#子どもに優しい親権制 を学ぶ ~#養子縁組
二宮先生から多くの学びを得ている。
養子制度に関して改めて学びを得た。
第3章 家族のメンバーチェンジ においても言及されている。
再婚という選択ーステップファミリー
いわゆる子連れ再婚をステップファミリーという。親の再婚によって、子と親の再婚相手との間に継親子関係が生じた家族のことである。子にとっては、別れた父または母、その祖父母などの家族と、親の再婚相手、その祖父母などの家族と、二重の家族関係が生じる。子どもにかかわる大人が増えて良いことだと思う反面、利害や気持ちの衝突もあり、これをどうやって調整していくかが、鍵となる。・・・
・・・継親子も親族になるが、法律上の親子関係は生じない。だから、法律上の扶養義務はないし・・・、親権、監護権、相続権も無関係である。・・・
法律上の親子となるためには、養子縁組を結ぶ必要がある。配偶者の子との養子縁組なので、子が未成年者でも、家庭裁判所の許可を得る必要がない・・・。子が一五歳未満の場合、再婚した親が子どもの親権者であれば、養子縁組は、この親の判断だけででき、別居している実親の同意は不要である・・・。客観的な第三者や利害関係のある者の判断が加わっていないのだから、法律上の親子としてうまくいくかどうか、慎重に判断した上で、縁組をする必要がある・・・。・・・
子と別居親の親子関係は、同居親の再婚によって何の影響も受けない。養育費支払いの義務、面接交渉など、継続する。ただし、再婚相手と縁組をすれば、再婚相手が養親として、優先的に養子の扶養義務を負う。しかし、別居親の養育費支払いを継続させることもあるし、面接交渉は消滅しない。子は複数の親を持つことができるのである。
なんと!!なんと子どもに優しい養子縁組制度なのだ。子を大切に思う大人が複数になることで、子の環境は手厚く守られていく。そう信じたい。
現実には、再婚養子縁組家庭での痛ましい虐待、殺人にまで及んだ痛ましい事件の報道が続いている。なぜか。
続いて、第4章 子どもをもつこと・親をもつこと の中で、さらに詳しく養子縁組について解説されている。
養子制度は人為的に親子関係を創設する制度である。その目的は時代と社会によって異なる。子の保護を目的とする近代的な養子制度・・・戦争から生じた大量の孤児・捨て子・婚外子を放置することはできず、子どもたちには家庭を保障する必要が生じた。・・・養子制度は基本的に子のための制度であり、福祉制度の中に位置づけられている。・・・
・・・公的なあっせん機関が養子と養親の適性をチェックし、一定期間、養親希望者が試験的にその子を養育した上で、司法機関あるいは行政機関の判断によって養子縁組を成立させる。親子としてふさわしい年齢差が必要であり、養子の実親との法律上の親子関係はすべて終了する一方、養親との縁組解消も原則として認められない。養子縁組の登録においてもプライバシーが保護される。
後段のいうところは、日本の特別養子縁組に近いが、普通養子縁組とはずいぶん異なる様相に思う。日本の多くの普通養子縁組では、例えば、同性婚がないために、同姓のパートナーと家族となるために用いられることだってありうるし、祖父母と孫が養子縁組をすることで、相続の便宜に用いられることも広く許容される。どういうことか。
これに対して、日本の場合、養子制度は、江戸時代以来、家の承継を目的とするものであり、跡継ぎにふさわしい大人を養子として迎えることが多かった。そして生まれたばかりの赤ちゃんを養子にする場合には、養子であることがわからないように、養親の実施(嫡出子)として出生届をして育てる慣行があった。
衝撃的である。子のための制度に由来していないわけだ。データの紹介とともに、次のように整理して指摘している。
・・・日本の養子制度は、今でも、①跡継ぎや老後の扶養を目的とする成年養子が中心であり、未成年養子の場合でも、②家族関係を安定させることを目的とする連れ子養子が多く、③要保護児童のための養子は利用が特に少ないことがわかる。
本来、養子制度の根幹たる、要保護児童のための養子が少ないとは、福祉と遠いことがよくわかる。連れ子養子も要保護性というよりかは、家族は同姓であるべきという規範がひそかに根強い中で、届出だけ(子が幼ければ代諾によって可能)で同姓にできる、再婚養子縁組が選ばれるため、上記のように慎重に検討すべきという配慮を欠いているのではないかと考えられる。法律上の親子関係創設をあえてしないで、家族同姓(別姓のままでも面白いじゃんって思うけど、多くはなぜかフツーを目指してしまう)になるには、子の氏の変更をして入籍する必要がある。もちろん、連れ子のある方が、筆頭者になるのであれば、不要な手続きだが、親が改姓し、その戸籍に入籍することができる。ただし、子の氏の変更という裁判所の許可手続きを要する点で一手間だ。代諾養子縁組を容易に選択してしまう実情が想像できる。
日本固有の養子制度は、効果面にも特徴が表れている。
・・・養子制度の内容をみても、当事者の合意だけで縁組が成立し、協議による離縁も認められ、縁組の要件として親子の年齢差は必要ではなく、縁組の効果として養子と養親の血族との間に親族関係が発生する一方、実親との法律上の親子関係も存続する(実親子と養親子と二重の親子関係が成立する)など、①を前提とした制度となっている。
日本の養子縁組が大人のための制度だとわかる。子どもに優しくない。そのリスクにさらされるのが単独親権制により、実親による保護を半減させられる子たちだろう。
日本の養子制度においても、一応の子に対する配慮が用意されている。
子どものための養子
日本の養子制度でも、未成年の子のためにいくつかの特別な手続が用意されている。第一に、養子となる者が十五歳未満のときは、その法定代理人(親権者)がこれに変わって縁組の承諾をする・・・。第二に、家庭裁判所から縁組の許可を得なければならない・・・。ただし、事故または配偶者の直系卑属(子・孫・ひ孫など)を養子とする場合には、許可はいらない・・・。第三に、配偶者のある者が未成年者を養子にする場合には、夫婦が共同して縁組をしなければならない・・・。幼い子を養育するための、子どものための養子であることから、こうした手続きが設けられた。
しかし、婚姻に際して相手方の子(連れ子)と縁組をするケースでは、子の気持ちよりも、再婚する当事者の気持ちが優先されがちである。本当に親子としての関係を築けるか、子にとってプラスになるかどうか、家庭や子の事情を考慮し、専門家(家裁調査官やカウンセラーなど)が慎重に調査した上で、最終的には、家庭裁判所の判断を仰ぐ必要がある。許可制に例外を設けてはならない。
2007年当時において、研究者より「子の気持ちよりも、再婚する当事者の気持ちが優先されがち」という指摘があるということを重く受け止めたい。
#民法改正 が必要であり、その機運もある。
だが、現状においても、再婚養子縁組発覚後、監護者指定等を申し立てることにより、慎重な調査に近い機会を事実上設けることにも意味があると考える。立法上の不備があるのだから、やむを得ないが、意味を実感する。
面会交流の機会があれば、再婚養子縁組を知る場合がある。
その後も、面会交流が充実して実現できそうであればともかく、得てして、危機に瀕するケースも珍しくない。面会交流調停が開始する場合もあるが、監護者指定等の手続きの中で、今後も実親子関係が継続することの確認、親となることの心構えの作文、面会交流に協力していくことの宣言などがあれば、野放しに、再婚養子縁組が成立してしまった挙句、児相ですら、対応の仕方を誤り、孤立させては、密室の中で虐待がエスカレートしていく状態を抑止することには貢献できよう。
とはいえ、もはや、♯共同親権 への #民法改正 が必要不可欠なのである。
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