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法制審議会家族法制部会第20回会議議事録9~原田委員・大石委員・池田委員・赤石委員

今日はパブコメを提出しまくった!

不安は残りつつではある

議事録読んでおこう

○原田委員

 ありがとうございます。原田です。まず、8ページの2項と3項のところで、佐野幹事も言われましたが、仮に1が採用されて2が採用されないと、現在の未成年の定義からは養育費の支払い義務は18歳までということになると、あるいは、2の提案理由として、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことにより、養育費の支払い義務の終期が現在の実務よりも短くなると、ここは明確に書いておいてほしいと思います。これは、検討の背景としてということでもいいと思いますけれども、現在の実務は基本的に20歳を迎えた誕生月まで、あるいは多くは22歳の3月までというのも最近増えていると思いますが、それが、この2を採用しないと18歳ということが原則になってしまうということが明確になるようにしていただきたいと思います。
○北村幹事 事務当局です。その点は、この論点を扱うときに御議論いただいたと思いますけれども、決して従前の実務を変えるというものではなくて、重い扶養義務をどこまで課すかという形であって、未成熟子の扱いとかを特段変えるわけではないという御議論をこの場でされて、御理解いただいているという認識で記載をしているものですが、頂いた御意見をもう一回、その点は精査はさせていただきたいと思います。

北村幹事の粘り

○原田委員

 実務を変えないというのは、まずその中に、実務がどうなっていて、それを変えないということで合意しているときちんと仮に明記されていたとしても、条文上こうなって、未成年となっているわけですから、それをどう解釈されるかという問題があるという懸念を表明しております。
○北村幹事 そこはもう一度確認させていただきたいと思いますけれども、その終期は変えない、従前合意したものが変わるとかそういったことはないということは、これが導入されたから、従前令和2年とか令和元年とかに合意したものが変わってしまう、そういう話ではなかったと。
○原田委員 これから決めることですよ。
○北村幹事 これから決めることなので、それは当然、合意が優先する話であるということも一つ、前提にはなっていると思うので。
○原田委員 ただ、今、20歳で皆さんが合意しているのは、それが当たり前というか、成年年齢が20歳だから20歳で合意しているのだと思うのです。
○北村幹事 そこは議事録等を精査させていただいて、今頂いた御意見も踏まえて、補足説明の書き方はもう一度検討したいと思います。
○大村部会長 ここで解釈等を確定するということではないかと思いますが、御指摘もあったので、大きな紛れが生じないように議事録等を確認していただいくということでお願いをしたいと思います。
 原田委員、続けてお願いします。
○原田委員 11ページの4行目で児童の権利委員会の総括所見が引用されていますが、ここでは共同養育と書いてあって、共同親権とは書いていないのですけれども、ここで共同養育をするためにということで共同親権を認めるように勧告されているというように紹介されていると思うのですが、これが適切なのかどうかというのは疑問があります。今の条文で共同養育ができるのか、できないのかということについて、共同養育の内容にもよると思うのですけれども、議論があって、それで、国連でこういうふうに勧告されていることを共同親権を認めるように勧告されているように書いてあるのは、若干ミスリーディングではないのかと思っております。だから、ここは入れるべきではないと私は思います。
 それから、13ページの乙案の理由についてのところなのですけれども、乙案の理由としては、単に決まらなくて子の監護に支障が出るというような理由だけが書いてありますけれども、単に決まらないというだけではなくて、父母の紛争や支配、被支配の関係が継続して、子がその紛争にさらされ続けるということの懸念がここの中でも出されたと思います。ヒアリングでも、とにかく親の争いに終止符を打ってほしいという、経験した当時未成年者の方からの強い意見がありましたし、支援団体からも、とにかく両親の葛藤を下げることがまず重要だという指摘がありました。共同親権になればそれが続くのではないかという指摘は、消極論の中ではいつもあったと思います。
 14ページですが、第2段落で、養育に関与することで養育費の支払いに動機付けがなされるのではないかという指摘もあり得ると。あり得るというのは、指摘があったというのと違う書き方なのか、先ほど戒能委員も言われましたけれども、あり得るだけであればここまで書く必要があるのかなと思います。実質的な理由としては、大石委員からも、関連性はあるかもしれないけれども因果関係は明白ではないという御意見も出されましたし、棚村委員が関与された加除出版の未成年期に父母の離婚を経験した子の養育に関する実態調査とその分析の中では、確かに親子交流がある方が養育費の支払いの割合は高いけれども、それは親子交流があるからというよりも、離婚前の葛藤が少ないということが要因かもしれないという分析がなされています。
 さらに、オーストラリアやフランスでも、共同養育をしているところでは、その割合によって養育費が振り分けられるとされていて、ここでは学費とかが無料だとかいう前提も日本とは違うのですけれども、そういうふうに減額されたり、ゼロになったりしているという実態もあるようです。ここでは離婚後の親権との関係で書かれているのですから、ただ、より支払われる可能性があると書くだけでは偏頗ではないかと思います。赤石委員ほかの委員からも、社会保障制度や司法制度の拡充等について議論なくして、議論を進めるのはいかがかという御意見がありましたけれども、ここでもやはり、これを進めれば養育費の支払いに動機付けがされるというだけではなく、逆に養育費が減る可能性もあるということも指摘すべきではないかと思います。
 第3段落ですけれども、親子交流の取決めについて、これを親権の有無と関連付けて議論する考え方があり得ると、ここでもあり得るなのですけれども、実際の実務では、婚姻中でも離婚後でも面会交流の考慮要素に取扱いは変わらないと私は思っています。婚姻中に面会交流の調停が成立した場合、離婚後もそのままそれでやっていくということが多いように思いますので、ここでは、あり得るとしても実務ではそうではないということが何となく誤解を招きそうな表現の仕方なので、誤解のないようにしていただきたいと思います。
 それから、23ページですけれども、監護者を定める必要性のところについては、主体を明確にすべきではないかという議論がなされたということですけれども、同じような趣旨かもしれませんけれども、私は、同居して誰が子の養育、お世話をするのかということの責任の所在を明らかにするという、もう少し強く書いていただきたいと思います。
 それから、飛びまして66ページですけれども、子の監護に関する処分の土地管轄については、審判の場合は子の住所地にする、調停の場合は相手方の住所地だけれども、連れ去りと書いてあったかな、こどもを連れて出ていった場合は元の住所地にすべきという意見もあったということが書いてありますが、土地管轄について子の所在地とすることの合理性というのか、調査するときには必ず子に面接したり、こどもを裁判所に出頭させたりして、こどもの状況を確認するということが非常に重要になっているので、子の所在地を管轄にすることの合理性というのはそういうところにあるということを書いていただきたいと思います。
 それから、71ページ以下で、ここも佐野幹事が言われたところですけれども、検討の必要性の項についてなのですけれども、先ほど指摘しました、未成年期に父母の離婚を経験した子の養育に関する実態調査とその分析の中で、面会交流ができていない理由としては、長期間会っていないという理由は挙げられていません。もちろん、これは答えの選択肢に挙がっていなかったともあると思いますけれども、検討の中でもそのようなことは検討されていなくて、別居時のこどもの年齢や、協議離婚か裁判離婚か、つまり当事者が自主的に決めたかどうかという点、あるいは別居前の当事者の関係に有意差が見られたという分析がされています。また、最高裁の方からの意見でも、面会交流の調停や調査においては、裁判所が中立の立場で審理を進めているという当事者の信頼が重要で、その意味で現在、ニュートラルフラットという立場で進めているということが強調されていました。その中で命令によって試行的面会交流を行うことのマイナス効果も指摘されていたところで、この点については是非その点を指摘していただきたいと思いますので、75ページに見直しに消極的な考え方の根拠というところがありますが、大変短くまとめられていますが、そこにも今のような意見を入れていただきたいと思います。
 あと、93ページの補償的要素のところは、佐野幹事が言われたところに私も賛成です。
 そして、先ほど補足意見の中に入れた方がいいのではないかとおっしゃっていた、赤石委員らからの意見のことですけれども、今回の改正案については家庭裁判所で決めるという条項が非常に多くなっていますが、現在の家庭裁判所の基盤でこれができるかという問題があります。また、共同親権先進国といわれているようなフランスでは、離婚に際して全て弁護士を付けるという必要があると聞いておりますし、DVやこどもに対する虐待がある事案にどう対応するかという意味とか、裁判所で決めるという点でも、司法アクセスへの拡充が不可欠であります。このような家庭裁判所の基盤整備や司法アクセスの拡充、あるいは支援制度の充実、この点をまとめの中で是非入れていただきたいと。先ほど、これができないと制度改正ができないというふうになると、制度改正ができないので無責任ではないか、的な意見があったのですけれども、私はこの改正がないと制度改革をしても実現できないのではないかと、逆に言えば、実現できない案を提案するのは責任ある提案なのかという気持ちがあります。なので、是非まとめにはこの点を入れていただきたいと思います。ごめんなさい、意見を言われた委員に対して攻撃的な言い方になったかもしれませんが、決してそのつもりではありませんので、御理解をよろしくお願いします。
○大村部会長 ありがとうございました。

予告どおりいっぱい言った

○大石委員

 ありがとうございます。今、原田委員も御指摘だったところなのですけれども、面会交流と養育費については、やはり今までの指摘などではエビデンスは出ていないと思いまして、それはある面、願望に近いものになっているような形で、それをこういったところで書くのは少し時期尚早ではないかというふうに思います。
 それから、養育費支払いの終期の話なのですけれども、すみません、私はまだここら辺をよく知らないのですが、例えば成人に達した後、学費、養育費などを、養育費といいますか生活費を支払ったとすると、今度はそれについては課税、贈与になるのかとか、そういうことも関わるのでしょうか。やはり税制関係の専門家も含めた検討が行われるとよいと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。

地味な抵抗勢力

○池田委員

 池田でございます。2点申し上げます。
 まず、4ページの1行目にある暴力と虐待という言葉の使い方なのですけれども、客体が違うのに単に暴力や虐待と並べてあるところがここを含めて散見されました。(前注2)のゴシック体の本文のところを見ますと、きちんと配偶者からの暴力や父母による虐待と書き分けていますので、少し注意をして全体を見ていただければ有り難いと思います。
 2点目ですが、6ページの(3)の最終行辺り、こどもが表明した意思をどのように取り扱うかということについて、私から部会の中で、こどもの意見又は意思を尊重すべきであると書くべきだと申し上げました。この点、引用していただいていて、有り難いと思っています。ただ、この意見を申し上げる際に私から、児童の権利に関する条約第12条の趣旨ですとか、あるいは民法858条で成年被後見人の意思を尊重するという文言が使用されており、既に民法の中で意思の尊重という規定があるということも言及しましたので、少しそういった辺りも付け加えていただけると有り難いと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでございましょうか。

このようにして反映されたということ?

○赤石委員

 ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。26ページの(4)、2段落目なのですけれども、ほかの考え方として監護者の定めを禁止する考え方というのがあります。審議会の議論でこのような議論が出てきたことがあったのかなというのが少し、ちまたではあったらしいことは聞いているのですけれども、このように、身上監護を含めた全ての親権を父母双方が共同で行うものとすべきであるとの考え方も、それで、すごくずるいなと思うのですけれども、あり得ると書かれていて、議論がなくても想像で書いてくださっているのでしょうか、というのが少し不思議でございます。このような親切さがあるのであれば、もっと補足資料、私どもの方から出た意見も書いてほしかったなと思っておりまして、これはなくてもいいのか、議論の根拠というのを少し、私は多分、審議上、聞いたことはなかったと思っております。
 それから、今、ページが分からないのですけれども、先取特権について、ポンチ絵の話がたくさんあるので、私もどうしようかと思っているのですが、私は何かポンチ絵を入手したことがあります。7月時点のものです。だから、たくさんお作りになっていらっしゃるのだろうと思っておりまして、ありませんというのが少し分からないのですけれども、そのようなことではないのではないかと思っておるのですが、先取特権に関して、父母が作った文書が1回の申立てで給料などの差押えができるという表現を見て、それと、ごめんなさい、今、ページ数が分からなくなってしまったのですが。
○北村幹事 52ページの(4)からだと思います。
○赤石委員 それは正しいですか。夫婦で書いた文書があります、双方が捺印していたら、一回申立てしたら、もうオーケーなのですか、というのを少しお聞きしたかったです。
○北村幹事 こちらに書いてありますように、普通の強制執行のように債務名義を取得して、その上で強制執行手続に移るというものではなく、一般先取特権を付与されていますので、お二人が合意した文書が担保権を証する文書ということであれば、それに基づいて担保権実行という強制執行の手続に移るということで、債務名義を取得するための手続が不要であるという説明をこちらに記載しております。
○赤石委員 すみません、私は法律がよく分からないのですけれども、今まで当事者の方に何度も弁護士の方の法律講座をしていたときは、差押えするには債務名義が必要です、債務名義は公正証書、調停調書、審判、裁判判決、和解ということもあると思います、で取れますので、そのときに差押えができるので、取決めしましょうねと言ってきました。今の、担保が。
○北村幹事 この部会の中でも新たに債務名義を簡便に取得する手続というのを増やせないかというのも当然、議論の俎上には上がってきましたけれども、債務名義を増やすのは難しい、他方で今回の一般先取特権については、養育費、扶養料の請求についてほかの債権よりも重い立場を与える、ほかの債権よりも優先的な立場を与えるということの御提案になります。ですので、その結果として、優先権がある債権ですので、その債権があることをきちんと示せる文書というものがあれば、民事執行上の手続に移れるということになりますので、そういうメリットがあるという御説明になります。
○大村部会長 北村幹事、ここはなかなか難しいところがあるので、少し丁寧に説明をされた方がいいという御希望として承ったらいいのではないかと思いますが。

ポンチ絵にこだわる

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弁護士古賀礼子
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