継続性」と「監護環境の継続性」とに区別し,特に乳幼児期の子については,「監護者との継続性」を重視し,奪取時を始点とするのではなく,子の出生時からの生育歴を全体的に見て判断すべきものであるとの見解が唱えられるようになって・・・
・・・「継続性の原則」(生活環境の継続性)を重視する裁判例があまり見当たらない・・・
と分析している。
タイムラグがあるものと考えられるがアップデートし,現場での対応に役立てるよう研ぎ澄ましておく必要を痛感する
論説も興味深い
諸外国においては,これまで日本の法制度や実務に対する誤解もあった,という
フランスの判決で,
日本からフランスへの子の連れ去り事件において,日本法上の離婚後の単独親権制度によれば,子を日本に返還することで主たる養育者であるTPが親権を失うことから,子に対する重大な危険があるとして返還申立てを却下した・・・
2018年のことのようである
今日本に対して厳しい眼差しを向けるEU,フランスは,ハーグ条約の原則にかかわらず,返還申立てを却下したという事実に触れて驚く
2019年には,同判決は,覆り,返還請求が認容されている
こうした様子を踏まえて,誤解があると呼んでいるのか,という気もしてきた
専門書に類するが,畏れず学び,個別の事案で奮闘する当事者の取り組みに役立つものを見つけていきたい
社会を変える運動と個別の取り組みの両方が必要である