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パブコメ検証4~大阪弁護士会1

よい判決に期待している

数々のメッセージが語られている


今日は、大阪弁護士会のパブコメを検証する

【意見】 離婚後も父母双方を親権者と定めることができるようにする【甲案】に賛成する意見がある一方で、弊害が多いことを懸念して【乙案】に賛成する意見もあり、現時点において一致した意見を表明することは難しい。 なお、離婚後の親権について考える際には、子どもを権利の客体ではなく権利の主体として位置づける必要があることを認識し、離婚後の父母間で権限の奪い合いとい う過程で子どもが置き去りにされている現状が改善されるようにしなければならな い。
【理由】 ① 【甲案】に賛成する立場からの意見
 一般的には、離婚後も子が父母双方と関係を持ち続けることは子の利益に適う。離婚を機に、それまでに培われている父母それぞれと子との間の良好な関係に断絶が生じ、または、子どもの養育に関与し、子どもが親として頼れる大人が二人から一人になることは、子どもにとって望ましいこととは言えない。 離婚後も子の養育に父母双方が関与することが可能かつ相当な場合において、双方が関与を続けていくことを否定する理由はなく、離婚後に父母の親権のうち、必ず一方の親権が失われたり、子どものことについて一切意見が言えなくなったりすることについて、理論的な説明ができない。弁護士として離婚事件を取り扱ってきた実務経験から養育について協力関係が構築できる父母が一定数いると感じており、そのよう な父母には双方親権を認めるべきである。諸外国では、共同親権を導入している国が大半であり、例えば、ドイツでは共同親権が原則になっている。単独親権しかないと いう制度で問題がないとは言えない。 もっとも、双方親権の行使が困難で、双方親権を認めることがかえって子の利益に反する場合もあるので、①双方親権は協議離婚で双方親権に合意している場合に限定するか、もしくは、②父母が双方親権を持ち続けることに合意している場合のほか、 裁判所が双方親権を認める場合も含めるか、いずれかが妥当である。 さらに、離婚後の養育のあり方について、子どもの意見が反映される仕組みが重要 であるが、同時に、意見表明が子どもにとって負担にならないように留意するべきで ある。そのためにも、父か母かどちらかだけを選ぶ以外の選択肢を増やす必要があり、 共同親権とすることが認められた方が、子の意見を反映しやすくなる。

② 【乙案】に賛成する立場からの意見
 離婚する父母間には大なり小なり支配・被支配の関係がある。これは、DVや虐待 などがある特別なケースに限られない。したがって、共同親権とすることが選択できるとすると、共同親権とすることを意に反して押し付けられてしまったり、離婚後も支配・被支配の関係が続いてしまう恐れがある。 また、離婚する父母間の信頼関係は失われているので、共同親権制度は場合によって無理を強いることで、子や同居親を不安にさせ監護の安定性を害する恐れがある。 離婚後も養育について協力関係が構築できる父母が一定数いることは否定しないが、単独親権の規律の下でも、父母が離婚後も協力して子を養育することは可能であり、実際に行われている。 現在、離婚後に子どもと会えなくなっている親がいるといった問題は、面会交流の 問題として解決すればよい。

③ 家庭裁判所の人的・物的体制のさらなる充実
 この度の法改正の検討は、養育費の支払確保や、安全・安心な親子交流に向けた取組の促進を図ることの必要性から始められた(補足説明の1頁目)。これらは、単独 親権か双方親権かの制度の選択だけで解決しえない課題であり、単独親権を維持したとしても、養育費や面会交流の問題を丁寧に処理するための人的・物的資源が求められ、さらに双方親権の制度を新設するとすれば、父母間の意見の調整や、意見の調整がつかない場合には家庭裁判所の速やかな判断が必要となる。 残念ながら、現在の家庭裁判所は、市民の身近にあるとは言えず、離婚によって影響を受ける子、父母にとって十分に機能しているとは言えない。その最も大きな理由 は、家庭裁判所の人的・物的資源が不足していることにある。離婚事件を扱う実務家として、家庭裁判所の人的・物的体制がより充実されなければ市民のニーズに応える ことはできないと日々感じているところである。

819条の見直しについて

【意見】 離婚の場合に父母が双方親権を選択できる規律を策定するのであれば、原則例外を決める必要はなく、注【甲③案】に賛成する。また、親権者を決める際には、父母の意向だけでなく、子どもがどのように生活していきたいと思っているかも尊重すべきである。
【理由】 双方親権者となることを原則と定める【甲①案】は、父母の離婚後も双方が子の養育に責任を持ち、子に関する事項が父母の熟慮の上で決定されることが子の最善の利益に資すると考える。離婚後は単独親権であった実務を変更するものであるが、具体的な必要性のある場合に限定することなく、一般的に父母双方に親権を認めることになるとすれば、離婚後、元夫婦は別居することが一般的である実情を踏まえ、子の監護という面を考えれば、実務上、円滑な運用が確保できないこととなるとの懸念がある。 なお、上記1において【乙案】に賛成する立場から、仮に離婚後も父母双方が親権者となりうる制度が新設されるのであれば【甲②案】とする考えが示された。すなわ ち、個別具体的事案において双方親権が相当かを確認するため、家庭裁判所の許可審判を得ることを要件に加えることが必要であり、家庭裁判所の許可要件としては、父母双方が親権者となることに合意していること、その下での親権の「共同行使」が可能であること、DV・虐待案件でないことの3点につき考慮要素とすべきであるとする。 ただし、DV被害者はマインドコントロールされ加害者に逆らえない傾向にあることを、DV被害者へのアンケート調査に基づいて指摘し、家庭裁判所が許可を出すか 否かの判断には、単に当事者を審問するだけでなく、子どもや保育園・学校への調査、 児童相談所への調査が行われなければ適切な判断が下せないところ、家庭裁判所のマ ンパワーの現状からは、そのために必要な調査を行うことは難しいとの指摘がなされ た。そして、このような状況に鑑みると【甲②案】にも賛成しかねる、双方親権の導入には反対であるとの意見も出された。

親権者の選択について

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