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法制審議会家族法制部会第20回会議議事録6~窪田委員・池田委員・棚村委員・赤石委員・北村幹事・大石委員・戒能委員

パブコメ作ったぞー

平日は議事録読み進めていきます!

○窪田委員 

すみません、(前注3)の問題、もう少しだけ発言させていただければと思います。先ほど青竹幹事からもありましたし、落合委員からも今お話がありましたけれども、私は(前注3)に加えることに関しては、やはりやめた方がいいだろうと思っています。
 2点ございまして、1点は先ほどからもう繰り返し出ていることですが、この法制審議会で決められないことについて希望を書くというのは、(前注1)、(前注2)とは全く性質の違うものになり、単なる希望だということになります。これだけであれば、意味はないかもしれませんけれども、無益だというだけで終わるかもしれません。ただ、私自身は将来、障害となる可能性もあるのではないかと思っています。
 例えば、具体的にこういった制度をやるためにはこういう整備が必要だというようなことを書き込むのは結構ですけれども、それを書き込んだ場合には、こちらの方ではどうしようもない、法務省の方でも管轄していない、その制度が実現しなかったらここで示した案というのが法改正に至らないのではないか、法改正をするとき、君たちはこういう前提条件でやっていたでしょうというふうな形でマイナスに働きかねないということがあります。一般的に支援といった仕組みがこうした制度設計と十分に関わりがあるということは分かりますけれども、それを明確に書き込むことによって、予定している法改正ができなくなる可能性があるというようなマイナスもあるという部分を十分に認識した上で議論していく必要があるのではないかと思っています。
○大村部会長 ありがとうございます。窪田委員からは、(前注)に書き込むことの問題点というのがほかにもあるのではないかという御指摘を頂いたということかと思います。

法律家の慎重なかんじ

○池田委員

 池田でございます。今の(前注)の問題について一言、アイデア的なものを申し上げたいと思います。確かに(前注1)、(前注2)というのは具体的な民法の改正に関わることですので、これと並べて制度的なものについて(前注3)として書き込むというのは、やや据わりが悪いというのは感じるところです。他方で、全体的な制度の枠組みですとか、あるいは支援といったものについての重要性というのは皆さん共有しているところでして、そういう意味では何らかの形で言及ができればいいのかなという思いもございます。そこで、一つのアイデアですけれども、前文というのを設けて、今回の審議の対象というのは全体の中の民事法制の部分だと、他の制度的な大きな枠組みとか、あるいは支援といったものについては別途検討されるべきものであると、全体を示してこの本文に移るというふうな形は、ひょっとしてあり得るのかなと思いました。
○大村部会長 ありがとうございます。(前注)でない形で対応できないかという御指摘を頂きましたが、(注)が付いたことはあるのですけれども、それ以外はどうでしょうね。

前文?

○窪田委員

 せっかくいろいろなアイデアが出てきているところに水を差すような発言で申し訳ないのですけれども、先ほどの(前注3)も、今の前文も、具体例は出ていないですよね。もしそういうアイデアもあるということだったら、では次回ということになると思うのですが、私はもうここまで引きずった状況で、中間試案は既に一旦、恐らくかなり意見が違う考え方の対立もある中でここまでまとまった段階で、前回の議論でも基本的にはもうこれで行きましょうということがあった以上、更に延びるような形での議論の仕方はすべきではないのではないかというのが正直な思いです。
○大村部会長 ありがとうございます。議論の仕方についての御指摘を頂きました。最初の方で沖野委員が御指摘になった点と共通の点かと思って伺っておりました。

前文案も却下!!

○棚村委員

 一言、意見を述べさせていただきます。(前注)の位置付けなのですけれども、最初の1のところでも、親権という用語、これは明治民法のときからあるわけで、これが本当に用語としてふさわしいかどうかというのは大きな問題としてあるわけです。これも民事法制、家事法制に非常に直結する問題です。それから、2のところで具体的な制度を設計して規律を考えていくときに、DVとか暴力という安全・安心は非常に重要だという議論もし、これも委員・幹事の皆さんの間でほぼ合意できているのですが、(前注3)で今、提案されている税制とか支援とかというのは、本当に多種多様なものが含まれ、いろいろなアイデアが可能性としてあるわけです。総論とか基本的な方向性では皆さん、賛成ですけれども、具体的にどういう場面で、どの段階で、どの当事者にどういう具体的な制度や仕組みを提供するかということについての調査審議がこれまで本当にここでできていたかというと、私は十分にはできていないと思うのです。
 つまり、支援・税制・社会保障制度は法制度に関連するし重要だけれども、そういうことの重要性についての議論は皆さんがおおむね理解はしたのだけれども、ここで具体的にこういう制度がこの場面でこういう形で必要だとか、税の控除もそうですし社会保障についても、それから具体的な支援制度、相談支援体制もいろいろなレベルがあるわけで、それについてはっきりと議論し、こういうような形で書き込めるような調査審議をしてこなかったというのが一番大きい理由だと思います。つまり、十分な調査審議していないことについてここで決するということができるのかどうかということで、特に前文や(前注)という形でパブリック・コメントに掛けていくということについては、やはり消極的にならざるを得ないと考えます。
 皆さんの御意見に反対だとかいうことよりも、技術的にもこれまでの経過から見ても、前文や前注に書き込んで、中間試案の取りまとめに入れることは無理ではないかということを考えているわけです。要するに、一般論だから希望なのだからいいというのは少し無責任であって、ここで具体的な意見表明が出されたとしても、こういうところに具体的にこういうような形でこういう制度を作るべきだ、あるいは具体的な支援を強化してほしいということを皆さんできちんと調査審議ないし議論したかというと、議事録を読み返した限りでも、きちんとそういう形でできていなかったのではないか。確かに、こういう場面でこういうことが必要だと御意見はあったし、それについて異論があったということではないのですけれども、逆に言うと、そこを詰めた形で意見交換をして議論をしてきたかというとそう言えないのではないかと思います。十分な調査審議やコンセンサスが具体的にできていないことを(前注)の中に書いて、広く国民の意見を問うという対象にはならないのではないかという意味では、窪田委員のおっしゃっていることに賛成です。
○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員からは、今ここで意見を取りまとめるということはできないのではないか、難しいのではないかという御指摘を頂いたかと思います。

もう取りまとめようよ

○赤石委員

 皆さんが本当に真摯に御議論を頂いて、大変有り難いと思います。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。意見についての趣旨について大変共感を頂いているというのは、大変心強く思います。一方でどうやってどこに落ち着かせるのかということについては、いろいろな御議論があるのだということを分かりました。
 ただ、今やるべきことは、やはり民事法制が変わります、変わらないかもしれないのですけれども、変わる提案もしているところは多いわけですけれども、変わったときに、それだけでは済まない影響がある部分をどう埋めるかの課題はどうもありそうかというところで共感がされているわけですね。そうしたら、それについてどこで議論すべきかということを一回やはりきちんと、ここである程度もむ時間が必要だということになります。それは、やはり事務当局から何らかの御提案を頂かなければいけないし、補足資料という議論もあるのですけれども、そこに書いたとしても、更に少し議論すべき時間というのは必要なのではないかと思うのですけれども、今、事務当局から全然御発言がないので、今までも法制審議会で省庁横断的な検討がされてきたことはあったのではないかと思うのですが、そのときにはどういう可能性として処理してきたのかということで、全くアイデアがないのでしょうか、それともお困りなのでしょうか。少し御発言いただければ大変有り難いのですけれども。
○大村部会長 今の赤石委員の御発言は御質問ということですか。
○赤石委員 はい。
○大村部会長 この中間試案の取りまとめというよりも、法務省が今御指摘になっている問題についてどのように考えているのかということをお尋ねしたいという御趣旨だと理解してよろしいですか。
○赤石委員 はい。
○大村部会長 今の時点で北村幹事の方から何かお答えできることがあれば、お答えを頂いて、まとめに入りたいと思いますが。

質問?

○北村幹事

 従来から繰り返し言っていますけれども、法制審議会は法務大臣から諮問を受けた民事基本法制の改正について御議論いただく場であると認識しております。その中で様々な課題がある場合には別途、ここではないところでということになるのかもしれませんけれども、まず法制審としては民事基本法制の議論をしていただくというのがこの場であると認識しております。それは繰り返しここで述べさせていただいておりまして、民事基本法制が変わることによって影響が出るところは、それぞれの所管の役所において御検討がされるものと考えております。
○大村部会長 差し当たりよろしいでしょうか。
○赤石委員 赤石でございます。私が気になっているのは、やはり罠というか、穴というか、バグというか、そういったものが出てきたときに、そこにはまってしまう当事者が出てきてしまうことを恐れております。それについて一体どこが責任を持つのだろうかということが非常に怖く思っておりますので、意見を出させていただきました。
 とても残念ながら、無責任な体制にならざるを得ないということを聞いたような気がするのです。それを聞いた上で、私どもはどうしたらいいのかというのは非常に残念至極ということでございます。私はひとり親とこどもたちの必死の声を聞きながら、ここに座らせていただいております。物価高で本当に大変な状況の方たちのアンケート調査もさせていただきました。その中でこれが更に襲い掛かったときにどうなるのだろうかと思っているわけですので、枠組みがそうだからとおっしゃるのは分かりますけれども、しかし、そのところでどう手を伸ばせるのかということをやはり検討いただければと思っております。
○大村部会長 ありがとうございました。
 金子委員から、赤石委員の発言を踏まえて御発言があるということなので、この点は取りまとめと切り離させていただいて、後で金子委員の御意見を伺いたいと思います。
 取りまとめについては、大石委員から手が挙がっていますので、大石委員の御意見を聞いた上で、私の方からお諮りをさせていただきたいと思います。

の のろい?

○大石委員

 委員の大石です。ありがとうございます。私も、先ほど棚村委員が、この部会の中では税制ですとか社会保障について議論してこなかったとおっしゃいまして、正にそうだったと思います。そのとおりだと思います。また、今、北村幹事の方から、この部会がそういう場ではないとおっしゃいましたが、多分それもそうなのだろうとも思っています。ただ、それで法律を決めたから、あとは他省庁で対応してねというふうに投げてしまっていいのかというか、それをするにしては余りに大きい問題に我々は関わっているのであろうと思いますので、やはり中間試案を取りまとめてパブコメに付したら、付した後のことを見据えて、連絡会議を法務省の方で設置していただくとか、例えば税制ですとか、あるいは教育支援とかに関する専門家なども踏まえて、連絡会議なり検討会なりを設置するようなリーダーシップをとっていただくのが望ましいのではないかと考えている次第です。失礼しました。
○大村部会長 戒能委員、ごく短くお願いします。

すっかり信用できない大石委員

○戒能委員

 ありがとうございます。正に棚村委員がおっしゃって、大石委員もそれを引用していらっしゃいますけれども、この審議会、部会で議論をしてこなかったということ自体が問題なのだという、そういうスタンスを少し変えていきましょうということなのです。大変大きな問題ですし、影響力を持つ問題です、ですから、そういう視点も持って法律の改正の議論を、せめて今後はきちんとしていくと。
 それから、やはり(前注3)が難しければ、補足説明には書いてほしい、今後の課題として書いてほしい。こういう視点を、一部だと言われてしまうかもしれませんけれども、きちんと配慮しているのだと、考えていくのだということを、課題としてあるのだということを補足説明には必ず書いていただきたいというのが私の強い要望です。
○大村部会長 戒能委員から、補足説明に是非という御要望を頂きました。
 ここで先ほど申し上げたように、金子委員から御発言を頂こうと思いますけれども、その前に一言だけ整理をさせていただきます。この場は、民事法制という言葉が使われておりますけれども、それについて議論をする場であることをまず確認させていただきたいと思います。戒能委員からは、ほかの問題についてもというお話がありましたけれども、この後も民事法制について議論をし、それに必要な限りで他の問題について話題になるということはあろうかと思いますが、他の問題について積極的に何かを提言していくことはこの部会の任務ではないと承知をしております。民事法制を整えるということに関しては、それしかできない、限界があるといった御発言がありましたけれども、それ自体が非常に重要なことですので、きちんとした民事法制を整えるということに、皆さん、御議論を集約していただけると大変有り難いと思います。
 以上は皆さんの御議論を伺った上での感想ですけれども、まとめる前に、金子委員の御発言を伺いたいと思います。

民事法制だけ議論しよう、法律家だけで

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